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平成 25 年度(2013 年度)事例 Ⅲ 解答解説 ​

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第 1 問(配点 30 点) ​

設問文 ​

C 社では、横ばいで推移している業績を改善するため、X 社のシェアが高い首都圏市場への参入を目指している。この課題について、以下の設問に答えよ。

設問 1 ​

C 社が首都圏市場への参入で活用すべき競争優位性は何か、60 字以内で述べよ。

設問 2 ​

C 社が首都圏市場への参入を実現するためには、関東工場の役割をどのように変えるべきなのか、またそれを実現するためにはどのような具体的対応策が必要となるのか、120 字以内で述べよ。

回答例(59,113 字) ​

【設問1】ダウンサイジング化に対応した新製品開発力と提案力、通信建設会社の指導で培った製品・施工品質を活かし、X 社と差別化する。 【設問2】関東工場に汎用設備を整え技能を育成し、標準仕様部材に加えて多品種少量の補助部材も生産する。首都圏向けの在庫・物流機能を設け、両部材を物件別に組み合わせて直接出荷することで、関西への往復輸送を減らし、納期短縮と物流費削減を図る。

解説 ​

この問題の着眼点 ​

設問1は 首都圏参入で活用する競争優位性を60字 、設問2は 関東工場の役割と具体策を120字 で答えます。「何で選ばれるか」と「その価値をどう届けるか」を分けて考えます。

開発・品質の優位性を、首都圏での供給力につなぐ ​

与件文のどこを見るか ​
  • 第4段落: 新製品開発力・提案力、製品・施工品質については C 社の評価は高い 、 納期や価格面での評価は低い とあります。X社に勝る点と、参入に向けて改善する点を分けます。
  • 第9段落: 専用機による量産体制 とあります。関東工場は現在、標準仕様部材をまとめて作る体制です。
  • 第10段落: 関西本社工場の物流センターに運ばれ在庫 、 物件ごとに組み合わせて出荷 とあります。関東で作った部材も関西へ集める、現在の物流を確認します。
強みを磨くことと、弱い条件を補うことを組み合わせる ​

C社はX社より開発・提案と製品・施工品質の評価が高い一方、納期・価格の評価では劣ります。首都圏でも開発力だけを訴えればよいのではなく、納期や費用を改善して、強みが受注につながる条件を整える必要があります。

小設問答える中心使う根拠
設問1開発・提案力と製品・施工品質X社との比較、通信機器の小型化への対応
設問2関東工場を首都圏の生産・物流拠点へ標準品と補助部材の分担、関西集約の物流
首都圏に工場があるだけでは、近さを生かせない ​

関東工場で作った標準品は、関西の物流センターで補助部材と組み合わされます。首都圏へ納める場合にもこの経路を使えば、いったん関西へ送ってから戻す移動が生じます。関東に生産拠点があるという立地の利点を、物流で十分に生かしにくい構造です。

そこで、関東でも補助部材を作り、物件に必要な部材をそろえて首都圏へ直接出荷する方向を考えます。 生産品種と出荷の仕組みを一緒に変える ことで、納期短縮と物流費低減を目指します。

競争優位性と拠点改革を小設問別に答案化する ​

答案の骨格は、次の論点を設問の要求に沿って組み立てることです。

関東工場は現状では標準仕様部材の量産拠点である。補助部材の多品種少量生産能力を整え、標準仕様部材と物件別に揃えて首都圏へ直接出荷する拠点とすることで、関西経由の物流を減らす。


公的資料から持ち帰る知識と類題 ​

独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある経営ハンドブック「アンゾフの成長マトリックス」は、既存/新規の製品と市場を分け、市場浸透・市場開発・製品開発・多角化から成長方向を選ぶ枠組みについて示しています。本問では、「自社資源と外部環境を両方分析し、差別化と実行可能な経営計画へ結び付けること」を2013年度事例IIIの与件事実と設問要求へ当てはめます。

公的資料の判断軸本問への当てはめ答案上の注意
自社資源と外部環境を両方分析し、差別化と実行可能な経営計画へ結び付けること市場参入と工場間の役割分担を、与件の事実と設問要求に対応させる戦略名だけを書かず、対象市場、自社能力、実行条件、期待効果を因果で示す

類題は、2024年度事例III第5問です。

  • 共通点:どちらも、与件の生産・技術上の事実を、市場参入の判断へ変換する点が共通します。
  • 相違点:本問は「市場参入→工場間の役割分担→QCD・成長への効果」を中心に問うのに対し、類題は「保有技術を生かす新事業と、その実行体制」を中心に問います。要求と制約が異なるため、類題の施策をそのまま移さず、本問の与件で取捨選択します。

出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21経営ハンドブック「アンゾフの成長マトリックス」(既存/新規の製品と市場を分け、市場浸透・市場開発・製品開発・多角化から成長方向を選ぶ枠組み)

この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2013年度の与件事実を主根拠にします。

第 2 問(配点 40 点) ​

設問文 ​

C 社では、顧客からの問い合わせに迅速に対応するため、また短納期化に対応するため、技術部内の情報の共有化や業務の効率化を図る計画がある。この計画について、以下の設問に答えよ。

設問 1 ​

技術部内で共有化が必要と考える具体的情報名を 80 字以内であげよ。

設問 2 ​

技術部内の業務効率化を図るために必要な具体的改善内容を 120 字以内で述べよ。

回答例(76,120 字) ​

【設問1】顧客・工事物件別の受注仕様と納期、現地調査・設置条件、顧客との調整・設計変更履歴、設計進捗、過去図面・CADデータ・部品ライブラリ、据付施工のノウハウ。 【設問2】CADの使用法・命名・承認手順を標準化し図面と部品データをライブラリ化する。過去図面、顧客仕様、現地調査・変更履歴をデータベースで一元管理・共有する。案件進捗・負荷を可視化して業務を横断配分し、流用設計で属人化、手戻り、設計時間を削減する。

解説 ​

この問題の着眼点 ​

設問1は 共有する具体的な情報名を80字 、設問2は 業務効率化の改善内容を120字 で答えます。「何を共有するか」と「どう共有し、仕事を変えるか」を分けます。

CADの個人利用を、技術部で使える知識へ変える ​

与件文のどこを見るか ​
  • 第8段落: 調整事項や設計変更などの内容は担当している設計担当者しか分からない 、 設計要素のライブラリー化などは行われていない 、 CAD の使用方法についての標準化やデータの共有化は図られておらず とあります。情報の偏在と、データを共同利用するルールの不足を分けて拾います。
  • 第7段落: 現地調査、設計、製造、そして現地据付け施工まで行う とあります。設計だけの図面ではなく、現地条件や施工までつながる情報を考えます。
担当者しか分からない状態が、回答と設計を遅くする ​

受注から現地調査・設計までを同じ担当者が持ち、変更や調整の事情もその人に集中しています。担当者が不在なら、ほかの人は経緯を確認してすぐ回答することが難しくなります。また、過去に似た設計があっても探して使えなければ、設計を繰り返す時間がかかります。

そこで、案件の条件と変更経緯、過去の図面・部品、据付けの知識を共有し、担当者が変わっても参照できる状態へ変えます。 情報を保存することではなく、判断と再利用に使えること が目的です。

観点設問1で示す情報設問2で示す改善
過去の設計を使う図面・CAD・部品データ形式・命名を統一しライブラリー化
最新条件を確認する現地調査・調整事項・変更履歴案件と版を対応させ、一元管理
担当者以外も動ける施工上の知識や注意点共有ルールと進捗・負荷の見える化
新しいソフトより、共有して使う仕組みを整える ​

第8段落の また は、ライブラリーがないことに加え、CADの使い方や共有方法も担当者ごとに異なる点を示します。C社には既にCADがあるので、導入そのものより、データの形式と扱い方をそろえることが先です。

共通の基盤があれば、図面を流用する、別の人が変更内容を確認する、繁忙案件を応援するといった仕事の変化につながります。技術部の業務が全体の期間で大きな割合を占めるため、ここを改善することが短納期化へ効きます。

情報と改善方法を小設問別に答案化する ​

答案の骨格は、次の論点を設問の順に整理することです。

設問1では、顧客・物件別の受注仕様と納期、現地調査や設計変更、図面・部品データや設計進捗、施工ノウハウを情報名として整理します。問合せへの回答には何をいつまでに納める案件かの把握も必要です。設問2は、その情報を標準化・共有・再利用し、他担当も引き継げる業務配分へつなぐ改善策として書き分けます。


公的資料から持ち帰る知識と類題 ​

独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある経営ハンドブック「製造現場の生産性向上」は、事業領域と強みを踏まえ、設備、IT、生産管理システム、CAD/CAM等で製造現場の生産性を高める方法について示しています。本問では、「工程・受注・在庫の情報を可視化して共有し、標準化した運用と改善へ使うこと」を2013年度事例IIIの与件事実と設問要求へ当てはめます。

公的資料の判断軸本問への当てはめ答案上の注意
工程・受注・在庫の情報を可視化して共有し、標準化した運用と改善へ使うこと設計知識の共有と設計標準化を、与件の事実と設問要求に対応させるIT導入だけで終わらず、誰が、いつ、どの情報を更新し、何を判断するかを書く

類題は、2024年度事例III第3問です。

  • 共通点:どちらも、与件の生産・技術上の事実を、設計知識の共有の判断へ変換する点が共通します。
  • 相違点:本問は「問い合わせ・短納期要求→設計情報の共有→標準化・再利用→設計短縮」を中心に問うのに対し、類題は「短納期に対応する生産計画と工程統制」を中心に問います。要求と制約が異なるため、類題の施策をそのまま移さず、本問の与件で取捨選択します。

出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21経営ハンドブック「製造現場の生産性向上」(事業領域と強みを踏まえ、設備、IT、生産管理システム、CAD/CAM等で製造現場の生産性を高める方法)

この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2013年度の与件事実を主根拠にします。

第 3 問(配点 30 点) ​

設問文 ​

C 社経営者は、これまで蓄積した生産技術のノウハウを活用し、通信用部材市場以外での新規事業開発を模索している。過去に経験した Y 社との共同開発事業の失敗の要因と、その失敗の要因を踏まえた今後の新規事業開発の留意点を、140 字以内で述べよ。

回答例(134 字) ​

失敗は、Y社の見通しに依存して量産投資を先行し、建設会社向け販路では完成後のIT機器導入時に買う需要を捉えず、軽量・低価格品に敗れた点。今後は用途・競合価格を調べ仕様を絞り、試作試販で需要と採算を検証して段階投資する。提携先と販売分担・責任を定め、販売情報を共有する。

解説 ​

この問題の着眼点 ​

共同開発事業の失敗要因と、それを踏まえた今後の留意点を140字 で答えます。作れる技術や提携先の販路があっても、顧客が選ぶ機能・価格に合うかを検証しなければ、量産設備は売上につながりません。

技術的に良い製品と、市場で選ばれる製品を分ける ​

与件文のどこを見るか ​
  • 第12段落: 施工性が良く多機能なオフィス用 OA フロア 、 当時引き合いが多くなった とあります。技術面の魅力と引き合いが事業化のきっかけですが、それだけで継続販売を保証できるわけではありません。
  • 第13段落: OA フロア量産用の関東工場を C 社が建設 、 全国の販売網を活用 、 シンプルな機能で軽量化された低価格製品との競合 、 Y 社の販売数量は低迷 とあります。販売網と生産体制を整えても、競合との価値・価格の違いが販売へ影響した流れです。
  • 第11段落: 取引先や仕入先など関連企業からの依頼や情報提供、また社内からの提案 とあります。今後も開発の種は得られますが、事業として採用する際の検証が必要です。
販路がなかったのではなく、競合に対して売れる条件をつかめなかった ​

Y社は全国に販売網を持ち、物流センターに在庫を置いて即納できる体制も整えていました。C社も量産工場を建設しており、製造・販売の役割がないまま始めた事業ではありません。

第13段落の しかし では、多機能なC社・Y社の製品に対し、事務機メーカーのシンプル・軽量・低価格製品が登場し、販売が低迷します。機能の多さが、そのまま顧客の評価になるとは限らないことが分かります。

この結果から、 引き合いの増加と技術的な魅力を、需要・競争・許容価格の検証へ十分につなげられなかった ことが失敗要因として考えられます。調査を一切していないと断定するのではなく、売れる量や競争条件を見極めずに量産体制を先行させた問題として整理します。

作れる用途を探した後、顧客が選ぶ理由を確かめる ​

今後は、生産技術のノウハウが優位性になる用途を選び、顧客が必要とする機能と払える価格を調べます。自社製品同士だけでなく、異なる業界から入る代替品も比較し、試作品を使って顧客の評価を確かめます。

失敗から得る判断軸今後の留意点
多機能でも、軽量・低価格品に負け得る必要な機能・使い方・許容価格を顧客に確認
引き合いが、そのまま継続受注とは限らない需要量、受注確度、競合品を検証
量産設備を先に持つと販売低迷の負担が残る採算と必要能力を確認し、段階的に投資
共同開発でも、C社自身が投資の根拠を持つ ​

相手のノウハウや販路を使う意義はありますが、C社が工場を持つ以上、設備を稼働させられる受注と採算を確認する必要があります。提携先と需要や販売実績を共有し、試作・評価から小さく事業化して、受注確度に応じて設備を増やす進め方を考えます。

共同開発そのものを避けるのではなく、 保有技術と市場の評価を照合してから、投資規模を決める ことが要点です。

失敗要因と留意点を140字で答案化する ​

答案の骨格は、次の論点を設問の順に整理することです。

OAフロアでは、Y社の建設会社向け販路と、ビル完成後のIT機器納品時に生じる購買の接点がずれていました。軽量・低価格品との競争だけでなく、販売相手・時点と相手企業の見通しへの依存も失敗要因として整理します。今後は用途・価格・機能を調べ試作試販で採算を確かめ、段階投資するとともに、提携先と販売分担・責任・情報共有を決めることを留意点にします。


公的資料から持ち帰る知識と類題 ​

独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある経営ハンドブック「商品開発・市場開拓のための情報源」は、思い込みを避け、競合、顧客嗜好、過去の成否、展示会等を調べて事業可能性を検証する方法について示しています。本問では、「自社資源と外部環境を両方分析し、差別化と実行可能な経営計画へ結び付けること」を2013年度事例IIIの与件事実と設問要求へ当てはめます。

公的資料の判断軸本問への当てはめ答案上の注意
自社資源と外部環境を両方分析し、差別化と実行可能な経営計画へ結び付けること新事業の実行可能性と共同開発管理を、与件の事実と設問要求に対応させる戦略名だけを書かず、対象市場、自社能力、実行条件、期待効果を因果で示す

類題は、2024年度事例III第5問です。

  • 共通点:どちらも、与件の生産・技術上の事実を、新事業の実行可能性の判断へ変換する点が共通します。
  • 相違点:本問は「新事業の実行可能性→共同開発管理→QCD・成長への効果」を中心に問うのに対し、類題は「保有技術を生かす新事業と、その実行体制」を中心に問います。要求と制約が異なるため、類題の施策をそのまま移さず、本問の与件で取捨選択します。

出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21経営ハンドブック「商品開発・市場開拓のための情報源」(思い込みを避け、競合、顧客嗜好、過去の成否、展示会等を調べて事業可能性を検証する方法)

この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2013年度の与件事実を主根拠にします。

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