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平成 21 年度(2009 年度)事例 Ⅲ 解答解説
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第 1 問(配点 10 点)
設問文
低迷する木製家具業界にあって、C 社は安定的な業績を維持している。その考えられる理由を 120 字以内で述べよ。
回答例(120 字)
健康・安全志向と若年主婦層のニーズに合う高付加価値製品を開発し、価格競争を回避したため。販売先の8割を生活提案型のインテリア用品小売店とする直接販売網を築き、小売店から得た顧客情報を新製品へ反映して継続的に差別化し、安定需要を確保したため。
解説
この問題の着眼点
低迷する業界の中で、C社が安定した業績を維持する理由を120字で答えます。 顧客に合う製品、適合する販路、顧客情報を開発へ戻す仕組み をつなげて説明します。
製品が選ばれ、需要を捉え続ける理由を読む
与件文のどこを見るか
- 第2段落: 全国の小売店約300社に直接販売 、 販売先の約80% 、 インテリア用品・生活用品を取り扱う小売店 とあります。生活提案と相性のよい販路を持っています。
- 第3段落: 消費者の健康、安全志向にマッチ 、 幼い子供を持つ若い主婦層に受け入れられている とあります。比較的高額でも選ばれる価値を読みます。
- 第4段落: 20~30歳代の主婦に喜ばれる家具 、 消費者の嗜好、要望などを情報として入手 、 製品開発・設計部門に提案 とあります。対象顧客を定め、販売先の情報を製品へ反映しています。
安さではなく、健康・安全という価値で選ばれる
C社は有害物質を含まない塗料・接着材を使い、健康・安全志向に合う家具を作っています。比較的高額でも幼い子供を持つ若い主婦層に受け入れられるのは、 顧客が重視する価値と製品の特徴が合っている ためと考えられます。
「高品質だから」で済ませず、誰のどの要望に応える製品かを示します。低価格だけで競争するのではなく、対象顧客にとっての価値で差別化したことが業績を支えています。
生活空間を提案する小売店へ直接販売する
業界全体が低迷する一方、生活提案型のインテリア用品・生活用品小売店などは比較的好調です。C社の販売先の約8割はインテリア用品・生活用品を扱う小売店で、家具の価値を生活空間とともに伝えやすい販路です。
約8割は 販売先の数の割合 であり、売上の8割とは書きません。また、直接販売の相手は小売店で、消費者への直販ではありません。 製品の価値に合う小売店との直接販売網 を築いたことが、安定需要の根拠になります。
小売店からの声を、次の製品へ戻す
営業担当者は小売店から消費者の嗜好・要望を集め、製品開発・設計部門へ提案しています。 販売先で得た顧客情報→対象顧客に合う新製品 という流れがあり、ニーズに合う製品を継続して開発できます。
製品数の多さ自体を成功理由にするのではなく、顧客情報を開発へ使う点を評価します。売れない品目まで増えたことは、第2問で扱う在庫問題にもつながるためです。
安定業績の理由を120字で答案化する
答案の骨格は、 顧客志向の製品+適合する販路+情報還流→差別化・安定需要 です。まず健康・安全志向と若年主婦層を結び、生活提案型小売店への直接販売を続けます。最後に顧客情報を新製品へ反映する仕組みを加え、 単発のヒットではなく、需要を捉え続ける理由 としてまとめます。
公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある経営ハンドブック「商品開発・市場開拓のための基本方針」は、強みを棚卸しし、限られた経営資源を顧客・商品・商圏・販路へ選択集中する考え方について示しています。本問では、「自社資源と外部環境を両方分析し、差別化と実行可能な経営計画へ結び付けること」を2009年度事例IIIの与件事実と設問要求へ当てはめます。
| 公的資料の判断軸 | 本問への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| 自社資源と外部環境を両方分析し、差別化と実行可能な経営計画へ結び付けること | 健康・安全志向の製品、適合する小売店販路、顧客情報の開発への還流を結ぶ | 戦略名だけを書かず、対象市場、自社能力、実行条件、期待効果を因果で示す |
類題は、2024年度事例III第5問です。
- 共通点:どちらも、与件の生産・技術上の事実を、差別化集中戦略の判断へ変換する点が共通します。
- 相違点:本問は「製品・販路・顧客情報の適合→差別化→安定業績」を中心に問うのに対し、類題は「保有技術を生かす新事業と、その実行体制」を中心に問います。要求と制約が異なるため、類題の施策をそのまま移さず、本問の与件で取捨選択します。
出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21経営ハンドブック「商品開発・市場開拓のための基本方針」(強みを棚卸しし、限られた経営資源を顧客・商品・商圏・販路へ選択集中する考え方)
この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2009年度の与件事実を主根拠にします。
第 2 問(配点 40 点)
設問文
C 社では、経営上大きな問題となっている過大な製品在庫および製品の欠品について改善を検討している。次の設問に答えよ。
(設問 1)
過大な製品在庫と製品の欠品が生じている理由を 100 字以内で述べよ。
(設問 2)
製品の在庫問題を解決するために、生産面で必要な対策を 120 字以内で述べよ。
回答例(99,113 字)
【設問1】営業との定期的な情報交換がなく実需変化を計画へ反映できず、機械加工の都合で販売予測を超える大ロットを作るため過剰在庫が生じる。後工程への作業指示もなく完成・補充が遅れ、需要のある品目が欠品するため。 【設問2】ボトルネックの部品機械加工の段取りを短縮し、販売量に応じた小ロットと補充頻度へ改める。営業と出荷実績・製品在庫を適時共有して計画を更新し、納期から逆算した全工程の作業指示と進捗調整により補充期間を縮め、過剰在庫と欠品を減らす。
解説
この問題の着眼点
在庫の総量が多くても、注文された品目がなければ当日出荷できません。 何を、どれだけ、いつ完成させるかが需要に合っていない という問題を、設問1の原因と設問2の対策に分けます。
過剰在庫と欠品を、一つの管理のずれとして読む
与件文のどこを見るか
- 第6段落: 営業部門との定期的な情報交換は行われていない とあります。月途中の売れ行きを計画へ反映しにくい状態です。
- 第7段落: 月販売予測数をどの製品も上回っている 、 月平均出荷量の2倍以上 、 製品によっては欠品が発生 とあります。全体の在庫量と、必要品目の在庫は別の問題です。
- 第8段落: その後の工程の作業指示は特になく とあります。着手後の完成時期も管理しきれていません。
作りやすい量と、売れる量が合っていない
機械加工工程の段取り回数を減らすために、大きなロットで作っています。その量は各製品の月間販売予測を上回るので、売れ行きの遅い製品が在庫として残ります。一方、販売情報を継続的に反映していないため、必要になった製品の補充は遅れます。
第7段落の しかし は、この過剰在庫と欠品の併存を示します。在庫全体を一律に減らしたり増やしたりするのではなく、 品目別の需要と補充の時期を合わせる 改善が必要です。
原因と対策を対応させる
| 設問1で読む原因 | 設問2で考える対策 |
|---|---|
| 計画後に販売情報を定期共有しない | 実績・受注見込みを共有し、短い周期で更新する |
| 工程の都合で需要を超えるロットにする | 品目別需要に合わせ、段取り短縮で小ロット化を支える |
| 最初の工程以外に指示がない | 全工程の日程・作業指示と進捗を管理する |
在庫問題を原因と対策に分けて答案化する
答案の骨格は、次の論点を設問の要求に沿って組み立てることです。
ネック工程の一日能力を基準とするロットを、販売量と補充の必要性に合わせて見直す。出荷実績と実在庫を営業・製造で共有し、後工程を含む作業指示と進捗管理によって欠品時の補充を早める。
公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある「現場での在庫管理の方法と、適正な在庫量の考え方について教えてください。」は、入出庫記録、受注実績、納期、リードタイムから適正在庫を定め、在庫を圧縮する方法について示しています。本問では、「工程・受注・在庫の情報を可視化して共有し、標準化した運用と改善へ使うこと」を2009年度事例IIIの与件事実と設問要求へ当てはめます。
| 公的資料の判断軸 | 本問への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| 工程・受注・在庫の情報を可視化して共有し、標準化した運用と改善へ使うこと | 在庫管理と生産計画と生産統制を、与件の事実と設問要求に対応させる | IT導入だけで終わらず、誰が、いつ、どの情報を更新し、何を判断するかを書く |
類題は、2024年度事例III第3問です。
- 共通点:どちらも、与件の生産・技術上の事実を、在庫管理の判断へ変換する点が共通します。
- 相違点:本問は「在庫管理→生産計画と生産統制→QCD・成長への効果」を中心に問うのに対し、類題は「短納期に対応する生産計画と工程統制」を中心に問います。要求と制約が異なるため、類題の施策をそのまま移さず、本問の与件で取捨選択します。
出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21「現場での在庫管理の方法と、適正な在庫量の考え方について教えてください。」(入出庫記録、受注実績、納期、リードタイムから適正在庫を定め、在庫を圧縮する方法)
この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2009年度の与件事実を主根拠にします。
第 3 問(配点 40 点)
設問文
C 社では、大手インテリア用品小売チェーンから OEM 製品の取引要請があり、共同で製品化を進めようとしている。
(設問 1)
大手インテリア用品小売チェーンとの OEM 製品取引は、C 社にとってどのようなメリットがあるのかについて 80 字以内で述べよ。
(設問 2)
C 社の OEM 事業推進において考えられる課題とその対応策について 120 字以内で述べよ。
回答例(79,117 字)
【設問1】大手小売からの受注で売上と操業度を高め、提供される製品アイデアを需要に合う開発へ生かせる。受注生産・一括納入により、見込生産の売れ残り在庫リスクも抑えられる。 【設問2】課題は自社品とOEMの併産で納期・品質を守る体制構築である。内外の能力とリードタイムを把握し、共通計画で負荷を配分して工程進捗を管理し、正確な納期回答と遵守を図る。小売と仕様・品質基準・変更ルールを合意し、共同開発と安定供給を進める。
解説
この問題の着眼点
OEMは 売上と開発の機会 をもたらす一方、 受注後に納期を回答し、一括納品する体制 が必要です。設問1はメリットを80字、設問2は課題と対応策を120字で書きます。
取引の魅力と、実行するための条件を分ける
与件文のどこを見るか
- 第2段落: 先方から製品アイデアの提供 とあります。共同製品化で得られる情報の根拠です。
- 第3段落: 年間で約1割程度の売り上げ増 とあります。取引が実現した場合の見込みです。
- 第9段落: 受注生産で一括納品 、 受注後の納期の回答 とあります。自社製品の即納とは異なる管理が必要です。
売上だけでなく、製品アイデアも得られる
既存の有力販売先から、製品アイデアを受けて製品化する計画です。受注が実現すれば年商約1割増を見込め、まとまった生産による稼働の向上も期待できます。さらに、相手から提供される製品アイデアを、需要に合う製品化へ生かせます。
在庫から出す方式とは違い、完成日を約束する
第9段落の また 以降には、従来の見込生産と異なる受注生産の条件が追加されます。受注後にいつ全量を納められるか答えるには、生産にかかる期間と内外の能力を把握する必要があります。
| 設問 | 答える内容 |
|---|---|
| 設問1 | 売上・稼働の向上と、顧客情報・開発力の強化 |
| 設問2 | 納期回答・遵守を支える計画、進捗、内外能力の管理 |
OEMのメリットと対応を設問別に答案化する
答案の骨格は、次の論点を設問の要求に沿って組み立てることです。
OEM先から提供されるのは製品アイデアであり、これを需要に合う製品化に使える点を示す。売上・操業度の向上と、受注生産・一括納入による売れ残りリスクの軽減を併せて説明する。
公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある経営ハンドブック「商品開発・市場開拓のための事業化テストの取り組み方」は、採算、安全・耐久性、生産計画、原料調達、顧客反応を小さく試して事業化可否を判断する方法について示しています。本問では、「既存の強みを顧客ニーズへ結び付け、新規顧客・販路と付加価値の拡大を検討すること」を2009年度事例IIIの与件事実と設問要求へ当てはめます。
| 公的資料の判断軸 | 本問への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| 既存の強みを顧客ニーズへ結び付け、新規顧客・販路と付加価値の拡大を検討すること | OEM取引と受注生産を、与件の事実と設問要求に対応させる | 販路開拓という一般論で終わらず、誰に何の能力をどの提供方法で訴求するかを書く |
類題は、2023年度事例III第4問です。
- 共通点:どちらも、与件の生産・技術上の事実を、OEM取引の判断へ変換する点が共通します。
- 相違点:本問は「OEM受注→売上・情報獲得→受注生産体制→納期・能力の確保」を中心に問うのに対し、類題は「既存顧客ニーズと自社能力を結ぶ自社企画製品の開発」を中心に問います。要求と制約が異なるため、類題の施策をそのまま移さず、本問の与件で取捨選択します。
出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21経営ハンドブック「商品開発・市場開拓のための事業化テストの取り組み方」(採算、安全・耐久性、生産計画、原料調達、顧客反応を小さく試して事業化可否を判断する方法)
この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2009年度の与件事実を主根拠にします。
第 4 問(配点 10 点)
設問文
C 社の自社製品は見込生産であり、現在製品化を進めようとしている OEM 製品は受注生産で対応する予定である。C 社の見込生産と受注生産の違いを、重視すべき情報と管理ポイントの視点から 80 字以内で述べよ。
回答例(79 字)
見込生産は需要予測と出荷・在庫情報で補充量を調整し、過剰在庫と欠品を防ぐ。受注生産は確定数量・仕様・納期に基づき能力と負荷を調整し、進捗を管理して納期を守る。
解説
この問題の着眼点
見込生産と受注生産の違いを、 重視する情報と管理ポイント の両面から、合わせて80字で答えます。自社製品の即納とOEMの納期遵守を比べます。
注文前に備えるか、注文から日程を組むか
与件文のどこを見るか
- 第5段落: その当日に製品を出荷 、 製品は見込生産 とあります。自社製品は注文前の備えが必要です。
- 第6段落: 翌月の販売予測数量 とあります。見込生産の出発点となる情報です。
- 第9段落: 受注生産で一括納品 、 受注後の納期の回答 とあります。OEMは確定受注から完成・納品の日程を管理します。
見込生産は、予測と在庫を合わせる
自社製品は注文当日に出荷するため、注文前に作って在庫を用意します。重視するのは販売実績や需要予測と現在庫です。 品目別にどれだけ備えるか、いつ補充するか の在庫基準を管理し、作りすぎと欠品の両方を抑えます。
受注生産は、仕様と納期へ能力・進捗を合わせる
OEMは注文された仕様・数量・納期を基に生産します。引き受ける仕事量を工程能力と照合し、完成までの日程と進捗を管理します。 約束した納期までに、必要量を完成させる ことが管理の中心です。
| 生産方式 | 重視する情報 | 管理ポイント |
|---|---|---|
| 見込生産 | 需要予測・販売実績・現在庫 | 在庫基準と補充で欠品・過剰在庫を抑える |
| 受注生産 | 受注仕様・数量・納期 | 能力負荷計画と工程進捗で納期を守る |
両方式とも計画と進捗は必要です。違いは、それぞれ何を出発点に、何を重点管理するかにあります。「在庫を持つかどうか」だけで終わらず、情報と管理を一組で示します。
二つの生産方式の違いを80字で答案化する
答案の骨格は、次の論点を設問の要求に沿って組み立てることです。
見込生産では需要予測だけでなく、出荷と実在庫から補充量を決める。受注生産では確定した数量・仕様・納期を出発点として能力と日程を組み、進捗を管理するという違いを示す。
公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある「多品種少量生産における効率的な生産方法を教えてください。」は、受注頻度とロットサイズを分析し、段取り効率と在庫保有を組み合わせて生産方式を決める方法について示しています。本問では、「製造業の経営力向上では、需要情報、技能、デジタル技術、経営資源の組合せを具体的な業務改善へ落とすこと」を2009年度事例IIIの与件事実と設問要求へ当てはめます。
| 公的資料の判断軸 | 本問への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| 製造業の経営力向上では、需要情報、技能、デジタル技術、経営資源の組合せを具体的な業務改善へ落とすこと | 見込生産と受注生産と生産管理情報を、与件の事実と設問要求に対応させる | 効率化・標準化という抽象語で終わらず、対象工程、現状の制約、変更する条件とQCD効果を書く |
類題は、2024年度事例III第2問です。
- 共通点:どちらも、与件の生産・技術上の事実を、見込生産と受注生産の判断へ変換する点が共通します。
- 相違点:本問は「見込生産と受注生産→生産管理情報→QCD・成長への効果」を中心に問うのに対し、類題は「工程のムダと制約を特定し、生産能力を高める工程改善」を中心に問います。要求と制約が異なるため、類題の施策をそのまま移さず、本問の与件で取捨選択します。
出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21「多品種少量生産における効率的な生産方法を教えてください。」(受注頻度とロットサイズを分析し、段取り効率と在庫保有を組み合わせて生産方式を決める方法)
この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2009年度の与件事実を主根拠にします。

