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平成 27 年度(2015 年度)事例 Ⅱ 解答解説
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第 1 問(配点 40 点)
設問 1
今後、B 商店街はどのような顧客層をターゲットとすべきか。代表理事への助言内容を 100 字以内で述べよ。
設問 2
設問 1 で解答したターゲット顧客層向けに、新たにどのようなサービス業の業種を誘致すべきか。代表理事への助言内容を 50 字以内で述べよ。
設問 3
設問 2 で解答した業種の店と B 商店街の主力である既存の飲食店とのテナント・ミックス(店舗の組み合わせ)の効果を最大化するために、個々の飲食店の店主達はどのようなマーケティング戦略をとるべきか。助言内容を 50 字以内で述べよ。
回答例(100,48,49 字)
【設問1】高層マンションへの流入で増える、30~40代の子育て世帯を対象とする。店主と顔見知りになれる飲食・サービス中心の商店街として、育児負担の軽減や家族でゆったり食事を楽しむ需要を捉え、継続的な来街を促す。 【設問2】子供向けの学習塾や習い事教室、託児サービスを誘致し、子供の学びや親の育児負担軽減の需要に応える。 【設問3】教室の待ち時間向け軽食や親子用メニューを用意し、終了時間に合わせた予約と共通案内で飲食利用を促す。
解説
この問題の着眼点
第1問は、 誰を対象にするか→どのサービス業を誘致するか→飲食店がどう対応するか を続けて問う問題です。環境分析からTarget・顧客提供価値を定め、Product・Placeへ具体化します。
与件文から顧客と店舗構成の変化を読む
与件文のどこを見るか
- 第5段落: 低価格志向にある周辺住民の非食品需要も吸収 とあります。低価格の同じ土俵では総合スーパーが強い状況です。
- 第6段落: 高価格で販売される高層マンションが多数開発、 周辺人口は増加傾向 とあります。流入する住民の需要へ対応する機会があります。
- 第8段落: 飲食業約65%、サービス業約20% とあります。既存の飲食店を活かす業種の組み合わせが重要です。
図2の年齢別人口では、2005年に比べ2015年は30歳代を中心とした層や低年齢層の人数が増えています。第6段落のマンション流入と合わせ、子育て世帯の生活需要を考える根拠になります。図の縦軸は人数であり、構成比ではありません。
対象を決めてから、来街と食事の理由を組み合わせる
第5段落の 「しかし」 は、スーパーとの補完関係を期待したものの、非食品や外食の需要まで吸収されたことを示します。単に足りない業種を埋めるのではなく、低価格以外の価値で選ばれる組み合わせが必要です。
まず子育て世帯を対象に、学びや習い事など継続して通うサービスを考えます。その利用に伴い、親の待ち時間や親子での食事の需要が生まれます。飲食店は、それぞれの場面に合うメニュー・空間・案内を整えます。 サービス利用を商店街への来訪理由にし、飲食利用へつなぐ テナント・ミックスです。
三つの小問を一貫して答案化する
答案の骨格は、次の論点を設問の要求に沿って組み立てることです。
設問1は増加する子育て世帯と、その育児・食事需要を対応させる。設問2は飲食店の追加ではなく教室や託児などのサービス業を選び、設問3はその利用前後・待ち時間に合うメニューと予約で既存飲食店への送客を具体化する。
公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある「子ども連れの若いお母さんたちをお客さまとして取り込むには、どうしたらよいでしょうか。」は、若い母親の声を基に、テナントミックス、品揃え、託児・遊び場、イベントを整える方法について示しています。本問では、「顧客ニーズと自社資源を結び、具体的な価値と顧客行動へ落とす」を2015年度事例IIの与件事実と設問要求へ当てはめます。
| 公的資料の判断軸 | この設問への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| 顧客ニーズと自社資源を結び、具体的な価値と顧客行動へ落とす | 「人口変化と商店街の特性から、子育て世帯の具体的な生活需要を考える。 その需要に合うサービス業と、利用前後・待ち時間の飲食需要を対応させる。」を、設問に対応する与件根拠から導く | 公的資料の一般論を答案へ写さず、2015年度のB社固有の事実を主根拠にする |
類題は、2023年度事例II第1問 です。
共通点 は、顧客・競合・自社の事実から競争上の課題を絞る点です。
相違点 は、本問が「人口変化と商店街の特性から、子育て世帯の具体的な生活需要を考える。 その需要に合うサービス業と、利用前後・待ち時間の飲食需要を対応させる。」を扱うのに対し、類題は3Cの現状分析を直接求める点です。
出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21「子ども連れの若いお母さんたちをお客さまとして取り込むには、どうしたらよいでしょうか。」(若い母親の声を基に、テナントミックス、品揃え、託児・遊び場、イベントを整える方法)
公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。
第 2 問(配点 20 点)
設問文
物産市当日における非食品小売店の売上向上を実現するためには、非食品小売店の店主達へどのような助言をすべきか。B 商店街の主な非食品小売店である家具店、食器店、スポーツ用品店の中からひとつの業種店を対象に選択し、(a)欄の該当する業種店の番号に ○ 印を付けるとともに、(b)欄に助言内容を 100 字以内で述べよ。
回答例(92 字)
【食器店】物産市の食材を盛り付けた食器を会場に展示し、出店者の試食と店主の食卓演出の実演を組み合わせる。食材に合う食器の使い方を伝え、店舗の場所を案内して当日の店頭購入へ誘導し、関連購買を促す。
解説
この問題の着眼点
本問では 食器店を選択 し、物産市の来場者に当日購入してもらう施策を100字で示します。食への関心を、食器を使う場面へ結ぶProduct・Promotionの問題です。
与件文から集客と購買の隔たりを読む
与件文のどこを見るか
- 第9段落: 大手チェーンにはない、こだわりの商品、 非食品小売店の店主からは「売上増加効果が現れていない」 とあります。人は集まっていても、非食品店へ購買が波及していないことが課題です。
- 第8段落: 食品小売業はほぼない状況 とあります。物産市が新たに作った食への関心を、既存店の商品価値へ橋渡しします。
第9段落の 「しかし」 は、物産市の集客成功と非食品店の売上停滞を対比しています。来場者をさらに増やすだけではなく、非食品を買う理由を作る必要があります。
食べたい気持ちを、この器で食べたい気持ちへ変える
出店者の料理と一緒に、食器を使った完成形を見せる
物産市に来る人は、まず食材や加工品に関心を持っています。その食材に合う料理を食器へ盛り付けて展示すれば、食器だけを見るよりも、自宅で使う場面を思い描きやすくなります。 食材・料理と食器を組み合わせた使用提案 です。
例えば、出店者と連携して試食や盛り付け例を用意し、食器店主が器の選び方や食卓の演出を実演します。形・大きさ・色が料理の見え方や使いやすさにどう関わるかを伝え、専門店に相談する価値を示します。
体験したその場で、食器店の購入へ案内する
実演を見て終わらないよう、使った食器の価格や購入場所を示し、物産品と組み合わせた提案を行います。 興味→使用イメージ→店頭への案内・購入 の流れです。店主同士の連携は手段であり、成果は選択した非食品店の売上につながることに置きます。
食器店の当日売上向上策を100字で答案化する
答案の骨格は、次の論点を設問の要求に沿って組み立てることです。
物産市の食品への関心を食器の使用場面へ広げるだけで終えず、店舗案内と当日の購入までを書く。食器店を選択した上で、食品出店者との連携、盛り付け・実演、店頭誘導を順につなぐ。
公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある「売上を伸ばす商品陳列のコツ」は、顧客の優先関心や利用場面に沿って関連商品をまとめ、使用イメージから併買を促す方法について示しています。本問では、「標的顧客の利用場面に合わせ、関連商品を見つけやすく提案する」を2015年度事例IIの与件事実と設問要求へ当てはめます。
| 公的資料の判断軸 | この設問への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| 標的顧客の利用場面に合わせ、関連商品を見つけやすく提案する | 「物産市の食品と、選んだ非食品店の商品を使う場面を結び付ける。 展示・実演から当日の店舗案内と購入までの流れを考える。」を、設問に対応する与件根拠から導く | 公的資料の一般論を答案へ写さず、2015年度のB社固有の事実を主根拠にする |
類題は、2019年度事例II第3問(設問1) です。
共通点 は、商業集積の顧客行動と店舗の組合せから購買機会を作る点です。
相違点 は、本問が「物産市の食品と、選んだ非食品店の商品を使う場面を結び付ける。 展示・実演から当日の店舗案内と購入までの流れを考える。」を扱うのに対し、類題は協業相手と獲得する顧客層の設計を中心に問う点です。
出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21「売上を伸ばす商品陳列のコツ」(顧客の優先関心や利用場面に沿って関連商品をまとめ、使用イメージから併買を促す方法)
公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。
第 3 問(配点 40 点)
設問 1
代表理事は、B 商店街の魅力向上に向け、食品小売店の誘致が必要であると考えている。B 商店街はどのような食品小売店を誘致すべきか。当該食品小売店のマーケティング戦略と併せて、代表理事への助言内容を 100 字以内で述べよ。
設問 2
代表理事は、設問 1 で解答した食品小売店が長期にわたり商店街に定着するための誘致と連動した新規イベントを実施したいと考えている。どのような新規イベントを実施すべきか。期待される効果と併せて、代表理事への助言内容を 100 字以内で述べよ。
回答例(100,96 字)
【設問1】地域の良質な生鮮食品や総菜を扱う専門店を誘致し、家族の人数に応じた量や予約購入に対応する。子育て世帯へ店主が食材の選び方や調理法を対面で提案し、低価格中心の総合スーパーと異なる便利さと安心を提供する。 【設問2】誘致店の食材を使い、店主と既存飲食店のシェフによる親子料理教室を定期開催する。食材の使い方を学び店主と交流する機会から継続購入を促し、顔見知りの固定客を増やして店舗の安定経営と定着につなげる。
解説
この問題の着眼点
第3問は、 誘致する食品店とその戦略→定着を支える新規イベントと効果 を問います。専門店の提供価値を、体験と対話、継続購入へつなげます。
与件文から専門性と関係づくりの方向を読む
与件文のどこを見るか
- 第9段落: 低価格食品販売を主とする総合スーパーと差別化、 こだわりの商品を販売する小売店 とあります。品揃えと専門性で選ばれる食品店の方向が見えます。
- 第10段落: 顧客と店主、店員が顔見知りとなり親しく会話を交わす とあります。長期的に目指すのは、商品だけでなく人への親しみが育つ関係です。
第9段落の 「しかし」 から、イベントに人が集まるだけでは全店の購入に結びつかないことも分かります。第3問では、誘致した食品店の普段の利用と長期定着までを考えます。
図で競合と住宅街の位置を確認する
図1には、商店街に隣接する総合スーパーと、周囲の一般住宅街・高層マンション街が示されています。本文の低価格食品販売というスーパーの特徴を合わせると、同じ地域の生活需要を取り込むために、価格以外の購入理由を持つ食品店が必要だと考えられます。
専門的な品揃えや調理法の対面提案を通じ、食にこだわる顧客に選ばれる店を誘致する方向です。地図は競争と商圏を理解する補助であり、住民全員が高級食品を求めることや、スーパーから商店街へ客が流れていることを示すものではありません。
商品の違いから、相談して買い続ける関係へ進む
低価格スーパーと同じ商品を価格で競うより、こだわりの生鮮品や専門食品を、保存・調理・組み合わせの提案と一緒に売る方向が考えられます。対象は価格だけでなく、味や品質、食卓を楽しむことを重視する顧客です。
その店の食材を使う料理教室なら、味や使い方を体験し、店主へ質問する接点になります。そこで知った食材を店で買い、次の買物で感想を伝える流れを作れば、 体験・会話→安心して相談できる関係→継続購入→店舗の定着 へつながります。
誘致とイベントを各100字で答案化する
答案の骨格は、次の論点を設問の要求に沿って組み立てることです。
専門店の品揃えを家族の生活に合う量・総菜・予約対応として具体化する。料理教室は単発の集客ではなく、調理体験と店主との交流から継続購入を生み、安定経営を支える定期イベントとして説明する。
公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある「小売店開業 開業準備の進め方」は、標的顧客と店のコンセプトを起点に、品揃え・売場・仕入先を一貫設計する方法について示しています。本問では、「標的顧客の利用場面に合わせ、関連商品を見つけやすく提案する」を2015年度事例IIの与件事実と設問要求へ当てはめます。また、「地域住民の喜ぶようなイベントを開催するには、どのようなことに留意すればよいでしょうか。」は、対象・目的・効果を定め、地域連携と他施策との相乗効果で再来訪・固定客化を狙う方法を補う資料として併記します。
| 公的資料の判断軸 | この設問への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| 標的顧客の利用場面に合わせ、関連商品を見つけやすく提案する | 「低価格スーパーと異なる専門性を、家族世帯の買いやすさに結び付ける。 誘致店の食材を使う定期イベントから、交流・継続購入・店舗定着へつなぐ。」を、設問に対応する与件根拠から導く | 公的資料の一般論を答案へ写さず、2015年度のB社固有の事実を主根拠にする |
類題は、2019年度事例II第3問(設問1) です。
共通点 は、商業集積の顧客行動と店舗の組合せから購買機会を作る点です。
相違点 は、本問が「低価格スーパーと異なる専門性を、家族世帯の買いやすさに結び付ける。 誘致店の食材を使う定期イベントから、交流・継続購入・店舗定着へつなぐ。」を扱うのに対し、類題は協業相手と獲得する顧客層の設計を中心に問う点です。
出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21「小売店開業 開業準備の進め方」(標的顧客と店のコンセプトを起点に、品揃え・売場・仕入先を一貫設計する方法) / 中小企業基盤整備機構 J-Net21「地域住民の喜ぶようなイベントを開催するには、どのようなことに留意すればよいでしょうか。」(対象・目的・効果を定め、地域連携と他施策との相乗効果で再来訪・固定客化を狙う方法)
公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。

