Skip to content

平成 29 年度(2017 年度)事例 Ⅱ 解答解説 ​

目次は画面右上の「On this page」をタップしてください。

第 1 問(配点 20 点) ​

設問文 ​

B 社について、現在の(a)自社の強みと(b)競合の状況をそれぞれ 60 字以内で説明せよ。

回答例(48,50 字) ​

【(a) 自社の強み】井戸端会議による強固な顧客関係と詳細な購買・好みの情報、睡眠状況を聞き商品を薦める丁寧な接客力。 【(b) 競合の状況】若年層が大型スーパーへ流出しているが、同店は高品質品と専門的説明が乏しい。百貨店は遠方で利用に不便。

解説 ​

この問題の着眼点 ​

(a)自社の強みと(b)競合の状況を、それぞれ60字以内で整理する与件抜粋型の問題 です。3Cのうち自社と競合が問われています。顧客の需要を読み取りに使いながら、答案は指定された二つの欄へ分けます。

根拠集めは最初、答案の確定は最後 ​

与件を読みながら強みと競合の事実をマーキングし、候補が集まったら第2問以降へ進みます。後続設問で使った強みを1軍、補足候補を2軍とし、最後に60字へ絞り込みましょう。

本問の自社欄は強みだけを求めています。弱みも分析には必要ですが、答案には入れず、限られた字数を 関係・情報・接客のつながり に使います。

顧客に選ばれる力を、競合との違いから捉える ​

与件文のどこを見るか ​
  • 第1段落: 睡眠状況を聞きながら商品を薦める、 多くの顧客の信頼を得ている とあります。相手の悩みを理解して商品を選ぶ接客が、信頼を生んでいます。
  • 第5段落: 休憩コーナーで井戸端会議、 寝具の買い替えがあればほぼB社で購入、 顧客との継続的な接点 とあります。日常の交流が、長い購買間隔を埋める関係になっています。
  • 第6段落: 潜在的な顧客ニーズを収集する場、 顧客の好みをよく把握している副社長が品揃えを厳選、 欲しいものがなかったときは体力的、精神的につらい とあります。交流で知った需要を品揃えに反映できる一方、顧客は遠方の百貨店での買い物に負担を感じています。
  • 第10段落: 寝具や婦人服の購買履歴と記憶した好み、 1件の情報は非常に詳細 とあります。顧客に合わせた提案に使える情報が蓄積されています。
  • 第8段落: 保育士の勤務経験、 入園準備のアドバイスと商品を求め、来店 とあります。次期社長の知識も、新たな顧客に選ばれる力になっています。
  • 第9段落: 高品質な商品が少ない、 十分な説明もできない とあります。大型スーパーの寝具売場では、品質と説明の面に不足があります。
井戸端会議を、集まる場所から経営資源へ読み替える ​

休憩コーナーには人が集まり、旅行や映画も共にする関係ができています。その交流は、寝具が必要になったときにB社を選ぶ信頼と、本人もはっきり言語化していなかった需要を知る機会になっています。

さらに、知った好みを品揃えや提案に使えます。強みは「休憩コーナーがあること」だけでなく、 顧客との強固な関係→詳細な顧客情報→個別の提案接客 という一続きの力です。

第6段落の 「しかし」 では、当初は断る予定だった婦人服の予約会を、井戸端会議の話を聞いて受け入れています。顧客情報を持っているだけでなく、それを販売機会へ変えられた経験まで捉えます。

競合は、顧客の不便と売場の不足を分けてまとめる ​

大型スーパーは若年層の買い物先ですが、寝具売場には高品質な商品が少なく、十分な説明もできません。B社の睡眠相談や提案接客が、比較上の強みになる部分です。

百貨店については、遠方まで出かけたのに欲しい物がないという顧客の経験があります。 大型スーパーの品質・説明不足と、百貨店の距離・需要との不適合 を分けて拾います。百貨店の全商品が不足していると広げず、地域の顧客が感じている買い物の負担として読みます。

第2問以降を解いて、1軍・2軍を分ける ​
自社の候補後続設問とのつながり答案に残す方向
井戸端会議による信頼と交流第2問の個別案内、第3問の継続取引の土台強固な顧客関係 を1軍に
好み・購買履歴を知る力第2問の対象抽出・品揃え、第3問の継続提案へ使う詳細な顧客情報 を1軍に
睡眠状況を聞く丁寧な接客第2問の商品提案、第3問の寝具提案、第4問の親子相談に使うコンサルティング接客力 を1軍に
保育士経験、園ごとの入園用品の知識第4問の子育て世代への提案を支える新しい顧客へ広がる専門性として整理
手作りノベルティ、本部からの仕入れ来店のきっかけや商品調達を補う2軍とし、関係・情報・接客を優先

保育士経験も重要ですが、60字では個々の経験を全て並べられません。複数の施策に共通する能力へ束ねることで、強みの中心を残します。

自社の強みと競合の状況を各60字で答案化する ​

答案の骨格は、次の論点を設問の順に整理することです。

自社の強みは、井戸端会議で築いた信頼関係と、顧客の好み・購買履歴を把握し、睡眠状況を聞きながら商品を薦める接客力です。競合欄では、若年層が大型スーパーへ流れている事実と、大型スーパーの高品質品・専門的説明の不足、百貨店の遠さを分けて示します。顧客の流出先と競合の弱点を混同しないことが重要です。


公的資料から持ち帰る知識と類題 ​

独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある経営ハンドブック「商品開発・市場開拓のための社内外の組織・体制づくり」は、3C・4P・SWOTで自社と市場を整理し、顧客の声や異分野との接点を社内外の体制へ落とす方法について示しています。本問では、「顧客・競合・自社、または内部・外部を分けて根拠を整理する」を2017年度事例IIの与件事実と設問要求へ当てはめます。

公的資料の判断軸この設問への当てはめ答案上の注意
顧客・競合・自社、または内部・外部を分けて根拠を整理する分析の各箱へ与件事実を置き、比較から強みと課題を特定する現状分析では後続問の施策を先取りしない

類題は、2025年度事例II第1問 と 2018年度事例II第1問 です。共通点 は、顧客・競合・自社を比較して強みと課題を示すことです。相違点 は、本問が井戸端会議による関係性と情報収集力を競合の弱点と対比する点です。

出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21経営ハンドブック「商品開発・市場開拓のための社内外の組織・体制づくり」(3C・4P・SWOTで自社と市場を整理し、顧客の声や異分野との接点を社内外の体制へ落とす方法)

この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2017年度の与件事実を主根拠にします。

第 2 問(配点 25 点) ​

設問文 ​

B 社はボランタリー・チェーン本部から新たに婦人用ハンドバッグの予約会の開催を打診された。B 社は現在のデータベースを活用しながら、この予約会を成功させようと考えている。そのためには、どのような施策を行うべきか。120 字以内で助言せよ。

回答例(110 字) ​

婦人服の購買履歴と好みから見込み客を抽出し、服に合うバッグを厳選する。副社長が電話・DMで個別案内し、時間帯別予約で狭い会場の混雑を抑え、予約状況を管理する。会場では服とのコーディネートを提案し、来場率と成約率を高める。

解説 ​

この問題の着眼点 ​

現在のデータベースを使い、婦人用ハンドバッグの予約会を成功させる施策 を120字で助言します。CRMの顧客理解を、Productとしての品揃えと、Promotionとしての個別案内へ具体化する問題です。

蓄積した情報を、売場と案内の内容に変える ​

与件文のどこを見るか ​
  • 第10段落: 副社長が記録した寝具や婦人服の購買履歴と記憶した好み、 文字と画像、 活用方法は見いだせず とあります。既にある情報を、誰へのどんな提案に使うかが課題です。
  • 第6段落: 顧客の好みをよく把握している副社長が品揃えを厳選、 時間によっては顧客が会場に入れない とあります。品揃えの選定力がある一方、会場の広さには制約があります。
  • 第5段落: 寝具の買い替えがあればほぼB社で購入 とあります。既存客との信頼関係を、新しい商品を相談してもらう土台にできます。
  • 第12段落: 顧客が会場でサンプルを確認、試着し、 商品の引き渡しと支払いは後日 とあります。予約会は実物を確かめて選ぶ場です。事前案内と当日の提案をつなげます。
婦人服の購入履歴から、バッグを選ぶ場面を考える ​

データベースには、婦人服の購買履歴と副社長が把握した好みが、文字や画像で残っています。どのような服を買ったか、どの色やデザインを好むかを見れば、バッグを提案する相手と商品の方向を考えられます。

例えば、購入済みの服に合う色や大きさのバッグを選ぶという使い方です。 婦人服の購買履歴・好み→購入が見込める顧客→服に合うバッグ とつなげます。過去のバッグ購入履歴があるとは書かれていないので、現在ある婦人服の情報を起点にします。

第10段落の 「しかし」 が示すのは、詳細な情報はあるのに活用できていないという隔たりです。さらに情報を集めることより、今の情報を抽出・選定・提案に使うことが本問の中心です。

品揃えの厳選と、一人ひとりへの案内をそろえる ​

第6段落の 「ただし」 の後には、狭い会場で副社長が品揃えを厳選した事実があります。今回も全商品を広く並べるのではなく、抽出した顧客の好みに合う商品を本部から選ぶ方向が考えられます。

案内も一律に送るだけでなく、信頼関係のある副社長が電話やDMで、どんな服に合わせられるか、なぜその人に薦めたいかを伝えます。 対象顧客・品揃え・案内内容を一致させる ことで、予約会を自分に関係のある機会として受け止めてもらいやすくなります。

会場の混雑には、希望日時を聞いて来場時間を分けるなどの対応も考えられます。ただし、これは来場を支える運営上の補助です。答案の中心は、顧客情報を商品と提案の選択に使うことに置きます。

当日の接客まで、同じ顧客理解を使う ​

予約会ではサンプルを確かめられます。既に購入した婦人服との組み合わせを示し、持ったときの印象や使いたい場面を聞けば、自分に合うかを判断しやすくなります。 来場を促す案内と、購入判断を助ける接客 を一続きにすることが大切です。

来場、予約、選んだ商品や感想を記録すれば、次の案内や品揃えも改善できます。今回の成約を目指しながら、顧客理解が深まる循環として捉えましょう。

DB活用から予約会の成果までを120字で答案化する ​

答案の骨格は、次の論点を設問の順に整理することです。

婦人服の購買履歴と好みから予約会に合う顧客を選び、既購入服に合うバッグを厳選します。副社長の信頼関係を生かした電話・DMで個別に案内し、来場を促します。会場が狭く混雑しやすいため時間帯別の予約で来場を分散し、当日は服とのコーディネートを提案して成約へつなげます。


公的資料から持ち帰る知識と類題 ​

独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある「お客さまの反応がよいDMの出し方を教えてください。」は、属性・購買履歴・問い合わせ等で対象を絞り、受け手の便益が伝わる個別案内を行う方法について示しています。本問では、「データから顧客を分け、品揃え・提案・販促へ反映する」を2017年度事例IIの与件事実と設問要求へ当てはめます。また、「顧客台帳をパソコンでつくる方法を教えてください。」と「CRMの導入についてその進め方と注意点などを教えてください。」は、購買履歴、来店頻度、購入金額等を蓄積・抽出し、個別案内へ活用する方法と顧客情報を目的別に整備・分析し、個別対応、関係深化、次の改善へ循環させる方法を補う資料として併記します。

公的資料の判断軸この設問への当てはめ答案上の注意
データから顧客を分け、品揃え・提案・販促へ反映する顧客属性・履歴を具体的な対象選定と個別提案へ変えるシステム導入自体を目的にしない

類題は、2019年度事例II第2問 と 2025年度事例II第3問 です。共通点 は、履歴・嗜好を個別提案へ変えることです。相違点 は、本問が婦人服購買客を抽出し、バッグの予約制コーディネート提案へ結ぶ点です。

出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21「お客さまの反応がよいDMの出し方を教えてください。」(属性・購買履歴・問い合わせ等で対象を絞り、受け手の便益が伝わる個別案内を行う方法) / 中小企業基盤整備機構 J-Net21「顧客台帳をパソコンでつくる方法を教えてください。」(購買履歴、来店頻度、購入金額等を蓄積・抽出し、個別案内へ活用する方法) / 中小企業基盤整備機構 J-Net21「CRMの導入についてその進め方と注意点などを教えてください。」(顧客情報を目的別に整備・分析し、個別対応、関係深化、次の改善へ循環させる方法)

この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2017年度の与件事実を主根拠にします。

第 3 問(配点 30 点) ​

設問文 ​

地域内の中小建築業と連携しながら、シルバー世代の顧客生涯価値を高めるための施策について、120 字以内で助言せよ。

回答例(119 字) ​

中小建築業と連携し、介護改装時の住環境情報を共有して、B社が身体状況や生活動線に合う介護ベッド・寝具を提案する。導入後も定期点検、寝具調整、消耗品・買替えを継続提案し、安心と利便を高めて単発販売を継続取引へ変え、顧客生涯価値を向上させる。

解説 ​

この問題の着眼点 ​

地域の中小建築業との連携によって、シルバー世代の顧客生涯価値を高める施策 を120字で助言します。改装と寝具を組み合わせる提供価値に、導入後の継続対応を加えます。連携先と一度商品を売るだけでなく、 顧客との取引を長く続ける仕組み が中心です。

介護への生活変化を、住まいと寝具の両面で支える ​

与件文のどこを見るか ​
  • 第2段落: 介護のための改装も増加 とあります。住まいを介護に合わせて変える需要が生まれています。
  • 第9段落: シルバー世代の顧客の多くはやがて介護をされる側の立場 とあります。既存客の生活変化に対応する必要があります。
  • 第1段落: 介護ベッド、 睡眠状況を聞きながら商品を薦める とあります。商品と相談接客を組み合わせられます。
  • 第10段落: 現社長が配達時に記録した住所、 寝具や婦人服の購買履歴と記憶した好み とあります。既存顧客を理解し、訪問や継続提案を考える土台があります。
  • 第5段落: 寝具は購買間隔が長く、 日用品は購買間隔が短い とあります。長期の関係では、耐久財の買い替えの間にも接点を保つことが重要です。
建築業と組む理由を、顧客の困り事から考える ​

第2段落の 「加えて」 は、核家族向けの建築需要に加わる介護改装の需要を示します。シルバー世代が介護を受けるようになると、部屋の使い方や移動のしやすさ、寝起きのしやすさを一緒に見直す必要が出てきます。

建築業は改装や住環境を把握でき、B社は介護ベッドなどの寝具と相談接客を持っています。 住環境の整備と、身体・生活に合う寝具の提案 を組み合わせれば、別々に手配する負担を減らし、暮らしに合う選択を支援できます。

相互の情報を、具体的な提案へつなげる ​

建築業者が改装時に知る部屋の広さや生活動線と、B社が把握する寝具の使用状況・好みを照らします。顧客の同意を得て必要な情報を共有し、設置場所や使い方に合う介護ベッド・寝具を提案する方向です。

B社側も、日頃の相談で住まいの不便を聞けば建築業者を紹介できます。 改装相談から寝具へ、寝具相談から住まいへ と接点をつなぎ、双方の専門性で顧客を支えます。身体状況に応じた選択では、本人・家族の希望や必要な専門家の助言を確認して対応します。

顧客生涯価値は、導入後も選ばれ続けることで高める ​

介護ベッドを一度納めるだけでは、その販売時点の売上で終わります。導入後も使い心地や不便を確かめ、寝具の調整、消耗品の補充、状態の変化に応じた買い替えを提案します。 導入→使用中の確認・調整→消耗品・買い替え という接点をつくります。

寝具は購買間隔が長いため、買い替え時だけの関係では相談先として思い出してもらいにくくなります。継続対応で安心と利便を高めれば、暮らしが変わったときにもB社へ相談する関係が続きます。必要のない買い替えを増やすのではなく、必要な時点で適した商品・支援を届ける考え方です。

段階建築業とB社の役割継続関係につながる効果
改装時住環境と寝具を合わせて提案手配の負担軽減と使いやすさ
導入後使用状況の確認、点検・調整安心と信頼の維持
生活の変化時消耗品補充、寝具の見直し継続購買と離脱の防止

継続対応には手間もかかるため、訪問や点検の役割・頻度を決め、続けられる負担にします。顧客生涯価値は、単発の販売額より、関係が続く期間とその間の取引を長い目で見る観点です。

連携と継続取引を120字で答案化する ​

答案の骨格は、 介護改装の情報と寝具提案の連携→身体・住環境に合う導入→点検・調整・継続提案→顧客生涯価値 です。前半に誰と何を共有して何を提案するか、後半に導入後の対応を置きます。

120字では、 協業による一回の販売と、継続的な取引の両方 を残します。最後に「LTV向上」と添えるだけでなく、点検や消耗品・買い替え提案によって関係が続く仕組みを説明しましょう。


公的資料から持ち帰る知識と類題 ​

独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある「中小企業にも有効な企業連携の考え方について教えてください。」は、共通目的、相互補完する経営資源、役割分担、双方の利益を明確にする連携原則について示しています。本問では、「各者の得意資源と役割を分け、共同価値と双方の効果を作る」を2017年度事例IIの与件事実と設問要求へ当てはめます。また、「シニアビジネスを成功させるための留意点を教えてください。」は、シニアを健康・資産・価値観等で細分化し、本人・家族のニーズと信頼形成へ合わせる方法を補う資料として併記します。

公的資料の判断軸この設問への当てはめ答案上の注意
各者の得意資源と役割を分け、共同価値と双方の効果を作る協業相手、自社の提供資源、相手の資源、顧客便益を対応させる相手先名だけ、または一方だけが得する提案にしない

類題は、2022年度事例II第4問 と 2018年度事例II第4問 です。共通点 は、補完資源を持つ相手との提携です。相違点 は、本問が建築業者の介護改装とB社の寝具提案・定期点検を長期関係へつなぐ点です。

出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21「中小企業にも有効な企業連携の考え方について教えてください。」(共通目的、相互補完する経営資源、役割分担、双方の利益を明確にする連携原則) / 中小企業基盤整備機構 J-Net21「シニアビジネスを成功させるための留意点を教えてください。」(シニアを健康・資産・価値観等で細分化し、本人・家族のニーズと信頼形成へ合わせる方法)

この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2017年度の与件事実を主根拠にします。

第 4 問(配点 25 点) ​

設問文 ​

B 社は今後、シルバー世代以外のどのセグメントをメイン・ターゲットにし、どのような施策を行うべきか。図を参考に、120 字以内で助言せよ。

回答例(115 字) ​

人口構成比が高く将来性のある子育て世代を主対象とする。次期社長の保育士経験を生かし、保育園ごとの昼寝布団・手提げ等の規則に沿う入園準備相談と親子快眠教室を開催する。子ども用寝具を提案し、成長段階ごとの点検・買替えで継続利用を促す。

解説 ​

この問題の着眼点 ​

シルバー世代以外のメインターゲットと、その層への施策 を120字で助言します。図で市場の候補を見つけ、B社の経験・商品・接点が活かせるかを確かめます。Targetと顧客提供価値を決め、教室や商品提案、継続利用へつなぐ問題です。

人口の山と、自社が応えられる需要を重ねる ​

与件文のどこを見るか ​
  • 第2段落: 子育てに関する行政サービスを充実、 核家族世帯のための建築需要が増えている とあります。子育て世代の生活を支える地域環境が整いつつあります。
  • 第8段落: 保育士の勤務経験、 保育園ごとの昼寝用布団、 入園準備のアドバイスと商品を求め、来店 とあります。次期社長の経験が、子育て世代との接点を生んでいます。
  • 第9段落: シルバー世代の顧客の多くはやがて介護をされる側の立場、 高品質な商品が少ない、 十分な説明もできない、 親の快眠と子供を寝かしつける工夫、 後日顧客として来店するようになりつつある とあります。既存客の先行きと競合の不足に対し、親子の相談をきっかけに来店する動きが見られます。
  • 第1段落: 睡眠状況を聞きながら商品を薦める、 ベビー布団、ベビーベッド とあります。親子の悩みを聞いて、具体的な商品へつなげる資源があります。
図から候補を見つけ、与件の来店事実で絞る ​

図にはX市の30〜40代に人口構成比の山があり、30代後半などでは全国を上回っています。この層を子育て世代の候補として捉え、行政の子育て支援や核家族の住宅需要、入園準備を求める来店事実と合わせます。

図は現在の年齢別構成比であり、人口の増加率ではありません。単に人数が多そうだから選ぶのではなく、 市場の厚み×子育ての需要×B社の専門性 が重なる層を選ぶ考え方です。

第8段落の 「それをきっかけに」 は、シルバー世代への孫の入園準備の助言から、子育て世代の来店へつながったことを示します。既存客との信頼が、新しい世代に接する入口にもなっています。

商品を売る前に、親子の困り事を相談できる店にする ​

次期社長は園ごとの昼寝用布団や手さげカバンのルールを知っています。子育て世代にとっては、何をどのサイズで用意するかを相談でき、必要な商品を選べることが便益です。 保育士経験による入園準備の助言と、寝具店の提案接客 を組み合わせます。

「親と子の快眠教室」では、親の睡眠や子供の寝かしつけについて話し、家庭ごとの困り事を聞けます。高品質な商品と説明が不足するスーパーに対し、B社は親子の生活に合う選び方を相談できる店として違いを出せます。

教室への参加を、商品選びと次の相談へつなぐ ​

教室は開催自体を目的にせず、参加者の悩みを聞き、子供の成長や使い方に合う寝具・関連用品を提案する接点にします。既に後日の来店が起きつつあるため、その流れを定期開催と個別相談で育てる方向です。

さらに、選んだ商品や子供の成長段階、相談内容を同意のもとで記録し、入園や成長に合わせた点検・買い替えの案内へ使います。 教室で知り合う→悩みに合う商品を選ぶ→成長に合わせて相談を続ける とつなげれば、一度のイベント参加から家族の継続利用へ広げられます。

第2問で使う既存DBはシルバー世代の情報が中心です。子育て世代の情報は、これからの接客で把握する施策として区別します。世代を変えても、顧客をよく知り、相手に合わせて提案するというB社の強みは共通です。

ターゲットと継続利用への施策を120字で答案化する ​

答案の骨格は、次の論点を設問の順に整理することです。

子育て世代を選ぶ根拠は人口の厚みだけでなく、保育士経験と入園準備を求める来店との適合です。入園相談では保育園ごとの昼寝布団・手提げなどの規則を確認し、必要な準備を支援します。親子快眠教室や子ども用寝具の提案、成長段階の点検・買替え案内までつなげ、相談を継続利用へ変えます。


公的資料から持ち帰る知識と類題 ​

独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある「顧客ターゲットを明確化するには、どうすればよいのでしょうか?」は、属性・地域・心理・行動で標的を具体化し、品揃え・サービス・販促を標的へ合わせる方法について示しています。本問では、「標的顧客のニーズから商品・サービスと届け方を設計する」を2017年度事例IIの与件事実と設問要求へ当てはめます。

公的資料の判断軸この設問への当てはめ答案上の注意
標的顧客のニーズから商品・サービスと届け方を設計する対象顧客、提供価値、商品・品揃え、販売方法を因果で結ぶ与件にない商品を自由発想せず既存資源との適合を確かめる

類題は、2023年度事例II第3問 と 2021年度事例II第2問 です。共通点 は、新しい標的顧客へ体験と商品提案を行うことです。相違点 は、本問が次期社長の保育士経験を子育て世代向け快眠教室へ使う点です。

出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21「顧客ターゲットを明確化するには、どうすればよいのでしょうか?」(属性・地域・心理・行動で標的を具体化し、品揃え・サービス・販促を標的へ合わせる方法)

この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2017年度の与件事実を主根拠にします。

© 2024 AIで中小企業診断士二次試験 | All Rights Reserved