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平成 24 年度(2012 年度)事例 Ⅱ
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# 平成 24 年度(2012 年度)事例 Ⅱ
## 与件文
B 酒造(B 社)は、地方都市の X 市にある芋焼酎を専門とする酒造メーカーである(資本金 2,000 万円、パートを含む従業員数 20 名)。B 社は 1899 年(明治 32 年)に現会長の曾祖父が創業し、経営は同族間で引き継がれ、現在は 4 代目が会長、5 代目が社長に就任している。創業以来、陶器製カメを用いた伝統的製法にこだわった焼酎造りを続けている.
なお、X 市の主な産業は畜産業、酒造業、陶器製造業などであり、2000 年代に入って大規模な陶器工場が撤退するなどの影響もあって、経済的にはやや縮小傾向にあり、それに伴い市内人口も減少している.
B 社製品の購入者は、創業以来 1990 年代に至るまではほぼ X 市内の消費者によって占められてきたが、B 社は 1980 年代に一度経営不振に陥り、その後の経営再建により状況は一変した.
1980 年代、B 社では伝統的な芋焼酎の味わいにこだわったことが災いし、新製品の開発が停滞した。当時は甲類焼酎(注 1)を用いたチューハイブームの時期であり、また麦を原材料とする飲みやすい乙類焼酎(注 2)が全国的にヒットするなど、消費者の焼酎に対する嗜好が変化した。これらの影響で焼酎全体の消費量が大幅に伸びる中、自社製品の売上は低迷し、B 社は危機意識を高め、1990 年代に入り経営再建に着手した.
経営再建の過程で B 社は、製造方法の見直しと他企業との提携という 2 つの改革を行った。製造方法の見直しでは、新たに杜氏(焼酎造りの専門家)を招き、陶器製カメという伝統的な焼酎造りのこだわりを守りながらも、消費者の嗜好変化に対応できるよう発酵方法等を見直した。また、杜氏の助言をもとに既存製品をリニューアルし、原材料である芋の香りを残しつつ、X 市内消費者の嗜好に合わせてやや甘みのある味わいに変更した.
その上で B 社は、企業提携による新たな販路の獲得を模索した。第 1 の提携先は全国に販路を有する大手酒造メーカー Y 社であった。Y 社は当時、清酒と甲類焼酎をメインに販売していたが、製品ラインアップには有力な乙類焼酎、特に高品質の芋焼酎が欠けていた。B 社の伝統的製法による製品が加わることは Y 社にとって魅力的な提携であり、提携後、両社は製品開発を開始。Y 社の全国的な市場調査に基づき、芋の香りを抑えた全国向け新製品が開発され、この共同開発製品は好調な販売推移をたどり、現在も両社の主力製品となっている.
第 2 の提携先は、県内に数店舗を展開する酒販店 Z 社である。Z 社は、急成長していたスーパーマーケットや競合のディスカウントストアに対抗するため、プライベートブランドの開発を検討していた過程で、X 市内にある B 社との提携に至った。このプライベートブランドは、X 市内だけでなく、Z 社が出店する県内全域を販路と想定し、開発が進められた。X 市内ではお湯割りでの飲み方が主流であるが、県内では徐々にロック(氷割り)で焼酎が飲まれ始めているという市場調査結果に基づき、ロック向けの製品が開発され、県内消費者から支持を得た.
なお、これらの提携による共同開発製品は、従来から稼働している自社工場を大規模に改修することなく生産され、製品ラベルには製造者として B 社の名称、販売者として提携先企業の名称が記載されている.
B 社と Y 社、Z 社との提携は、市場ニーズに合った製品の共同開発で成功したといえるが、伝統的製法へのこだわりを製品ラベルや広告、店頭販促に前面に出したことが、双方の製品の重要な成功要因であったという認識は一致している.
1990 年代の経営再建による新たな販路獲得に加え、2000 年代の全国的な乙類焼酎流行(本格焼酎ブーム)により B 社の経営状態は大幅に改善した。Y 社との共同開発製品は、全国の飲食店の店主から高い評価を受け、Y 社内では飲食店市場向け営業成績向上の要因の一つとされている。また、Z 社のプライベートブランドも“ロック向け”という訴求が県内消費者に支持され、該当商品の来店目的として声が寄せられている.
しかし、2010 年代に入って本格焼酎ブームが下火になる中で、B 社の近年の売上はやや停滞している。B 社では「伝統的な製法」に加え、市場に対するユニークな企業ブランド価値のデザインが課題となっており、この課題に対して 5 代目社長を中心に様々な試みが繰り返されている。社長は、地域に根ざした企業ブランドの強化を目指し、地元 X 市にフォーカスしたマーケティングを開始している。4 代目会長が行った提携による全国や県内への展開が一巡したことを踏まえ、再び地元 X 市の消費者との関係強化を図るべきだと考えている。なお、2010 年代に入ってからの B 社売上高の約半額は Y 社・Z 社との共同開発製品、残りは X 市内向け製品からもたらされている。そのため、X 市の経済低迷や人口減少は、X 市地域と B 社双方にとって共通の問題である。特に X 市の大きな課題の 1 つは、2000 年代中頃に洪水で大規模被害を受けた商店街の復興であり、水害後も堤防増強などの公共工事が行われ、一部店舗の移転が求められるなどの影響が続いている。しかし、ほとんどの商店主は商店街の衰退が買物難民や周辺地域の衰退につながると考え、廃業せず新たに盛り上げる努力を続けている。B 社はこの商店街の復興を自社課題の 1 つとし、X 市内向け製品売上の一部を、商工会議所主催の商店街イベントや新規出店支援事業に寄付している.
そして、B 社の社長は、地域に根ざした企業ブランドのさらなる強化に向け、中小企業診断士に今後の展開について相談することとした.
(注 1)甲類焼酎とは、原材料のクセや香りの無い焼酎のことである.
(注 2)乙類焼酎とは、原材料本来の旨みや香りを有した焼酎のことであり、本格焼酎とも呼ばれている.
## 設問文
### 第 1 問(配点 10 点)
B 社が経営再建のためにターゲット・セグメントごとに展開した製品戦略の概要を 100 字以内で説明せよ.
### 第 2 問(配点 30 点)
B 社は提携により新たな販路を獲得し、経営再建を成し遂げた。一方、この提携は提携先企業にとってもメリットがあったため成功したといえる。B 社の提携先企業にとってのメリットについて、次の設問に答えよ.
#### 設問 1
B 社が行った垂直的な提携は、提携先企業にとってどのようなメリットがあったと考えられるか。100 字以内で答えよ.
#### 設問 2
B 社が行った水平的な提携は、提携先企業にとってどのようなメリットがあったと考えられるか。100 字以内で答えよ.
### 第 3 問(配点 30 点)
B 社が取り組んだコーズリレーテッド・マーケティングについて、次の設問に答えよ.
#### 設問 1
B 社が行ったコーズリレーテッド・マーケティングの概要を 80 字以内で整理せよ.
#### 設問 2
B 社の売上はコーズリレーテッド・マーケティングの効果により再び拡大しつつある。コーズリレーテッド・マーケティングが B 社の売上拡大に結びついた理由を考察し、80 字以内で答えよ.
### 第 4 問(配点 30 点)
地域における企業ブランドの強化に向け、有効と考えられる B 社のマーケティング・アクションを 2 つ提案し、それぞれについて 80 字以内で答えよ。ただし、各アクションの実行により期待される効果についても併せて述べること.
## 出題の趣旨
### 第 1 問(配点 10 点)
B 社が水平的提携、垂直的提携を通じて採用することになったセグメンテーション戦略とセグメントごとのニーズに対応した製品戦略について、整理・分析する基礎的な能力を問う問題である。
### 第 2 問(配点 30 点)
#### 設問 1
B 社と垂直的提携を行った酒販店 Z 社にとっての提携のメリットについて、分析する能力を問う問題である。
#### 設問 2
B 社と水平的提携を行った大手酒造メーカー Y 社にとっての提携のメリットについて、分析する能力を問う問題である。
### 第 3 問(配点 30 点)
#### 設問 1
B 社が地域社会との関係性強化のために行っているコーズリレーテッド・マーケティングの現状を、整理・分析する能力を問う問題である。
#### 設問 2
B 社が試みているコーズリレーテッド・マーケティングが消費者の購買拡大に与える効果について、分析する能力を問う問題である。
### 第 4 問(配点 30 点)
B 社社長が目指す、地域における企業ブランド強化の方向性に即したマーケティング戦略を立案するための構想力と提案力を問う問題である。
# 平成 24 年度(2012 年度)事例 Ⅱ 解答解説
## 第 1 問(配点 10 点)
### 設問文
B 社が経営再建のためにターゲット・セグメントごとに展開した製品戦略の概要を 100 字以内で説明せよ.
### 回答例(97 字)
**市内向けは芋の香りを残してやや甘い味へ改良し、全国向けはY社の市場調査に基づき香りを抑えた新製品を共同開発した。県内向けはZ社とロックでの飲用に合うPBを開発し、市場ごとに異なる嗜好へ対応した。**
### 解説
#### この問題の着眼点
問われているのは、再建時に展開した **ターゲット・セグメント別の製品戦略** です。X市・県内・全国について、誰のどんな嗜好へどの製品を合わせたかを100字で説明します。
#### 与件文から市場ごとの違いを読む
##### 与件文のどこを見るか
- 第5段落: **芋の香りを残しつつ**、 **やや甘みのある味わいに変更** とあります。既存のX市向け商品を嗜好に合わせて刷新しています。
- 第8段落: **Z社が出店する県内全域を販路**、 **ロックでの飲用にあった製品** とあります。県内市場の飲み方の変化に対応するPBです。
- 第7段落: **Y社が全国で実施した市場調査結果**、 **芋の香りを抑えた全国向けの新製品** とあります。全国の需要を調査し、製品の味わいへ反映しています。
#### 共通の個性を守り、需要に合わせる部分を変える
| 対象市場 | 読み取れる嗜好・飲み方 | 製品の対応 | 販売の接点 |
|---|---|---|---|
| X市 | 芋の香りと、やや甘みのある味わい | 既存製品をリニューアル | 従来の地元市場 |
| 県内 | ロックでの飲用の広がり | Z社とロック向けPBを開発 | Z社の県内店舗 |
| 全国 | 市場調査で捉えた飲みやすさへの需要 | Y社と芋の香りを抑えた製品を開発 | Y社の全国販路 |
B社は伝統的な味に固執していた時期には、消費者の嗜好変化に対応できませんでした。再建では、陶器製カメを用いる製法を保ちつつ、発酵方法や味わいを見直しています。 **伝統製法という個性と、顧客に合わせる製品適応の両立** が中心です。
第6段落の **「その上で」** は、製造・製品の見直しを土台に企業提携で販路を広げる流れを示します。販路だけを全国へ広げたのではなく、相手の市場調査を使い、そこに合う商品を作っています。
STPでは地域名を入口に市場を分け、飲み方や香りの好みまで確かめます。Productではその違いを具体的な味へ、Placeでは該当する顧客へ届く提携先の販路へ落とし込みます。
#### 三市場の製品戦略を100字で答案化する
答案の骨格は、次の論点を設問の要求に沿って組み立てることです。
三つの市場を、X市内=芋の香りを残した甘み、全国=香りを抑えた製品、県内=ロック向けPBとして整理する。提携先だけでなく、各市場で把握した嗜好と製品の対応を示す。
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#### 公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある「顧客ターゲットを明確化するには、どうすればよいのでしょうか?」は、属性・地域・心理・行動で標的を具体化し、品揃え・サービス・販促を標的へ合わせる方法について示しています。本問では、「顧客ニーズと自社資源を結び、具体的な価値と顧客行動へ落とす」を2012年度事例IIの与件事実と設問要求へ当てはめます。
| 公的資料の判断軸 | この設問への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| 顧客ニーズと自社資源を結び、具体的な価値と顧客行動へ落とす | 「市内・全国・県内の三市場と提携先を整理する。 芋の香り・甘み・飲み方について、各市場の嗜好と製品を対応させる。」を、設問に対応する与件根拠から導く | 公的資料の一般論を答案へ写さず、2012年度のB社固有の事実を主根拠にする |
類題は、**2023年度事例II第1問** です。
**共通点** は、顧客・競合・自社の事実から競争上の課題を絞る点です。
**相違点** は、本問が「市内・全国・県内の三市場と提携先を整理する。 芋の香り・甘み・飲み方について、各市場の嗜好と製品を対応させる。」を扱うのに対し、類題は3Cの現状分析を直接求める点です。
> 出典:[中小企業基盤整備機構 J-Net21「顧客ターゲットを明確化するには、どうすればよいのでしょうか?」](https://j-net21.smrj.go.jp/solution/qa/special/Q0375.html)(属性・地域・心理・行動で標的を具体化し、品揃え・サービス・販促を標的へ合わせる方法)
> 公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。
## 第 2 問(配点 30 点)
### 設問文
B 社は提携により新たな販路を獲得し、経営再建を成し遂げた。一方、この提携は提携先企業にとってもメリットがあったため成功したといえる。B 社の提携先企業にとってのメリットについて、次の設問に答えよ.
### (設問 1)
B 社が行った垂直的な提携は、提携先企業にとってどのようなメリットがあったと考えられるか。100 字以内で答えよ.
### 回答例(100,100 字)
**【設問1】伝統的製法による高品質なプライベートブランド製品を開発できた点である。これにより、スーパー等の競合他社との差別化が可能となり、「ロック向け」という訴求で目的来店客を創出し、集客力を高めることができた。
【設問2】伝統的製法による高品質な芋焼酎を製品ラインナップに加えられた点である。これにより手薄であった乙類焼酎市場に本格参入が可能となり、全国の飲食店からの高い評価を得て、市場での競争力と営業成績を向上させた。**
### 解説
#### この問題の着眼点
第2問は、 **垂直的提携のZ社と、水平的提携のY社が得たメリット** を問います。相手の困り事をB社の何が補い、どの販売成果につながったかを各100字で示します。
#### 与件文から提携先の事業と不足を読む
##### 与件文のどこを見るか
- 第8段落: **酒販店Z社**、 **プライベートブランドの開発を検討** とあります。製造と販売の異なる段階を結ぶ提携です。
- 第7段落: **大手酒造メーカーY社**、 **高品質の芋焼酎が欠けていた** とあります。同じ製造段階の企業が、製品の不足を補い合います。
- 第11段落: **飲食店市場向け営業成績向上**、 **該当商品の来店目的として声が寄せられている** とあります。相手ごとに異なる成果を確認できます。
#### 提携の分類を決めてから、相手の成果へ進む
| 提携 | 相手の課題 | B社を通じて得たもの | 相手の成果 |
|---|---|---|---|
| 垂直的:酒販店Z社 | スーパー・ディスカウントストアへの対抗 | 伝統製法によるロック向けPB | 差別化・目的来店・集客 |
| 水平的:酒造メーカーY社 | 高品質の芋焼酎が不足 | 全国需要に合う共同開発製品 | 品揃え充実・飲食店への販売力向上 |
Z社は流通段階が異なる販売企業、Y社は同じ製造段階の企業です。大手か小規模かではなく、どの段階の機能を結んだかで分類します。
第7段落の **「しかしながら」** は、大手Y社にも製品の不足があることを示します。B社の技術・個性は、相手に欠ける価値を埋めるからこそ提携資源になります。Z社についても、単に仕入れが増えるのでなく、競合店にはない来店理由を作れる点が重要です。
#### 相手別のメリットを答案化する
答案の骨格は、 **Z社は高品質PB→差別化・目的来店/Y社は芋焼酎の品揃え補完→飲食店市場の競争力向上** です。共同開発の事実を、相手が得た価値へ言い換えます。
各100字で、**相手の不足・B社による補完・相手の販売成果**をそろえます。B社の受注や販路が増えたことは提携の背景として理解し、結論の主語を相手企業に保ちましょう。
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#### 公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある「中小企業にも有効な企業連携の考え方について教えてください。」は、共通目的、相互補完する経営資源、役割分担、双方の利益を明確にする連携原則について示しています。本問では、「共通目的を置き、双方の資源を共同開発・販路開拓へ結び付ける」を2012年度事例IIの与件事実と設問要求へ当てはめます。
| 公的資料の判断軸 | この設問への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| 共通目的を置き、双方の資源を共同開発・販路開拓へ結び付ける | 「【設問1】伝統的製法による高品質なプライベートブランド製品を開発できた点である。」を、設問に対応する与件根拠から導く | 公的資料の一般論を答案へ写さず、2012年度のB社固有の事実を主根拠にする |
類題は、**2022年度事例II第4問** です。
**共通点** は、外部主体の資源を補完して新しい価値と販路を作る点です。
**相違点** は、本問が「【設問1】伝統的製法による高品質なプライベートブランド製品を開発できた点である。」を扱うのに対し、類題は地域の複数主体による共同施策を助言する点です。
> 出典:[中小企業基盤整備機構 J-Net21「中小企業にも有効な企業連携の考え方について教えてください。」](https://j-net21.smrj.go.jp/solution/qa/partnership/Q1034.html)(共通目的、相互補完する経営資源、役割分担、双方の利益を明確にする連携原則)
> 公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。
## 第 3 問(配点 30 点)
### 設問文
B 社が取り組んだコーズリレーテッド・マーケティングについて、次の設問に答えよ.
### 設問 1
B 社が行ったコーズリレーテッド・マーケティングの概要を 80 字以内で整理せよ.
### 設問 2
B 社の売上はコーズリレーテッド・マーケティングの効果により再び拡大しつつある。コーズリレーテッド・マーケティングが B 社の売上拡大に結びついた理由を考察し、80 字以内で答えよ.
### 回答例(76,73 字)
**【設問1】X市内向け製品の売上の一部を、商工会議所による商店街のイベントや新規出店支援に寄付する。商品購入と寄付を結び付け、水害で被災した商店街の復興を支援する。
【設問2】地域貢献に共感する市民に、商品購入が商店街復興への協力になるという動機を与えたため。B社への支持と信頼がブランド評価に結び付き、購買を促したため。**
### 解説
#### この問題の着眼点
第3問は、 **売上連動の寄付の概要と、それが購買を促した理由** を各80字で問います。コーズリレーテッド・マーケティングは、社会的課題への支援と商品の販売を結ぶ考え方です。
#### 与件文から地域課題と購入の関係を読む
##### 与件文のどこを見るか
- 第13段落: **X市地域とB社の双方にとっての共通の問題**、 **X市内向け製品の売上から一定額**、 **新規出店支援事業に寄付している** とあります。地域の課題を、購入と支援がつながる仕組みへ落としています。
- 第12段落: **ユニークな企業ブランドの価値** とあります。伝統製法に加えて、企業が選ばれる理由を作る課題です。
第13段落の **「そのため」** は、X市向け製品が売上の約半額を占めることから、地域の衰退がB社にも共通する課題だと結びます。身近な商店街の復興を支えることには、地域と事業の両面の意味があります。
#### 支援の仕組みと、顧客の気持ちの変化を分ける
設問1では、X市内向け製品の売上の一部を、商工会議所が主催する商店街のイベントや新規出店支援へ寄付する仕組みを整理します。対象商品、資金の出所、支援先を具体的に示す部分です。
設問2では、その行動を見た市民がどうB社を評価するかを考えます。暮らしに関わる商店街を支える会社だと感じれば、企業への共感や信頼が高まり、商品を選ぶ理由になります。 **地域への貢献→共感・信頼→B社を支持する購買** という流れです。
位置づけカードのCRMは顧客関係管理を指します。本問は略称だけを理由にCRMへ分類せず、社会的意義を企業の価値と購買へ結ぶ施策として捉えます。
#### 仕組みと購買への効果を分けて答案化する
答案の骨格は、次の論点を設問の要求に沿って組み立てることです。
第1文で市内向け製品の売上と寄付先・使途を示し、第2文で水害後の商店街復興という目的を説明する。寄付を顧客への値引き・金銭還元と混同しない。
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#### 公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある「商習慣を破壊せよ! 目指すは「日本で最もフードロスを削減する会社」【株式会社クラダシ】」は、売上の一部を社会・環境課題へ還元し、購買と社会貢献を結ぶコーズ型マーケティングの実例について示しています。本問では、「顧客ニーズに合う価値を一貫して届け、信頼・選好・価格受容へつなぐ」を2012年度事例IIの与件事実と設問要求へ当てはめます。
| 公的資料の判断軸 | この設問への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| 顧客ニーズに合う価値を一貫して届け、信頼・選好・価格受容へつなぐ | 「寄付の原資、使途、水害後の復興という目的を分けて整理する。 商品購入が地域貢献になる仕組みから、共感・信頼・購買への効果を説明する。」を、設問に対応する与件根拠から導く | 公的資料の一般論を答案へ写さず、2012年度のB社固有の事実を主根拠にする |
類題は、**2010年度事例II第5問** です。
**共通点** は、地域・社会への貢献を顧客支持と事業基盤へ結ぶ点です。
**相違点** は、本問が「寄付の原資、使途、水害後の復興という目的を分けて整理する。 商品購入が地域貢献になる仕組みから、共感・信頼・購買への効果を説明する。」を扱うのに対し、類題は環境活動を継続する経営効果を問う点です。
> 出典:[中小企業基盤整備機構 J-Net21「商習慣を破壊せよ! 目指すは「日本で最もフードロスを削減する会社」【株式会社クラダシ】」](https://j-net21.smrj.go.jp/special/innovation/20240403.html)(売上の一部を社会・環境課題へ還元し、購買と社会貢献を結ぶコーズ型マーケティングの実例)
> 公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。
## 第 4 問(配点 30 点)
### 設問文
地域における企業ブランドの強化に向け、有効と考えられる B 社のマーケティング・アクションを 2 つ提案し、それぞれについて 80 字以内で答えよ。ただし、各アクションの実行により期待される効果についても併せて述べること.
### 回答例(80,80 字)
**【提案1】地元住民向けに工場見学と杜氏の試飲・製法講座を定期開催し、伝統製法と品質を体験させる。SNSで参加者の発信を促し、地域ブランドへの愛着、口コミ、再購買を高める。
【提案2】飲食店とB社焼酎・地元食材のペアリング会を開き、X市民に味わいと造り手の思いを伝える。店主やB社社員との交流で企業への親しみを育て、継続購入と地域活性化を図る。**
### 解説
#### この問題の着眼点
問われているのは、 **地域で企業ブランドを強める二つのアクションと、その効果** です。各80字で、施策と顧客・地域に起きる変化を一組にします。
#### 与件文から体験と地域連携に使える資源を読む
##### 与件文のどこを見るか
- 第1段落: **陶器製カメを用いた伝統的製法** とあります。自社の価値を体験してもらう内容の核です。
- 第5段落: **新たに杜氏(焼酎造りの専門家)を招き** とあります。製法と味わいを専門的に伝える知見があります。
- 第13段落: **地元のX市の消費者との関係強化**、 **この商店街の復興を自社課題の1つ** とあります。顧客との関係と地域の活性化を両立させる方向です。
第13段落の **「そのため」** は、地域の課題がB社にも重要である理由を示します。全国への販売拡大だけでなく、地元の顧客や商店街と接する行動を考えます。
#### 製法を知る体験と、地域で楽しむ体験を分ける
##### 提案1:作り手との対話から、伝統と品質への愛着を育てる
工場見学と杜氏による製法講座を定期開催し、カメを使う意味や味わいの特徴を知ってもらう方法が考えられます。試飲は飲酒可能な対象・安全な実施条件の範囲で行い、作り手に質問できる場を作ります。
**製法と品質を実感する体験→納得と愛着→口コミ・再購買** という流れです。参加者の感想や好みを聞き、次の案内や企画に活かすことで継続的な関係にもつなげます。SNSでの発信は自発的な共有を促す補助策として添えます。
##### 提案2:商店街の食と焼酎の体験で、造り手との関係を深める
商店街の飲食店と連携し、地元食材に合う飲み方やペアリングメニュー、回遊企画を提案します。飲食店は料理と接客、B社は焼酎の特徴や合わせ方の情報を持ち寄ります。
**地域の食と焼酎の体験→造り手との交流・親しみ→継続購入と地域活性化** という方向です。B社だけに集客するのでなく、地域の店にも来店や売上が生まれる仕組みにします。
#### 二つのアクションと効果を各80字で答案化する
答案の骨格は、次の論点を設問の要求に沿って組み立てることです。
地元食材と焼酎を組み合わせる催事を、単なる回遊・売上施策にとどめない。B社社員や店主が造り手の思いを伝え、市民との交流によって企業への親しみと支持を育てる施策として説明する。
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#### 公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある経営ハンドブック「コーポレートブランディング」は、ブランドコンセプトを明確にし、一貫した価値の発信と維持によって信頼・選好へつなげる手順について示しています。本問では、「顧客ニーズに合う価値を一貫して届け、信頼・選好・価格受容へつなぐ」を2012年度事例IIの与件事実と設問要求へ当てはめます。また、「地域に根差したビジネスモデルにはどのようなものがありますか?」、「地域活性化に向けた企業と自治体の連携はどのように進めればよいのでしょうか。」と「商品をブランド化するには、どのようにすれば良いのでしょうか?」は、地域課題の解決と企業価値・収益を両立させる地域密着型ビジネスモデル、地域の共通目標を置き、互いの強み・課題・役割・責任・評価方法を共有する連携手順と標的と目指すイメージを明確にし、名称・ロゴ・物語と一貫発信でブランド価値を築く方法を補う資料として併記します。
| 公的資料の判断軸 | この設問への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| 顧客ニーズに合う価値を一貫して届け、信頼・選好・価格受容へつなぐ | 「地元資源を使い、市民が製法や品質を体験できる活動を考える。 飲食店との協業では造り手との交流を通じた企業への親しみまで結び付ける。」を、設問に対応する与件根拠から導く | 公的資料の一般論を答案へ写さず、2012年度のB社固有の事実を主根拠にする |
類題は、**2010年度事例II第5問** です。
**共通点** は、地域・社会への貢献を顧客支持と事業基盤へ結ぶ点です。
**相違点** は、本問が「地元資源を使い、市民が製法や品質を体験できる活動を考える。 飲食店との協業では造り手との交流を通じた企業への親しみまで結び付ける。」を扱うのに対し、類題は環境活動を継続する経営効果を問う点です。
> 出典:[中小企業基盤整備機構 J-Net21経営ハンドブック「コーポレートブランディング」](https://j-net21.smrj.go.jp/solution/handbook/org/branding.html)(ブランドコンセプトを明確にし、一貫した価値の発信と維持によって信頼・選好へつなげる手順) / [中小企業基盤整備機構 J-Net21「地域に根差したビジネスモデルにはどのようなものがありますか?」](https://j-net21.smrj.go.jp/solution/qa/businessmodel/Q1145.html)(地域課題の解決と企業価値・収益を両立させる地域密着型ビジネスモデル) / [中小企業基盤整備機構 J-Net21「地域活性化に向けた企業と自治体の連携はどのように進めればよいのでしょうか。」](https://j-net21.smrj.go.jp/solution/qa/partnership/Q1512.html)(地域の共通目標を置き、互いの強み・課題・役割・責任・評価方法を共有する連携手順) / [中小企業基盤整備機構 J-Net21「商品をブランド化するには、どのようにすれば良いのでしょうか?」](https://j-net21.smrj.go.jp/solution/qa/productdev/Q0973.html)(標的と目指すイメージを明確にし、名称・ロゴ・物語と一貫発信でブランド価値を築く方法)
> 公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。
## AI への指示
あなたは、中小企業診断士二次試験の採点官です。二次試験は上位 18%しか合格できない難関試験です。そのため、上位 10%に入れるように厳しく添削してください。
**評価の基本方針**
- **模範解答は絶対的な正解ではなく、あくまで高得点答案の一例として扱います。**
- あなたの解答の評価は、第一に**与件文の記述と設問要求に忠実であるか**、第二に**中小企業診断士としての一貫した論理が展開できているか**を最優先の基準とします。
- 模範解答とは異なる切り口や着眼点であっても、それが与件文に根拠を持ち、論理的に妥当であれば、その**独自の価値を積極的に評価**してください。
- 模範解答は、比較対象として「こういう切り口・要素もある」という**視点を提供するもの**として活用し、あなたの解答との優劣を単純に比較するのではなく、多角的な分析のために使用してください。
上記の基本方針に基づき、以下の入力情報と評価基準に従って、**60 点の合格ラインを安定して超えることを目的とした現実的な視点**で私の解答を添削してください。**加点できそうなポイントと、失点を防ぐべきポイント**をバランス良く指摘してください。
評価は点数ではなく、下記の**ABCDEF 評価基準**に沿って行ってください。
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### ABCDEF 評価基準
- **A 評価 (完璧 / 80 点以上):** 設問要求を完全に満たし、複数の重要な根拠を的確に網羅している。論理構成が極めて明快で、非の打ちどころがないレベル。
- **B 評価 (高得点レベル / 70 点〜79 点):** 設問要求に的確に応え、重要な根拠を複数盛り込んでいる。論理構成が明快な、上位合格答案レベル。
- **C 評価 (合格レベル / 60 点〜69 点):** 設問の主要な要求を満たしており、大きな論理的破綻がない。安定して合格点をクリアできるレベル。
- **D 評価 (合格ボーダーライン / 55 点〜59 点):** 解答の方向性は合っているが、根拠の不足や論理の飛躍が散見される。合否が分かれるレベル。
- **E 評価 (要改善レベル / 50 点〜54 点):** 解答の方向性に部分的な誤りがあるか、根拠が著しく不足している。合格には改善が必要なレベル。
- **F 評価 (不合格レベル / 49 点以下):** 設問の意図の誤解や、与件文の無視など、根本的な改善が必要なレベル。
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### 入力情報
与件文、設問文、出題の趣旨、解説、あなたの回答を参照してください。
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### 出力項目
以下の形式で、詳細なフィードバックをお願いします。
冒頭で `ABCDEF 評価基準`の定義を説明します。
**1. 設問ごとの添削**
**模範解答(比較参考用)**
`回答例と解説`の回答例を出力してください。
**あなたの回答**
模範回答との比較用にあなたの回答を掲載してください。
- **評価:** この設問の評価を **A / B / C / D / E / F** で端的に示してください。
- **フィードバック:**
- **① 設問解釈と方向性:** 設問の意図を正しく捉えられているか。解答の方向性は適切か。模範解答とは違う切り口だが、与件文・設問要求に照らして有効か、といった視点で評価してください。
- **② 与件文の活用:** 解答の根拠として、与件文中のどの SWOT 情報を、どの程度効果的に使えているか。根拠の抽出漏れや解釈の間違いはないか。
- **③ 知識と論理構成:** 診断士としての経営知識を適切に応用できているか。「A だから B になる」という因果関係は明確で、論理に飛躍はないか。模範解答とは異なる論理展開でも、それが妥当であれば評価してください。
- **④ 具体性と表現:** 抽象論に終始せず、企業の状況に合わせた具体的な記述ができているか。冗長な表現や不適切な言葉遣いはないか。
- **改善提案:**どうすれば A・B 評価の解答に近づけるか、**「どの与件文のこの部分を使い、このように論理を展開すべきだった」**というように、具体的かつ実践的な改善案を提示してください。あなたの解答の優れた点を活かす形での改善案も歓迎します。
**2. 総評**
- **総合評価:** 全ての設問を考慮した最終評価を **A / B / C / D / E / F** で示してください。
- **全体を通しての強み:** 今後の学習でも活かすべき、あなたの解答の良い点を挙げてください。(模範解答にない独自の視点など)
- **全体を通しての課題:** 合格のために、最も優先的に改善すべき点を指摘してください。
- **合格に向けたアドバイス:** 今後の学習方針について、具体的なアドバイスをお願いします。
## あなたの回答
### 第 1 問(配点 10 点)
### 第 2 問(配点 30 点)
#### 設問 1
#### 設問 2
### 第 3 問(配点 30 点)
#### 設問 1
#### 設問 2
### 第 4 問(配点 30 点)
