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平成 28 年度(2016 年度)事例 Ⅱ 解答解説
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第 1 問(配点 20 点)
設問文
B 社のこれまでの製品戦略について、80 字以内で整理せよ。
回答例(78 字)
国産丸大豆と杉桶の伝統製法を核に、天然醸造・減塩等で差別化し高価格帯で販売した。他社を参考につゆ・たれ等へ広げ多品種化したが、商品の回転にばらつきが生じた。
解説
この問題の着眼点
B社がこれまで採ってきた製品戦略を80字で整理する問題 です。品質・価格、対象顧客、製品ラインの広げ方をまとめます。現在までの行動を捉え、これから行う品目整理や新製品提案とは分けます。
品質の核を守りながら、対象と製品を変えてきた
与件文のどこを見るか
- 第2段落: 国産丸大豆を原材料、 自社の蔵で杉桶を使ったしょうゆ醸造 とあります。原料と製法にこだわった品質が、製品戦略の核です。
- 第4段落: 大手メーカーの激しい低価格攻勢、 ほとんど最終消費者向け製品に特化 とあります。価格競争への対応として、販売対象を変えてきました。
- 第5段落: 基本調味料としてのしょうゆ、 しょうゆをベースに作られたしょうゆ関連製品 とあります。基礎となるしょうゆから、用途に合う加工品・たれ・つゆへ広がっています。
- 第6段落: 同業他社の動きを見ながら新製品を追加投入、 30種以上、 別アイテムと数えると87アイテム、 業界平均よりも全体的にかなり高め、 回転率には今ではかなりばらつき とあります。高価格帯を保ちつつ製品を増やし、その結果として品目別の動きに差が生じています。
伝統製法を、高品質・高価格の特徴として捉える
第2段落の 「しかし」 は、生揚げしょうゆを仕入れる他の中小メーカーと、原料から自社で醸造するB社を対比しています。 国産丸大豆と杉桶による自社醸造 を続けることが、製品の品質を支える特徴です。
その製品は業界平均より高い価格帯にあります。原料や製法を列挙するだけでなく、 伝統製法を核にした高品質・高価格戦略 と束ねると、どのような価値で競争してきたかが伝わります。
低価格競争を避け、最終消費者向けに重点を移す
以前は業務用も製造していましたが、大手の低価格攻勢を受け、現在はほとんど最終消費者向けです。品質に価値を認める顧客に選ばれる方向へ、対象を移してきたと整理できます。
一方、品質を評価する鶏料理専門店とは長期の取引が続いています。対象の変化は「業務用を全て廃止」ではなく、 最終消費者向けを中心にする重点の移動 として書きます。
しょうゆから、料理の用途に合う関連製品へ広げる
製品は、天然醸造・減塩などのしょうゆに加え、だししょうゆ、ドレッシング、鍋つゆなどへ拡張しています。 しょうゆを核とする製品ラインの拡張 と捉えれば、多くの商品名を短くまとめられます。
ただし、品目追加は同業他社の動きを見ながら行われてきました。現在は回転率にばらつきがあり、顧客需要に合わせて選び直す課題が残っています。この点が第2問へつながりますが、第1問では、過去の拡張を今後の整理と混ぜず説明します。
これまでの製品戦略を80字で答案化する
答案の骨格は、次の論点を設問の順に整理することです。
これまでの製品戦略を、国産素材・杉桶等の品質重視、天然醸造・減塩等による高付加価値・高価格、つゆ・たれ等への関連拡張として整理します。他社を参考に製品を増やした結果、回転にばらつきが生じた点も残します。低回転品の整理は今後の助言なので、本問では実施してきた戦略とその状態を述べます。
公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある「事業コンセプトの作り方」は、「誰に・何を・どのように」を一貫させ、強みを顧客価値へ変換する基本軸について示しています。本問では、「標的顧客のニーズから商品・サービスと届け方を設計する」を2016年度事例IIの与件事実と設問要求へ当てはめます。また、「顧客ターゲットを明確化するには、どうすればよいのでしょうか?」は、属性・地域・心理・行動で標的を具体化し、品揃え・サービス・販促を標的へ合わせる方法を補う資料として併記します。
| 公的資料の判断軸 | この設問への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| 標的顧客のニーズから商品・サービスと届け方を設計する | 対象顧客、提供価値、商品・品揃え、販売方法を因果で結ぶ | 与件にない商品を自由発想せず既存資源との適合を確かめる |
類題は、2021年度事例II第2問 と 2022年度事例II第2問 です。共通点 は、顧客価値を商品へ落とすProductの設計です。相違点 は、本問が過去の核製品・対象・ライン拡張の要約で、類題は今後の商品提案を求める点です。
出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21「事業コンセプトの作り方」(「誰に・何を・どのように」を一貫させ、強みを顧客価値へ変換する基本軸) / 中小企業基盤整備機構 J-Net21「顧客ターゲットを明確化するには、どうすればよいのでしょうか?」(属性・地域・心理・行動で標的を具体化し、品揃え・サービス・販促を標的へ合わせる方法)
この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2016年度の与件事実を主根拠にします。
第 2 問(配点 30 点)
設問文
B 社の 11 代目予定者は、自分の代になってからもこれまでの製造スタイルを大切にしながら成長を追求していくつもりである。しかしながら、製品アイテムは見直すことを考えている。
(設問 1)
B 社の今後の成長に必要な製品戦略について、ターゲット層を明確にしたうえで、100 字以内で説明せよ。
回答例(97 字)
食と健康に関心が高い女性・シニアを主対象に、低回転品を整理して経営資源を集中する。伝統製法の品質に減塩・だし等の健康価値を組み合わせ、用途別の高付加価値しょうゆや関連調味料を強化して成長を図る。
解説
この問題の着眼点
ターゲット層を明確にし、今後の成長に必要な製品戦略を100字で示す問題 です。誰がB社の品質を評価するかを決め、その人にとっての価値を製品ラインへ具体化します。Target・顧客提供価値からProductへの流れです。
市場の動きと、既に選ばれている価値を重ねる
与件文のどこを見るか
- 第3段落: 女性やシニア層が連日街を訪れ、 健康に配慮したメニュー、 食に敏感な女性を中心 とあります。観光地の顧客層と、飲食店で評価されている価値を確認できます。
- 第2段落: 国産丸大豆を原材料、 自社の蔵で杉桶を使ったしょうゆ醸造 とあります。今後も使える品質の基盤です。
- 第6段落: 最も販売量が多いのは減塩しょうゆ、 2番手がだししょうゆ、 回転率には今ではかなりばらつき とあります。需要のある製品と、品目を選び直す必要性が分かります。
- 第5段落: ドレッシングや鍋つゆなどのたれやつゆ類 とあります。料理の用途に合わせて展開できる関連製品があります。
- 第7段落: 基本調味料としてのしょうゆの製造販売だけではメーカーの利益が薄い とあります。従来のしょうゆだけに頼らない成長の方向を考えます。
図表から、伸ばす方向を読む
図表1では、2001年から2015年にかけて一世帯当たり購入数量が9.0Lから5.8L、1人当たり消費量が8.1Lから6.1Lへ減っています。しょうゆの需要縮小は、世帯人数の変化だけでは説明できません。
図表2は2008年を1とする指数です。しょうゆは低下する一方、めん類等用つゆは伸び、他の関連製品もしょうゆと同じ低下にはなっていません。 基本調味料の量を増やすことから、用途と価値で選ばれる製品へ と考える材料になります。指数は伸び方を比べるもので、市場の絶対的な大きさを示すものではありません。
食と健康への関心に、B社の品質を合わせる
飲食店では健康に配慮したメニューが人気で、女性客が集まっています。製品でも減塩しょうゆが最多、だししょうゆが次に売れています。これらを重ね、 食と健康に関心の高い女性・シニア層 を主対象に据える方向が考えられます。
第2段落の 「しかし」 で示される自社醸造は、その層へ伝える品質の根拠です。伝統の味を保ちながら、減塩を求める需要には減塩製品、料理をおいしく手軽に仕上げたい需要にはだし・つゆ等を対応させます。だし入りという名称だけで減塩になるとはせず、製品の特徴と便益を分けて説明します。
低回転品を見直し、狙う需要に資源を集中する
既に87アイテムがあるため、新製品を足すだけでは管理や販売の力が分散します。 ターゲットへの適合と回転率を見て、残す製品を選ぶ ことを成長戦略と組み合わせます。
低回転品を確認して整理し、減塩や用途別の高付加価値製品に開発・販売の力を向けます。季節性や数量限定の役割もあるため、回転が低いものを一律廃止するのではなく、顧客需要と製品の役割を確かめる方針です。
ターゲットと製品の重点を100字で答案化する
答案の骨格は、 食・健康に関心の高い女性・シニア→低回転品の整理→伝統品質を活かす減塩・用途別関連品の強化 です。最初に対象を置き、その需要へ応える製品と、重点化のための整理を肉付けします。
100字では、 誰に何の価値を届けるかと、どこへ資源を集中するか を残します。伝統製法を捨てて低価格へ向かうのではなく、既存の品質を顧客が評価する価値に変える方向でまとめます。
公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある「事業コンセプトの作り方」は、「誰に・何を・どのように」を一貫させ、強みを顧客価値へ変換する基本軸について示しています。本問では、「標的顧客のニーズから商品・サービスと届け方を設計する」を2016年度事例IIの与件事実と設問要求へ当てはめます。また、「顧客ターゲットを明確化するには、どうすればよいのでしょうか?」は、属性・地域・心理・行動で標的を具体化し、品揃え・サービス・販促を標的へ合わせる方法を補う資料として併記します。
| 公的資料の判断軸 | この設問への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| 標的顧客のニーズから商品・サービスと届け方を設計する | 対象顧客、提供価値、商品・品揃え、販売方法を因果で結ぶ | 与件にない商品を自由発想せず既存資源との適合を確かめる |
類題は、2022年度事例II第3問 と 2021年度事例II第2問 です。共通点 は、標的顧客を定めて商品・品揃えを合わせることです。相違点 は、本問が女性・シニア向けの低回転品整理と健康価値への集中まで求める点です。
出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21「事業コンセプトの作り方」(「誰に・何を・どのように」を一貫させ、強みを顧客価値へ変換する基本軸) / 中小企業基盤整備機構 J-Net21「顧客ターゲットを明確化するには、どうすればよいのでしょうか?」(属性・地域・心理・行動で標的を具体化し、品揃え・サービス・販促を標的へ合わせる方法)
この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2016年度の与件事実を主根拠にします。
(設問 2)
(設問 1)で想定したターゲット層に訴求するための、プロモーションと販売の戦略を 80 字以内で説明せよ。
回答例(79 字)
直営店併設飲食店で試食・レシピ提案など体験型訴求を行い、SNSやグルメ媒体で高品質を発信する。Z社経由の百貨店・高価格スーパーでの展開と連動して販売を伸ばす。
解説
この問題の着眼点
設問1で選んだ顧客に対するプロモーションと販売戦略を80字で示す問題 です。食と健康に関心の高い女性・シニアという対象を引き継ぎ、価値の伝え方と買える場所を対応させます。PromotionとPlaceの二つを残します。
おいしさを実感し、使い方が分かり、購入できる流れにする
与件文のどこを見るか
- 第3段落: 自社製品をフルラインアップで販売する直営店、 自社製品を麺料理のつゆやだしなどに使用した飲食店、 観光情報誌やグルメサイトなどにも数多く取り上げられている とあります。体験、情報発信、商品購入をつなぐ接点があります。
- 第2段落: 国産丸大豆を原材料、 自社の蔵で杉桶を使ったしょうゆ醸造 とあります。味の体験と合わせて伝える品質の根拠です。
- 第8段落: 百貨店や中〜高価格業態のスーパーや自然食品店、 インターネット販売をすることに対して難色 とあります。品質を評価する顧客に届く既存販路がある一方、新販路には調整が必要です。
飲食店の料理を、製品の使い方を伝える機会にする
しょうゆの瓶だけを見ても、料理でどのような味になるかは想像しにくいものです。直営の飲食店なら、自社製品を使った料理を食べてもらい、使っているつゆやだし、家庭での調理方法を説明できます。
試食やレシピ提案を通じて、 味の体験→家庭で使うイメージ→商品選択 をつなげます。減塩製品や伝統製法についても、実際の商品特性に沿って説明すれば、価格だけで比較されにくくなります。
体験していない顧客にも、料理と品質を伝える
観光情報誌やグルメサイトで取り上げられた実績を活かし、料理の写真、レシピ、原料・製法の背景を発信する方向が考えられます。SNSも、食に関心のある層へ内容を届ける手段になります。
媒体名を並べるのでなく、 どの料理にどう使え、何が品質を支えるか を伝えます。店で体験する顧客と、情報を見て興味を持つ顧客の双方に、同じ製品価値が届くようにします。
発信と、既存の売場を連動させる
直営店では食事で気に入った製品を購入できます。離れた地域の顧客には、Z社経由の百貨店・中〜高価格スーパー・自然食品店という売場があります。 品質を伝える接点と、品質を評価する顧客の買い物先 を合わせることが販売戦略です。
第8段落の 「しかし」 は、他社がECを進める中でも、B社にはZ社の反対があることを示します。ここでは既存の販売網を活かして訴求と販売をつなぎ、ECの棲み分けは第4問で検討します。
プロモーションと販売を80字で答案化する
答案の骨格は、 飲食店での試食・レシピ提案と情報発信+直営店・Z社経由の売場との連動 です。前半に価値を伝える方法、後半に対象顧客が購入できる販路を置きます。
80字では、設問1の対象を変えず、 伝える内容と買う場所の両方 を残します。販促に字数を使い切らず、百貨店等の既存販路を販売の答えとして明示しましょう。
公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある経営ハンドブック「小売業の生産性向上」は、実店舗の体験とEC・顧客データを結び、双方向接点と提案精度を高める小売DXについて示しています。本問では、「顧客が価値を実感する体験を設計し、口コミ・再訪へつなげる」を2016年度事例IIの与件事実と設問要求へ当てはめます。
| 公的資料の判断軸 | この設問への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| 顧客が価値を実感する体験を設計し、口コミ・再訪へつなげる | 地域資源、案内・参加内容、体験後の共有・購買を一続きにする | 媒体やイベント名の列挙だけで終えない |
類題は、2023年度事例II第3問 と 2024年度事例II第4問 です。共通点 は、体験・発信と販売接点を顧客行動へつなぐことです。相違点 は、本問が前小問の対象を引き継ぎ、直営店体験と高価格帯販路を同時に答える点です。
出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21経営ハンドブック「小売業の生産性向上」(実店舗の体験とEC・顧客データを結び、双方向接点と提案精度を高める小売DX)
この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2016年度の与件事実を主根拠にします。
第 3 問(配点 20 点)
設問文
3 年前に開業した直営店併設の飲食店は、売り上げが好調である。B 社が飲食店を直接経営することによって、どのようなメリットと効果を得られるか。売り上げが向上すること以外のメリットと効果について、100 字以内で説明せよ。
回答例(90 字)
顧客の味覚や利用場面の声を直接収集して製品改良に活かし、料理の提供で調味料の味や使い方を体験してもらえる。さらにメディア露出を通じて、伝統と健康を両立するブランド認知を高められる。
解説
この問題の着眼点
飲食店を直接経営することによる、売上向上以外のメリットと効果 を100字で説明します。顧客から学ぶ機能、使い方を伝える機能、ブランドを育てる機能に分けると、直接経営の意味を整理できます。
飲食店を、顧客から学び、価値を伝える接点として捉える
与件文のどこを見るか
- 第3段落: 自社製品を麺料理のつゆやだしなどに使用した飲食店、 健康に配慮したメニューと彩り鮮やかな盛り付け、 観光情報誌やグルメサイトなどにも数多く取り上げられている とあります。製品の使用体験と発信を、自社の接点で設計できます。
- 第6段落: 同業他社の動きを見ながら新製品を追加投入、 回転率には今ではかなりばらつき とあります。他社追随だけでなく、顧客の反応で製品を見直す意義があります。
- 第8段落: 食品卸Z社が一手に引き受けている、 簡素なホームページ とあります。間接販売と限られたWeb発信に対し、直営店は自社で顧客と向き合える接点です。
顧客の反応を、製品改良へ戻せる
直接経営なら、料理への感想や味の好み、使い方の質問を自社で聞けます。どの料理で好まれ、どんな家庭の用途へ広げられそうかを把握すれば、新製品や既存品の改良を考える材料になります。
これまでの他社動向を見た品目追加に対し、 顧客の反応を直接確かめて製品を見直す という学びが得られます。メニューを使う小さな試行と反応確認を、テストマーケティングとして位置づけることもできます。
料理を通じて、製品の使用価値を伝えられる
飲食店では、自社製品をつゆやだしとして味わってもらえます。品質の説明を読んでもらうだけでなく、料理としての味や使い方を実感してもらえる点が特徴です。
レシピや使用製品を案内すれば、直営店で選ぶ際の判断を助け、家庭で使うイメージも持ってもらえます。 料理を通じた使用体験と、製品への理解促進 が、売上という最終結果の手前にある効果です。
顧客との接点を、自社で持つ意味がある
第8段落の 「そのため」 は、Z社の意向を受け、Webが簡素な紹介にとどまることをつないでいます。直接経営する飲食店なら、料理・接客・見せ方を自社で組み立て、顧客へ伝える内容を調整できます。
その料理や盛り付けは既にメディアで紹介されています。 食事体験と第三者の紹介を通じたブランド認知 により、伝統的でありながら健康にも配慮するメーカーという理解を広げられます。
| 直接経営でできること | 得られるメリット・効果 |
|---|---|
| 感想・用途を聞き、反応を確かめる | 顧客ニーズの把握と製品改良 |
| 自社製品を使う料理を提供する | 味・使い方の理解と商品選択の支援 |
| メニュー・接客・情報を自社で整える | 一貫した価値訴求とブランド形成 |
直営による学習・体験・認知を100字で答案化する
答案の骨格は、 顧客の声を製品改良へ+料理による使用体験+メディア露出によるブランド認知 です。情報を何に使うか、体験で味や使い方が理解されること、発信でどんな評価を育てるかを示します。購買促進は波及効果であり、売上以外を問う本問の答案では使用価値の理解に置き換えます。
100字では、 売上増という結果ではなく、それを支える機能と効果 を説明します。「飲食店がもうかる」「販売額が増える」で終えず、顧客理解・使用価値・認知へ言葉を具体化しましょう。
公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある経営ハンドブック「顧客とのコミュニケーションの仕組み」は、顧客接点から要望を集め、製品・サービスの改善と信頼形成へ還流する仕組みについて示しています。本問では、「直接接点で得る顧客反応を体験・改善・ブランドへ還流する」を2016年度事例IIの与件事実と設問要求へ当てはめます。また、経営ハンドブック「サービス業での生産性向上」は、顧客経験、サービスブランド、人材育成、顧客別の提供方法を一体で高付加価値化する考え方を補う資料として併記します。
| 公的資料の判断軸 | この設問への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| 直接接点で得る顧客反応を体験・改善・ブランドへ還流する | 顧客の声、利用体験、外部評価を売上以外の効果として示す | 直営の効果を利益率や売上だけに限定しない |
類題は、2018年度事例II第3問 と 2020年度事例II第4問 です。共通点 は、顧客接点から反応・体験価値を得ることです。相違点 は、本問が直営飲食店の売上以外の効果に限定し、ニーズ収集・製品改良・ブランドを答える点です。
出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21経営ハンドブック「顧客とのコミュニケーションの仕組み」(顧客接点から要望を集め、製品・サービスの改善と信頼形成へ還流する仕組み) / 中小企業基盤整備機構 J-Net21経営ハンドブック「サービス業での生産性向上」(顧客経験、サービスブランド、人材育成、顧客別の提供方法を一体で高付加価値化する考え方)
この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2016年度の与件事実を主根拠にします。
第 4 問(配点 30 点)
設問文
昨今の多くの中小しょうゆメーカーでは、インターネット販売を展開している。B 社もまた、新規事業として直接、最終消費者に対するインターネット販売に乗り出したいと考えている。
(設問 1)
インターネット販売を軌道に乗せるために B 社が採るべきブランド戦略を 50 字以内で提案せよ。
回答例(49 字)
Z社と品揃え・販路を調整し、既存流通品と棲み分けるEC限定ブランドを設け、伝統製法の贈答品を売る。
解説
この問題の着眼点
インターネット販売を軌道に乗せるブランド戦略を50字で提案する問題 です。名前を付けるだけでなく、既存のZ社流通品と何を分け、ECでどんな価値を届けるかを決めます。
既存流通と競い合うのでなく、役割を分ける
与件文のどこを見るか
- 第8段落: 特別な排他的取引契約はないものの、 B社とZ社の取引関係は50年、 インターネット販売をすることに対して難色、 インターネット販売にはまだ着手していない とあります。契約だけでなく、長期の取引関係を踏まえてECの役割を決める必要があります。
- 第2段落: 国産丸大豆を原材料、 自社の蔵で杉桶を使ったしょうゆ醸造 とあります。新ブランドでも活かせる品質の根拠です。
- 第5段落: 数量限定しょうゆ とあります。希少性や贈答用途を考える際に使える製品の例があります。
Z社の反対から、ECの位置づけを考える
第8段落の 「しかし」 は、業界でECが広がっていても、B社には既存取引先の反対があることを示します。同じ商品をECで安く売れば、Z社やその販売先との競合が強まると考えられます。
そこで、 Z社流通品と棲み分けたEC専用新ブランド を設ける方針が考えられます。商品・用途・構成を変え、既存の売場では得られない購入理由をつくります。
ブランド名だけでなく、違う価値を商品にする
例えば、伝統製法を伝える限定品や贈答向けの組み合わせなら、品質や背景をじっくり伝え、特別な用途で選んでもらう方向になります。これは今後の提案であり、既にEC限定商品を販売しているという事実ではありません。
既存商品と中身も価格も同じまま名前だけを変えても、棲み分けの説明は弱くなります。 伝統品質という共通の土台と、EC独自の商品・用途 を両立させ、何のために別ブランドを選ぶのかを明確にします。
既存取引先と共存できる条件にする
Z社との関係は50年に及びます。排他的契約がないことだけで進めず、取り扱う商品や価格、販売対象を説明し、既存流通への影響を調整する必要があります。
EC専用ブランドは、既存販路を切り捨てるためでなく、別の購入機会を開くための手段です。 ブランドの識別と、流通上の役割分担を一緒に考える ことが本問の要点になります。
ECのブランドと棲み分けを50字で答案化する
答案の骨格は、次の論点を設問の順に整理することです。
EC限定ブランドで伝統製法の価値を訴求し、既存流通品と商品・用途を棲み分けます。その際、Z社と品揃えや販路を調整し、既存の取引関係を維持しながら新しい顧客へ届く位置づけを決めます。名前を変えるだけで競合が解消するとせず、調整とブランドの役割を短く示します。
公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある「商品をブランド化するには、どのようにすれば良いのでしょうか?」は、標的と目指すイメージを明確にし、名称・ロゴ・物語と一貫発信でブランド価値を築く方法について示しています。本問では、「標的顧客に約束する価値とブランドの立ち位置を明確にする」を2016年度事例IIの与件事実と設問要求へ当てはめます。また、経営ハンドブック「コーポレートブランディング」と経営ハンドブック「EC(電子商取引)の基本戦略」は、ブランドコンセプトを明確にし、一貫した価値の発信と維持によって信頼・選好へつなげる手順とECの目的、顧客、商品、運営、情報発信を整理し、実店舗を含む顧客接点と購買へ結ぶ考え方を補う資料として併記します。
| 公的資料の判断軸 | この設問への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| 標的顧客に約束する価値とブランドの立ち位置を明確にする | 商品・物語・表現・チャネルを同じブランド価値で統一する | ロゴや広告だけをブランド戦略としない |
類題は、2024年度事例II第2問 と 2021年度事例II第2問 です。共通点 は、固有資源をブランド価値として商品と発信へ統一することです。相違点 は、本問がZ社流通品とのチャネル競合を避けるEC専用ブランドを50字で選ぶ点です。
出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21「商品をブランド化するには、どのようにすれば良いのでしょうか?」(標的と目指すイメージを明確にし、名称・ロゴ・物語と一貫発信でブランド価値を築く方法) / 中小企業基盤整備機構 J-Net21経営ハンドブック「コーポレートブランディング」(ブランドコンセプトを明確にし、一貫した価値の発信と維持によって信頼・選好へつなげる手順) / 中小企業基盤整備機構 J-Net21経営ハンドブック「EC(電子商取引)の基本戦略」(ECの目的、顧客、商品、運営、情報発信を整理し、実店舗を含む顧客接点と購買へ結ぶ考え方)
この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2016年度の与件事実を主根拠にします。
(設問 2)
B 社のインターネット販売を利用する顧客にリピートしてもらうために、インターネット上でどのようなマーケティング・コミュニケーションを展開するべきか。80 字以内で提案せよ。
回答例(77 字)
購入履歴や好みに応じてレシピ・季節商品をメールで案内し、SNSで質問や感想に応える。蔵の製法・原料の物語も定期発信し、対話と継続接点で愛着と再購買を促す。
解説
この問題の着眼点
ECを利用する顧客にリピートしてもらうための、オンライン上のコミュニケーション を80字で提案します。新規客への広告だけでなく、買った後の使い方と対話を通じて関係を続ける、PromotionとCRMの問題です。
購入後にも役立つ情報を届け、顧客の声に応える
与件文のどこを見るか
- 第3段落: 自社製品を麺料理のつゆやだしなどに使用した飲食店、 健康に配慮したメニュー とあります。購入後に役立つレシピや利用提案の材料があります。
- 第5段落: ドレッシングや鍋つゆなどのたれやつゆ類 とあります。季節や料理に応じて紹介できる用途があります。
- 第2段落: 国産丸大豆を原材料、 自社の蔵で杉桶を使ったしょうゆ醸造 とあります。製法や原料の背景を伝え、品質への理解を深める材料です。
- 第8段落: 簡素なホームページ、 インターネット販売にはまだ着手していない とあります。現在の会社紹介から、EC開始後の購入客との接点へ広げる提案です。
レシピと季節提案で、使い続ける理由をつくる
買った調味料を家庭でおいしく使えれば、その製品を再び選ぶ理由になります。飲食店での使い方を家庭向けのレシピとして紹介し、夏の麺料理や冬の鍋など、季節に合う用途を伝える方法が考えられます。
メールマガジンやSNSはその届け方です。 購入した製品の使い方→料理の満足→使い続けたい気持ち をつなげる内容にします。更新頻度や媒体名だけでなく、何を受け取ると顧客に役立つかを決めます。
原料と製法の物語で、ブランドへの理解を深める
第2段落の 「しかし」 で他社と対比される自社醸造は、購入後にも伝える価値があります。国産丸大豆、杉桶、蔵での製法を写真や文章で紹介し、味の背景と品質へのこだわりを知ってもらいます。
レシピが日々の利用を支える情報なら、製法の物語はB社を選び続ける理由を育てる情報です。 実用的な使い方と、作り手への共感 を組み合わせます。
一方的な配信から、次の提案に使う対話へ
投稿や質問に返信し、顧客がどの料理に使い、何に困ったかを聞きます。使い方への質問には説明を返し、好まれたレシピや提案への反応を次の発信へ反映します。 配信→反応・質問→返信と改善→継続接点 という循環です。
顧客の声が取り上げられ、自分に合う使い方が分かれば、販売後も相談できる関係になります。EC開始後は購入履歴や希望に合う案内も考えられますが、現在その情報が蓄積済みであるとは扱いません。
有用な発信と双方向対話を80字で答案化する
答案の骨格は、次の論点を設問の順に整理することです。
購入履歴や好みに応じて使い方や季節商品を個別案内し、購入後に役立つ情報を届けます。製法・原料の物語による継続発信と、質問・感想への返信も組み合わせます。一方的に告知するだけでなく、個客に合う情報と双方向の対話で関係を深め、再購買へつなげます。
公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある「SNSを始めましたが、継続的に活用するためのポイントを教えてください。」は、役立つ情報を継続配信し、対話を重ねて長期関係とファンを育てる運用原則について示しています。本問では、「顧客情報を次の個別対応と関係深化へ活用する」を2016年度事例IIの与件事実と設問要求へ当てはめます。また、「CRMの導入についてその進め方と注意点などを教えてください。」は、顧客情報を目的別に整備・分析し、個別対応、関係深化、次の改善へ循環させる方法を補う資料として併記します。
| 公的資料の判断軸 | この設問への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| 顧客情報を次の個別対応と関係深化へ活用する | 必要情報、個別対応、満足・再購買の順で因果を作る | 情報収集や一斉配信だけで終えない |
類題は、2025年度事例II第3問 と 2019年度事例II第2問 です。共通点 は、顧客理解を個別対応と継続関係へ使うことです。相違点 は、本問がネット上の価値情報・双方向対話を再購買へつなぐ点です。
出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21「SNSを始めましたが、継続的に活用するためのポイントを教えてください。」(役立つ情報を継続配信し、対話を重ねて長期関係とファンを育てる運用原則) / 中小企業基盤整備機構 J-Net21「CRMの導入についてその進め方と注意点などを教えてください。」(顧客情報を目的別に整備・分析し、個別対応、関係深化、次の改善へ循環させる方法)
この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2016年度の与件事実を主根拠にします。

