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平成 19 年度(2007 年度)事例 Ⅲ 解答解説
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第 1 問(配点 20 点)
設問文
印刷業界における C 社の強みを(a)欄に、弱みを(b)欄に、2 つずつあげ、それぞれ 20 字以内で述べよ。
回答例(19,16 字)
【a欄(強み)】組版から製本までの短納期一貫生産体制。 【b欄(弱み)】広告代理店依存による低収益体質。
解説
この問題の着眼点
C社の強みと弱みを一つずつ、各20字で答える与件抜粋型の問題です。 強みは顧客への対応を支える能力、弱みは利益を得にくくしている体質 として選びます。
根拠を集め、後続設問から優先順位を決める
与件文のどこを見るか
- 第2段落: 広告代理店からの受注が3割を超え利益率が低下 とあります。取引先の構成変化が利益率へ影響しています。
- 第3段落: C社の印刷紙面づくりは、このDTPを採用 とあります。組版・製版を支える既存の技術です。
- 第4段落: 組版から製本に至るすべての工程を社内に備える 、 厳しさを増している短納期要請に応える とあります。工程を社内でつなぐ体制が、顧客への短納期対応に結びつきます。
候補をマーキングしてから、次の問題へ進む
読みながら強み・弱みの候補に印を付け、この段階では20字へ絞り込まず後続設問へ進みます。蛍光ペンの色やS・Wの印で区別しておけば、最後に戻ったときに整理しやすくなります。
第2問以降を解いて、1軍・2軍を分ける
| 区分 | 1軍:答案へ優先して残す候補 | 2軍:補足候補と後続設問との関係 |
|---|---|---|
| 強み | DTPを活用した印刷一貫生産体制と短納期対応力 | 企画・デザイン提案力。第2問の顧客との関係や第5問の付加価値向上にも関わる |
| 弱み | 広告代理店依存による低収益体質 | 本社・工場間の連絡ミスや生産変更の多さ。第3・4問で改善対象となる |
第2問では代理店経由の取引を、採算と情報不足の両面から考えます。第3・4問では情報共有と生産管理、第5問では印刷を基盤とした事業拡張を考えます。後続設問を解くと、 一貫生産という基盤を持ちながら、受注の取り方や管理の問題で利益を得にくい という全体像が見えてきます。
工程の名前を、顧客に役立つ強みへまとめる
DTPと一貫生産を別々の強みとして並べるより、DTPを活用して組版から製本まで対応できる体制へ束ねます。その顧客価値が短納期対応です。現在の生産混乱は、この体制を十分に活かすための管理上の課題として区別します。
弱みは「広告代理店が増えた」で止めず、その取引への依存が 利益率低下 につながっているところまで残します。売上は比較的安定しており、売上減少と利益率低下を取り違えないようにします。
強み・弱みを各20字で答案化する
答案の骨格は、次の論点を設問の要求に沿って組み立てることです。
強みを一つ選ぶ欄では、組版から製本までの一貫生産と短納期対応を具体的に述べる。企画提案力など別の強み候補をすべて盛り込む必要はない。
公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある経営ハンドブック「商品開発・市場開拓のための社内外の組織・体制づくり」は、3C・4P・SWOTで自社と市場を整理し、顧客の声や異分野との接点を社内外の体制へ落とす方法について示しています。本問では、「自社資源と外部環境を両方分析し、差別化と実行可能な経営計画へ結び付けること」を2007年度事例IIIの与件事実と設問要求へ当てはめます。
| 公的資料の判断軸 | 本問への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| 自社資源と外部環境を両方分析し、差別化と実行可能な経営計画へ結び付けること | SWOTと内部環境と一貫生産体制を、与件の事実と設問要求に対応させる | 戦略名だけを書かず、対象市場、自社能力、実行条件、期待効果を因果で示す |
類題は、2024年度事例III第5問です。
- 共通点:どちらも、与件の生産・技術上の事実を、SWOTと内部環境の判断へ変換する点が共通します。
- 相違点:本問は「SWOTと内部環境→一貫生産体制→QCD・成長への効果」を中心に問うのに対し、類題は「保有技術を生かす新事業と、その実行体制」を中心に問います。要求と制約が異なるため、類題の施策をそのまま移さず、本問の与件で取捨選択します。
出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21経営ハンドブック「商品開発・市場開拓のための社内外の組織・体制づくり」(3C・4P・SWOTで自社と市場を整理し、顧客の声や異分野との接点を社内外の体制へ落とす方法)
この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2007年度の与件事実を主根拠にします。
第 2 問(配点 20 点)
設問文
C 社では、広告代理店が介在する受注の増加により収益面や生産面に影響が出ている。こうした状況をどう捉え、どのような対策を講じる必要があるか、120 字以内で述べよ。
回答例(120 字)
代理店取引の増加は受注機会だが、利益率低下と最終顧客情報不足による色調・仕様トラブルを伴う。採算で取引条件を見直し、最終顧客への企画・デザイン提案で付加価値受注を増やす。データ形式や色見本・仕様を事前確認し、変更を営業と工場で即時共有する。
解説
この問題の着眼点
広告代理店との取引増加をどう捉えるか、そのうえでどんな対策を取るかを120字で説明します。 受注確保の機会と、収益・生産面の問題 を両方見て、問題に対応する施策へつなげます。
仕事が増えることと、利益を確保できることを分ける
与件文のどこを見るか
- 第2段落: 広告代理店からの受注が3割を超え利益率が低下 とあります。受注の拡大だけでは収益性を確保できていません。
- 第6段落: 広告代理店との打ち合わせにとどまるケースが増えてきている とあります。最終ユーザーの意図を直接確かめる機会が減っています。
- 第7段落: 印刷データに変換する際のトラブル 、 印刷時の色調上のトラブル 、 本社と工場間の連絡ミスなどの管理体制の遅れ とあります。顧客情報の不足に加え、社内の情報伝達にも問題があります。
受注を得る窓口として評価し、採算で取引条件を見直す
広告代理店は最終ユーザーから仕事を集めるため、C社にとって受注確保の窓口になります。一方で、代理店経由の比率上昇と利益率低下が併記されています。取引増加を一律に否定するのではなく、 案件ごとの採算を確かめて受注先・価格・条件を見直す 必要があります。
見積時に仕様や納期、修正対応に必要な工数を把握し、利益を確保できる条件を代理店と調整します。売上の確保だけを優先して短納期や追加対応を受け続ける状態から、採算を踏まえた受注へ変えます。
最終ユーザーの意図を、工場まで届く情報にする
第6段落の ところが は、直接受注なら得られた情報が、代理店経由では得にくくなるという変化を示します。完成品に近いデータが届いても、印刷用への変換や色調の確認は必要です。見た目が整っていることと、そのまま印刷できることは別です。
代理店を通じて用途や仕上がり、色調・校正基準を確認し、必要に応じて最終ユーザーも交えた確認機会を設けます。その内容を営業・DTP・工場で共有し、仕様変更時の連絡先、更新方法、承認手順をそろえます。
第7段落は社内の連絡ミスも原因に挙げています。 外から必要な情報を得ることと、社内で正しく伝えること を組み合わせて、手直しや印刷予定の混乱を減らす対策にします。
取引の評価と対応策を120字で答案化する
答案の骨格は、受注機会と利益率・情報不足の問題を評価し、採算に応じた取引見直しと企画提案、事前の仕様確認と変更共有を組み合わせる形です。最終顧客へ企画・デザインを提案し、単に印刷を請ける以外の付加価値を高めます。代理店取引の全面排除は求めず、活用する取引と自社の提案力を発揮する受注を両立させます。データ形式や色見本は事前に確認して工場まで伝えます。
公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある経営ハンドブック「コスト削減の仕方」は、活動別・製品別の間接コストまで可視化し、ムダ・ムラ・ムリを特定して削減する方法について示しています。本問では、「製品別原価や経営状態を可視化し、標準化した業務と数値根拠を改善・価格判断へ使うこと」を2007年度事例IIIの与件事実と設問要求へ当てはめます。
| 公的資料の判断軸 | 本問への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| 製品別原価や経営状態を可視化し、標準化した業務と数値根拠を改善・価格判断へ使うこと | 取引別収益性と生産計画と生産統制を、与件の事実と設問要求に対応させる | 原価低減という結果だけでなく、対象費目、発生原因、把握方法、改善策を対応させる |
類題は、2024年度事例III第4問です。
- 共通点:どちらも、与件の生産・技術上の事実を、取引別収益性の判断へ変換する点が共通します。
- 相違点:本問は「取引別収益性→生産計画と生産統制→QCD・成長への効果」を中心に問うのに対し、類題は「製品別原価を把握し、価格交渉の根拠を整える社内対策」を中心に問います。要求と制約が異なるため、類題の施策をそのまま移さず、本問の与件で取捨選択します。
出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21経営ハンドブック「コスト削減の仕方」(活動別・製品別の間接コストまで可視化し、ムダ・ムラ・ムリを特定して削減する方法)
この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2007年度の与件事実を主根拠にします。
第 3 問(配点 20 点)
設問文
C 社の営業と工場が相互理解を深め、受注から生産までの業務を円滑に遂行するために管理すべき情報項目と、その情報伝達のあり方について、合わせて 140 字以内で説明せよ。
回答例(140 字)
受注仕様、数量・納期、色調・校正基準、変更履歴、工程別能力・負荷・進捗、DTPデータ変換・用紙調達状況を管理する。営業は受注前に工場と能力・納期を照合して合意する。営業・DTP・工場が共通帳票・システムを随時更新し、変更時は即時通知・確認する。定例会議で計画と実績の差を調整する。
解説
この問題の着眼点
営業と工場の間で管理する 情報項目 と、その 伝達方法 を140字で答えます。何を共有するかを具体化したうえで、誰がいつ更新し、変更をどう伝えるかまで説明します。
受注の情報と、実際に作れる条件を往復させる
与件文のどこを見るか
- 第1段落: 翌日の生産予定に必要な印刷用紙(材料) 、 夜間に工場に配送 とあります。予定変更は用紙の手配・配送にも影響します。
- 第3段落: 本社のDTP部門が「組版」と刷版を除く「製版」を、工場が刷版以後の工程を担当 とあります。工程が本社と工場にまたがっています。
- 第7段落: 手直し・修正などの仕様変更 、 本社と工場間の連絡ミス とあります。変更情報の食い違いを防ぐ仕組みが必要です。
- 第8段落: 受注獲得を最優先 、 生産変更が毎日繰り返される とあります。受注判断へ工場の能力・負荷を反映する必要があります。
トラブルから逆に、必要な情報項目を選ぶ
| 防ぐ問題 | 管理する情報 | 情報を使う判断 |
|---|---|---|
| 色調違い・修正の伝達漏れ | 受注仕様、色調・校正基準、承認状況、変更履歴 | 最新の仕様で製版・印刷する |
| 短納期の受入れによる混乱 | 納期・優先順位、工程別の負荷・進捗 | 守れる納期を回答し、投入順や日程を調整する |
| 印刷開始に必要な準備の遅れ | DTPデータの変換状況、用紙の調達・配送状況 | データと材料がそろう時点を計画へ反映する |
DTPは導入済みです。新たにDTPを入れる提案ではなく、 本社のデータ作成から工場の刷版・印刷へ、最新情報を途切れさせず渡す ことが課題です。用紙も翌日の予定に合わせて夜間配送しているため、予定だけを変え、材料の手配が旧予定のままになることを防ぎます。
共通の記録に、即時の更新・通知を組み合わせる
営業・DTP・工場が同じ受注番号と項目を使う共通帳票・システムへ、情報の発生時に入力する運用を整えます。変更時は内容・時刻・承認者を記録し、関係部門へ即時に通知して確認を取ります。記録を共有するだけでなく、 最新版が作業指示へ反映されたことまで確かめる 仕組みにします。
工場からも負荷や進捗、遅れの見込みを営業へ返します。営業がその情報を見て納期を調整できれば、受注後に工場へ無理を求める流れを変えられます。定例会議では計画と実績の差異を確認しますが、急な変更連絡を会議まで待たせない運用が必要です。
情報項目と伝達方法を140字で答案化する
答案の骨格は、受注条件と生産可能条件を共有し、受注前に能力・納期を合意し、受注後は変更を即時に反映する、です。工場の負荷・進捗や用紙の調達状況は、守れる納期で受注できるかの判断にも使います。共通システムへの登録だけでは合意を得たことにならないため、営業と工場が照合する時点を明示します。定例会議は差異の調整に使い、急な変更の通知を会議まで待たせません。
公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある経営ハンドブック「製造現場の生産性向上」は、事業領域と強みを踏まえ、設備、IT、生産管理システム、CAD/CAM等で製造現場の生産性を高める方法について示しています。本問では、「工程・受注・在庫の情報を可視化して共有し、標準化した運用と改善へ使うこと」を2007年度事例IIIの与件事実と設問要求へ当てはめます。
| 公的資料の判断軸 | 本問への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| 工程・受注・在庫の情報を可視化して共有し、標準化した運用と改善へ使うこと | 製販連携と生産管理情報を、与件の事実と設問要求に対応させる | IT導入だけで終わらず、誰が、いつ、どの情報を更新し、何を判断するかを書く |
類題は、2024年度事例III第3問です。
- 共通点:どちらも、与件の生産・技術上の事実を、製販連携の判断へ変換する点が共通します。
- 相違点:本問は「製販連携→生産管理情報→QCD・成長への効果」を中心に問うのに対し、類題は「短納期に対応する生産計画と工程統制」を中心に問います。要求と制約が異なるため、類題の施策をそのまま移さず、本問の与件で取捨選択します。
出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21経営ハンドブック「製造現場の生産性向上」(事業領域と強みを踏まえ、設備、IT、生産管理システム、CAD/CAM等で製造現場の生産性を高める方法)
この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2007年度の与件事実を主根拠にします。
第 4 問(配点 20 点)
設問文
C 社工場では繁忙期の生産能力不足解決策として両面印刷機の導入が望ましいとされるが、経営者は投資環境が整っているとは考えていない。設備投資問題について、C 社の経営環境および生産体制上の問題を踏まえ、中小企業診断士として投資実行の立場を明確にしつつ、どのようなアドバイスをするかを 160 字以内で述べよ。
回答例(157 字)
条件整備後に投資を実行する。競合の導入で必要性は高いが、約3億円の負担と繁忙期に偏る需要を踏まえ通年稼働・回収採算を確認する。まず採算で受注を選別し、仕様変更の共有、計画・進捗管理、標準化で既存能力を高める。改善後の需要に応じ設備仕様と導入時期を決め、旧設備の配置を見直し作業者を教育して前後工程との連携を整える。
解説
この問題の着眼点
最新印刷機に投資するかどうか、立場を明確にして160字で説明します。ここでは 直ちには投資せず、管理改善と需要・採算の確認後に実行する 立場を取ります。必要性を認めたうえで、実行条件を示します。
機械を増強する前に、能力不足の中身を分ける
与件文のどこを見るか
- 第8段落: 生産変更が毎日繰り返される 、 繁忙期には生産能力不足 とあります。通年の管理上の混乱と、繁忙期の能力不足を分けます。
- 第9段落: 総額3億円近く 、 年4~5カ月の繁忙期 とあります。投資負担と年間を通じた設備利用を比較する必要があります。
- 第10段落: 同規模の企業でも徐々に装備し始めている 、 片面刷りの2台分を大きく超える生産性 とあります。競争力を維持するための更新効果も考えます。
毎日の生産変更と、繁忙期の能力不足は同じではない
営業は受注獲得を優先し、工場では毎日予定が変わっています。仕様・変更の連絡ミスや予定の組み直しが残れば、高速の機械を入れても準備待ちや手戻りを十分に減らせません。まず受注条件を調整し、販売・生産情報の共有、計画・進捗管理、作業の標準化によって 既存設備を有効に使える状態 を作ります。
そのうえで、改善しても処理しきれない仕事量を確認します。深夜までの残業は年4~5カ月の繁忙期であり、そのピークだけで必要設備を決めると、他の時期に十分使えない可能性があります。 管理の問題で失っている能力と、改善後も足りない能力 を分けることが投資判断の出発点です。
競争上の必要性を、年間の稼働と採算へつなぐ
同規模企業にも最新機が普及し、両面刷りと高い印刷速度はコスト競争力に関わります。投資を先送りし続けることにも不利益があります。一方、約3億円の投資を回収するには、繁忙期以外の需要も含め、どれだけ使えて利益を生むかを確かめる必要があります。
比較するのは、改善後の需要・負荷、印刷や後工程の能力、稼働見込み、費用削減・利益への効果です。印刷機単体の速度が上がっても、製版や製本を含む全体能力が同じ割合で増えるとは限りません。こうした検証から設備仕様と導入時期を決めれば、 競争力の確保と過大投資の回避 を両立する判断になります。
投資の立場・理由・実行条件を160字で答案化する
答案の骨格は、条件整備後の実行という立場、競争と通年採算の検証、既存管理の改善、導入の準備です。繁忙期だけの不足で過大な投資を決めず、受注・変更・工程管理の改善後に残る能力不足を評価します。そのうえで旧設備の配置、作業者の教育、前後工程との連携を整えます。設備単体の速度をそのまま工場全体の能力とみなさず、実行時の体制まで助言します。
公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある経営ハンドブック「製造現場の生産性向上」は、事業領域と強みを踏まえ、設備、IT、生産管理システム、CAD/CAM等で製造現場の生産性を高める方法について示しています。本問では、「投資目的と現場課題を特定し、標準化、投資効果、資金制約を確認して導入を判断すること」を2007年度事例IIIの与件事実と設問要求へ当てはめます。
| 公的資料の判断軸 | 本問への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| 投資目的と現場課題を特定し、標準化、投資効果、資金制約を確認して導入を判断すること | 設備投資の意思決定と生産能力計画を、与件の事実と設問要求に対応させる | 設備導入を先に結論とせず、現場改善、必要能力、投資採算を比較する |
類題は、2023年度事例III第5問です。
- 共通点:どちらも、与件の生産・技術上の事実を、設備投資の意思決定の判断へ変換する点が共通します。
- 相違点:本問は「設備投資の意思決定→生産能力計画→QCD・成長への効果」を中心に問うのに対し、類題は「新規受注に必要な工程・設備と投資の実行可能性」を中心に問います。要求と制約が異なるため、類題の施策をそのまま移さず、本問の与件で取捨選択します。
出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21経営ハンドブック「製造現場の生産性向上」(事業領域と強みを踏まえ、設備、IT、生産管理システム、CAD/CAM等で製造現場の生産性を高める方法)
この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2007年度の与件事実を主根拠にします。
第 5 問(配点 20 点)
設問文
C 社は大手製品メーカーの製品取扱説明書の印刷、在庫、配送業務を一括受注しているが、事業領域拡大に向け、名簿管理を基軸とした通信販売会社、各種団体、学会等を想定した事業実施を検討中である。こうした新規事業に C 社が取り組むことについて、どのようなアドバイスをするかを 140 字以内で述べよ.
回答例(132 字)
通販会社や学会に、名簿更新から印刷・在庫・配送までの一括受注を提案し、一貫生産と配送経験を生かして顧客の管理負担を減らし収益を高める。更新権限とアクセス管理、担当者教育で個人情報を保護し、宛先を確認して在庫・配送計画を連動させ、納品変更にも正確かつ迅速に対応する。
解説
この問題の着眼点
名簿管理を基軸とする新規事業について、取り組むかどうかと実行上の留意点を140字で助言します。 一括受注の付加価値を高める方向を選び、管理体制を整えて段階的に進める と考えます。
印刷物だけでなく、届けるまでの仕事を引き受ける
与件文のどこを見るか
- 第11段落: 製品取扱説明書の印刷・在庫・配送といった一括受注 、 顧客の生産計画に対応したきめ細かな配送体制 、 突発的な納品変更にも対応できる在庫管理や生産管理 とあります。既に取り組み始めた一括受注でも、印刷以外の管理が必要です。
- 第12段落: 配送先の名簿データの更新 、 個人情報に関する取り扱いと、管理体制の整備 とあります。名簿管理を加えると、情報の正確さと適切な取り扱いも業務品質になります。
顧客業務に関わる範囲を広げ、継続受注につなげる
製品取扱説明書の印刷・在庫・配送は、C社が既に取り組み始めている事業です。今回はその一括対応へ名簿管理を加え、通販カタログや団体の案内、学会誌などへ広げる構想です。
顧客は印刷と配送を別々に手配する負担を減らせます。C社も配送先の更新や次回発送まで担えば、一度の印刷で終わらず継続的に関われます。 印刷単体の価格競争から、顧客の業務負担を減らす付加価値へ広げる ことが取り組む理由になります。
名簿の正確さと、印刷・在庫・配送の連動をそろえる
名簿が古ければ、正しく印刷しても送り先を間違えます。閲覧・更新の権限、更新履歴、確認担当を決め、必要な情報を適切に扱う体制を整えます。情報管理の責任を曖昧にせず、顧客からの変更をいつの発送に反映するかも確認します。
同時に、顧客の予定と注文変更を生産・在庫・配送へ反映します。印刷部数、在庫、宛先、出荷日を照合し、突発変更時の指示と確認手順を決めれば、誤配送や旧情報による発送を防ぎやすくなります。 名簿だけを管理するのではなく、正しい印刷物を正しい相手へ届ける一連の業務 を設計します。
対象を絞り、採算と運用品質を確かめて広げる
通販会社、各種団体、学会では、名簿の更新頻度や発送条件が異なります。最初から全対象へ広げず、対象業界や案件を絞って試行し、更新・配送の正確さと必要工数、採算を確かめます。印刷以外の手間も料金へ反映できることを確認してから拡大します。
取り組む理由と管理条件を140字で答案化する
答案の骨格は、次の論点を設問の要求に沿って組み立てることです。
新事業を単なる名簿管理にせず、通販会社・学会などを対象とした印刷から配送までの一括受注として説明する。従来の在庫・配送対応を生かしつつ、名簿更新の正確性と個人情報の取扱体制を追加して顧客負担を減らす。
公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある経営ハンドブック「商品開発・市場開拓のための事業化テストの取り組み方」は、採算、安全・耐久性、生産計画、原料調達、顧客反応を小さく試して事業化可否を判断する方法について示しています。本問では、「自社資源と外部環境を両方分析し、差別化と実行可能な経営計画へ結び付けること」を2007年度事例IIIの与件事実と設問要求へ当てはめます。また、「個人情報保護法ガイドライン(通則編)」は、個人情報を適正に取得・利用・管理するための責任機関による指針を補う資料として併記します。
| 公的資料の判断軸 | 本問への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| 自社資源と外部環境を両方分析し、差別化と実行可能な経営計画へ結び付けること | 新事業の実行可能性と個人情報・顧客情報管理を、与件の事実と設問要求に対応させる | 戦略名だけを書かず、対象市場、自社能力、実行条件、期待効果を因果で示す |
類題は、2024年度事例III第5問です。
- 共通点:どちらも、与件の生産・技術上の事実を、新事業の実行可能性の判断へ変換する点が共通します。
- 相違点:本問は「顧客名簿→受注・在庫・配送の一括運用→情報保護と誤配送防止→事業拡大」を中心に問うのに対し、類題は「保有技術を生かす新事業と、その実行体制」を中心に問います。要求と制約が異なるため、類題の施策をそのまま移さず、本問の与件で取捨選択します。
出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21経営ハンドブック「商品開発・市場開拓のための事業化テストの取り組み方」(採算、安全・耐久性、生産計画、原料調達、顧客反応を小さく試して事業化可否を判断する方法) / 個人情報保護委員会「個人情報保護法ガイドライン(通則編)」(個人情報を適正に取得・利用・管理するための責任機関による指針)
この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2007年度の与件事実を主根拠にします。

