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2026年度 事例2(速報版)模範解答・解説 ​

独自作成の模範解答・評価基準。公式解答・公式採点基準ではなく、本試験の得点を予測・保証しない。

第1問(配点20点) ​

B社の(a)強みと(b)弱みを、それぞれ100字以内で記述せよ。

模範解答 ​

(a)強み(95字/100字以内)

強みは、社長の農家との人脈による良質なかんきつの調達力と、接客・催事企画の経験である。皮まで安全で香り・色に優れる地域産品を生かし、後輩の店で評価された保存性が高く軽量なパウダー商品を持つ。

(b)弱み(100字/100字以内)

弱みは、社長が経営の専門教育を受けておらず、夫妻2名で運営し、独自の販路や取引先が少ないことである。自社の農地や加工設備を持たず、原料調達と製造を外部に依存し、供給や商品化には連携先との調整を要する。

解説 ​

評価主体はB社であり、実家やX村の農家と混同しない。段落1・11の接客・催事企画経験、段落2の調達人脈、段落4の品質と段落12のパウダーの実績を、B社が利用できる強みとしてまとめる。栽培技術をB社独自の保有技術と断定せず、地域の農家から良質な原料を調達できる関係として捉えた。弱みは段落1・11の少人数での運営と経営教育の未経験、段落13の独自販路の少なさ、段落2・12の外部依存から整理する。専門教育を受けていないことから経営能力がないとは断定しない。農地・加工設備を持たないことには固定費を抑える利点もあるため、調達・製造の調整が必要という制約として記す。資本金300万円だけを根拠に資金難とはしない。農家の高齢化・後継者不足はB社自身の弱みではなく、調達への影響を説明する場合に限り評価する。

解答要素と与件根拠 ​

評価要素根拠充足の考え方
人脈と高品質原料の調達段落2,4農家との人脈を通じて、品質の高い地域のかんきつを調達できることを示す。
接客・催事企画経験段落1,11テーマパーク等での接客と催事企画の経験、またはそれを商品企画・交流づくりへ生かせる能力を示す。
パウダーの商品力・協力先での実績段落10,12香り・保存性・軽量性等に優れるパウダーと、料理人の評価または継続使用・協力関係を示す。
少人数での経営体制段落1,11社長夫妻2名という人的制約と、専門教育の未経験または夫婦に経営判断が集中する体制を示す。
独自販路の少なさ段落13B社独自の販売先・取引先がまだ少ないことを示す。両語の列挙は不要。
外部調達・製造に伴う制約段落2,12農地・加工設備を持たないことに伴う調達・製造の外部依存や調整上の制約を示す。

第2問(配点25点) ​

X村のかんきつ農家には、B社社長の実家と同じく、長年箱買いを続ける得意客がいるが、その多くは年1回の購入にとどまる。得意客の多くは高齢化しつつあり、産地に足を運ぶことが難しくなっている。

B社社長は、こうした得意客に年複数回購入してもらうために、各農家の特徴を反映できるダイレクトメール用のパンフレットを作成したいと考えている。パンフレットにはどのような情報を掲載すればよいか、150字以内で記述せよ。

模範解答 ​

回答例(147字/150字以内)

掲載情報は、農家別の品種・旬・味の違いを伝える年間購入案内である。生産者の顔や栽培のこだわり、畑の近況を載せ、来訪せず産地とのつながりを感じてもらう。収穫時期別の商品、食べ方・保存法、季節の贈答用途を示し、自家消費用と贈答用の容量・価格、電話等の注文方法と配送案内を添え、年複数回の購入を促す。

解説 ​

設問の目的は新規顧客獲得ではなく、既存得意客の年複数回購入である。段落4の収穫時期の異なる複数品種を年間購入案内にし、段落5の自家消費・贈答用途と組み合わせる。設問にある高齢化と来訪困難には、農家の顔・畑の近況による関係維持と、電話等で注文できる配送案内で対応する。パンフレットに掲載する情報を答えるので、単に「DMを送る」「CRMを強化する」では足りない。食べ方・保存法、容量・価格・注文方法は今後掲載する提案であり、現行サービスの事実ではない。定期便や季節予約の案内も、農家別の特徴と複数時期の需要につながれば認める。割引は必須ではない。

解答要素と与件根拠 ​

評価要素根拠充足の考え方
農家固有の特徴と関係維持段落4,5、設問2農家ごとの生産者・栽培のこだわり・畑の近況等、個別の特徴が伝わる掲載情報を示す。
時期を分けた複数回購入の案内段落4,5、設問2収穫時期の異なる品種・旬・出荷時期等を年間案内や季節予約にして、複数回の購入機会を示す。
用途・利用価値の提案段落4,5、設問2自家消費・季節の贈答・食べ方や保存法等、用途に応じた購入意欲を高める情報を具体化する。全項目は不要。
来訪不要で注文できる情報段落5、設問2電話・郵送等の利用しやすい注文方法と配送案内、または価格・容量等の購入条件を示す。

第3問(配点25点) ​

B社社長は、後輩の店での実績を踏まえ、X村のブランディングにつながる形で、新たな事業者とパウダー商品を使った継続的な取引関係を構築したいと考えている。どのようなマーケティング施策を講じるべきか。新たなターゲットを明確にしたうえで、助言内容を150字以内で記述せよ。

模範解答 ​

回答例(150字/150字以内)

施策は、隣接温泉街の宿泊施設や土産物製造業者を対象に、パウダーを用いた地域商品の共同開発と継続供給を進めることである。後輩の店の使用実績と試供品、調理例で香りや保存性、軽量性を訴求する。季節の料理や菓子への採用を提案し、使用量に応じた定期納品と改善提案を行い、商品にX村産と明記して産地認知を高める。

解説 ​

段落3の温泉街と地域産品の需要、段落12の料理人による試用評価を結び付け、新規事業者への業務用提案を行う。模範解答では宿泊施設や土産物製造業者を選んだが、製造業者の存在を与件の確定事実としたのではなく、開拓先として提案している。保存性・軽量性と素材の香りを、使いやすさや保管・輸送負担の軽減として伝える。試供品・調理例による採用支援だけで終えず、共同開発・定期納品・改善提案で継続使用につなげる。X村産表示はB社単独の知名度ではなく産地ブランドへ波及させる手段である。都市部の飲食店、菓子店、食品メーカー等も商品特性と用途が合えば認める。後輩の店だけへの販売や、消費者への一回限りの直販は要求を満たさない。原料・加工の外部委託を踏まえ、供給量や納期は連携先と調整する。

解答要素と与件根拠 ​

評価要素根拠充足の考え方
新規の事業者ターゲット段落3,12,13、設問3パウダーの料理・加工用途に適合する新たな事業者の業種や特徴を具体的に示す。
特性・実績を使った採用促進段落4,12、設問3香り・保存性・軽量性等の特性や後輩店の使用実績を、試供品・試食・調理例等の採用促進に結び付ける。
用途に合う商品・メニュー提案段落3,10,12、設問3対象の料理・菓子・土産品等への採用や共同開発を具体化する。
継続取引の仕組み段落12,13、設問3定期納品・継続的なメニュー採用・使用状況に応じた改善等で反復取引につなげる。
X村ブランドへの波及段落8,9、設問3X村産の表示・産地の物語等を取引先の商品や販促に組み込み、産地認知につなげる。

第4問(配点30点) ​

B社社長は、高齢による離農を検討している地元のベテラン農家から「山が荒れ放題になるのを防ぐため、かんきつ栽培の継続方法を考えてほしい」と相談を受けた。

この依頼に応えるべく、クラウドファンディングを通じてX村の関係人口を増やし、かんきつ畑や山の維持を共に担う人を増やしたいと考えている。ターゲットを2つ以上挙げて、それぞれがどのように関わり続けるかを示しながら、X村の地域資源を活用した具体的な施策について、助言内容を150字以内で記述せよ。

模範解答 ​

回答例(148字/150字以内)

施策は、畑の維持と担い手育成の資金を募るクラウドファンディングである。村出身の都市住民には、帰省時の定期的な農作業とベテランからの栽培技術習得を促す。自然・食に関心のある都市部の家族には、四季の農作業体験と後輩の店での食体験を返礼とし、収穫物の定期便や活動報告で関係を保ち、再訪と継続参加を促す。

解説 ​

目的は資金集めそのものではなく、かんきつ栽培を続けて畑と山を維持する関係人口の増加である。段落6の村出身者と、段落3・4・10の景観・農作業・食に関心を持つ都市部家族という二つの対象を区別した。前者は帰省に合わせた反復作業と技術習得、後者は四季の農作業体験と再訪という継続関与を示す。段落4には年間を通じて作業があるため、収穫だけに限らず定期的な参加を設計できる。クラウドファンディングの資金は畑の維持や育成の運営に充て、食体験・定期便・活動報告を関係継続の手段にする。全員に移住を求めず、来訪困難な得意客の継続購入・支援を農作業参加者の育成や管理費へ回す別解も認める。ただし資金と現場の維持がつながることが必要。B社2名だけで全作業を請け負うのではなく、ベテラン農家や後輩等と協働して企画する助言である。

解答要素と与件根拠 ​

評価要素根拠充足の考え方
維持・育成に資する資金募集段落6,7、設問4クラウドファンディングを畑・山の維持や担い手育成の資金・参加者募集に具体的に結び付ける。
区別できる二つ以上のターゲット段落3,5,6、設問4地域資源や課題に適合する二つ以上の対象を区別する。同一集団の言い換えは数えない。
一つ目の対象の継続関与段落4,6,7、設問4一つ目の対象の反復する作業・学習・購入・支援を具体化し、栽培や畑の維持への貢献につなぐ。
二つ目の対象の継続関与段落3,4,5,7,10、設問4二つ目の対象の反復する作業・学習・購入・支援を具体化し、栽培や畑の維持への貢献につなぐ。
地域資源を使った参加の動機づくり段落3,4,7,10,11、設問4かんきつ畑・栽培技術・食・景観等の地域資源を、体験・返礼・交流等の具体策へ生かす。全部の資源は不要。

根拠段落の対応 ​

段落1 ​

B社は2024年に設立された資本金300万円の会社で、従業者は現在30歳代後半の社長とその妻の2名である。地元X村のかんきつ農家の4代目として生まれた社長は高校卒業後に地元を離れ、都市部のテーマパークで接客や催事企画の業務に携わったのち、先代の高齢化に伴って数年前にUターンし、実家のかんきつ栽培に従事するようになった。かんきつとは、ミカン・オレンジ・ユズなどのように、芳香があり、酸味と甘味をもつ果実を指す。

段落2 ​

B社の業務内容は、X村の特産品であるかんきつの販売、かんきつを使った商品の企画、生産者と消費者の交流の場づくりである。なお、B社は自社で農地を所有せずに、社長の人脈を生かして実家を含むX村の複数の農家から品質に優れたかんきつを仕入れている。これらの活動を通じて、B社はかんきつおよびその加工品の販路拡大とX村の地域活性化を図っている。

段落3 ​

X村は、最寄りの地方空港から車で90分の距離に位置し、周辺をなだらかな山々に囲まれ、穏やかな景観が広がっている。村の人口は減少し続けており、村内の公共交通機関はバスが1日2~3本運行しているのみである。村に隣接する地域にはホテルや旅館など宿泊施設が充実した温泉街があり、年間を通じて県内外から多くの観光客が訪れる。この温泉街では、地域産品を使った加工品の土産物などが観光客に人気である。

段落4 ​

X村の主な産業はかんきつを中心とした農業であり、ほとんどの農家では収穫時期の異なる複数のかんきつを栽培している。このため、時期により作業量の波はあるものの、剪定・肥料やり・病虫害の防除など年間を通じてなんらかの作業が発生する環境にある。B社社長の実家とその一族は代々、地元で複数の山を所有し、栽培にあたってきた。とくに社長の曾祖父は地元で栽培名人として知られ、周辺農家の指導的立場にあった。おいしさだけでなく、皮まで含めて口に入れても安全であること、香りと色を最大限に引き出すことに秀でた技術は今日まで受け継がれ、この地域のかんきつは品質が高い。

段落5 ​

B社設立の背景には、社長の実家を取り巻く次のような状況があった。B社社長の実家で収穫されたかんきつは、出荷団体に出す他、長年の得意客が自家消費用あるいは贈答品用として昔ながらの箱買いをしてくれるケースも多い。近隣の道の駅にある農産物直売所や地域産品を扱うローカルスーパーでも販売されていて、売り上げは好調である。また、先代は手が回らないために対応できずにいたものの、評判を聞きつけた他の近隣店舗から新たに取引してほしいと望む声も継続的に寄せられてきた。実家の売り上げが安定的で、目先の経営に支障がなかったため、社長はそれほど先行きに不安を感じることなく実家に戻り、X村のかんきつには大きな可能性があると考えてきた。

段落6 ​

しかしながら、Uターン後しばらくたち、地域の農家や取引先と関わる中で、以下に挙げるような地元の現実が目につくようになった。第1に、若手住民の村外流出とX村の過疎化が急速に進んでいることである。現在、X村の若者のほとんどは高校卒業後に働く場を求めて都市部に出てしまい、戻ってこない。社長の実家はこれまで、かんきつの収穫ピーク時には、土日を中心に地元の高校生や若手住民を短期アルバイトとして採用してきたが、昨今ではその確保もままならない。一方で、都市部に出たかつての住民の中にはUターンやふるさととの関わりを望む人たちが一定数おり、社長もその一人であった。

段落7 ​

第2に、X村では農家の担い手不足により耕作放棄地が増えていることである。かんきつ栽培は傾斜地で行われることが多く、完全には機械化できないため、担い手がいなくなるとすぐに耕作放棄につながる。他の農村同様、X村でも農家の高齢化と後継者不足が顕著である。ベテラン農家の引退により高い栽培技術が失われ、地域全体の収穫量が減少すると、地元の出荷施設や高額な自動選果機の維持コストが個々の農家に重くのしかかり、結果として産地の競争力低下を招く。また、耕作放棄は美しいかんきつ畑を荒れ果てた山に変え、大雨の際の土砂災害リスクの増大や景観破壊につながる。実際、社長は、かんきつ栽培の継続を諦めかけている高齢の農家から、山の管理について相談を受けることも増えてきた。

段落8 ​

第3に、かんきつは全般的にコモディティ化が進み、産地間の違いが消費者に伝わりにくいことである。糖度計などの技術向上により、今日の消費者は産地を問わず一定以上の安定した品質のかんきつを購入することができる。X村のかんきつが高品質を誇るといっても、その評価が知られるのは村と周辺にとどまる。社長がUターンする前の実家がそうであったように、高齢化した農家が家族のみでかんきつの栽培から出荷までを行う体制では、近隣の新規取引の要請にすら応えられない。社長は、このままでは、より広域な市場での認知度向上も近隣の需要への対応力強化も、ともに難しいと感じるようになった。

段落9 ​

社長は、これらの課題が個々の農家による努力だけでは解決し得ないものであると気づいた。実家のかんきつが優れていても、それが「X村のかんきつ」として評価されなければ、担い手不足や過疎化に直面する産地全体の将来は暗い。社長は、X村という産地そのものの認知とブランドを高めていく必要があると考えるようになった。

段落10 ​

こうした問題に悩んでいた頃、大都市のフランス料理店で料理人をしていた後輩が地元に戻ってきた。この後輩の家業も農業であるが、後輩自身は自宅敷地内の老朽化した木造の作業小屋をリノベーションして、X村とその周辺の食材を使ったレストラン兼デリ(持ち帰り総菜店)を2022年に開店した。この後輩と村の行く末について語り明かす日々が刺激となり、社長は、実家のかんきつ栽培にあてていた作業時間を減らして、X村のかんきつ販売と地域の活性化に資する会社を立ち上げることにした。それがB社である。

段落11 ​

社長は、テーマパークで培った接客や催事企画の感覚を、商品の企画や生産者と消費者の交流の場づくりに生かせると考えている。とはいえ、会社経営について専門的な教育を受けた経験はなく、日々の判断は妻と一つ一つ行っている。

段落12 ​

商品化にあたっては、B社は加工設備を持たないため、生産を外部の事業者に委ねることにしている。たとえば、かんきつは形が不ぞろいな規格外品の発生が避けられず、その活用が課題となっていた。B社は当初、規格外品を搾汁して液体の加工品にすることを検討したが、消費期限の短さに加えて重くかさばり、在庫・輸送のコストがかかることから商品化を見送った。そこで、保存性に富み軽量なパウダー商品を外部委託により開発し、まず後輩の店で試用してもらったところ、素材本来の香りが強く、さまざまな調理用途に好適であるとの評価を得た。後輩の店では現在も継続的に使われている。

段落13 ​

B社の存在は村の人々に歓迎され、早速いくつもの相談が持ち込まれている。一方で、設立から間もないこともあり、B社が独自に築いた販売先や取引先は現時点ではまだ少ない。今後、どのように問題解決を図っていけばよいか、B社社長は中小企業診断士に助言を求めることにした。

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