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令和 7 年度(2025 年度)事例 Ⅲ 解答解説
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令和 7 年度添削プロンプトリンク
令和 7 年度解答解説リンク
第 1 問(配点 20 点)
設問文
C 社の(a)強みと(b)弱みについて、それぞれ 60 字以内で述べよ。
⒜ 強み
回答例(59,60 字)
【(a)強み】X社から原料紙を安定調達でき、建築用で凝固後の抜き取りやすさが評価され、再生紙活用で循環型社会に貢献する実績を持つ点。 【(b)弱み】ベテランの経験と勘に作業が依存し技術承継が遅れ、品質ばらつきとクレームが増え、記録・再発防止と原料在庫管理も不十分な点。
解説
この問題の着眼点
C社の内部環境を、 強み・弱みに分けて各60字で整理する与件抜粋型の問題 です。製品を安定して供給できる基盤と、それを妨げている現場・管理の弱さを拾います。
根拠集めは最初、答案の確定は最後
与件を読みながら強み・弱みの候補をマーキングします。ボールペンや蛍光ペンの色、S・Wの印で区別し、この段階では60字に絞らず第2問以降へ進みます。
後続設問を解くと、コストダウンや納期対応、新事業で活かす基盤と補う弱さが見えてきます。それを確かめてから第1問に戻り、重要な候補を優先して残します。
安定供給の基盤と、現場で起きている問題を分ける
与件文のどこを見るか
- 第2段落: 原料紙は、現在も X 社から安定的に仕入れることができている とあります。長年の仕入先との関係が、原料調達を支えています。
- 第4段落: コンクリート凝固後の抜き取りやすさが顧客から評価されている とあります。製品のどの使い勝手が評価されているかまで具体的に拾います。
- 第5段落: C 社製品の原料紙は現在ほとんどが再生紙、 循環型社会醸成の一翼を担っている とあります。再生紙を活用し、使用後も資源へ戻る循環に関わる実績があります。
- 第12段落: 作業方法はベテラン作業者の経験と勘によるものが多く、 技術やスキルの承継が必ずしもうまくいっておらず とあります。作業が個人の技能に依存し、会社として引き継ぐ仕組みが弱いと読めます。
- 第13段落: 厚さや強度などの品質のばらつき、 クレームや不適合品発生の記録、その原因追及、再発防止までは手が回っていない とあります。品質が安定せず、同じ問題を繰り返さないための管理も不足しています。
- 第14段落: 作業者が不足を確認した際に発注、 原料紙待ちによる作業停滞 とあります。必要になる前に原料を手配できず、作業が止まっています。
強みは、C社が既に持つ基盤と顧客の評価から拾う
原料紙を安定して仕入れられることは、受注に応えるための調達基盤です。建築用の抜き取りやすさは、「技術力が高い」という抽象語よりも、 顧客が評価している製品の具体的な特長 として残すと伝わります。
紙加工品への需要の高まりは市場の機会ですが、 再生紙を活用して循環型社会に貢献している実績 はC社側の強みです。外部の期待と、既に備えている資源・実績を分けて整理します。
弱みは、個別のトラブルから管理の不足へまとめる
立上りロスや品質ばらつきは、ベテランの経験と勘に頼り、良い方法を共有できていないこととつながっています。再納品しても原因を記録して作業条件へ反映しなければ、同じ不良が繰り返されます。 属人化・技能承継の遅れと、品質管理の不備 へまとめると、現象の列挙を避けられます。
第14段落の 「発注するが」 は、発注しても間に合わず作業が止まることを示します。X社が安定した仕入先であることと、C社が適切な時期に発注できることは別です。ここは 原料在庫・発注管理の不備 と捉えます。
第2問以降を解いて、1軍・2軍を分ける
後続設問で改善の対象となる弱さや、事業を支える基盤を1軍として優先します。
| 第1問で拾った候補 | 後続設問とのつながり | 答案に残す方向 |
|---|---|---|
| 経験と勘への依存・技能承継の遅れ | 第2問で立上りロスを減らすため、作業を標準化する | 属人化と承継の遅れ |
| 品質ばらつき・記録と再発防止の不足 | 第2問の不良削減、第4問の厳格な品質基準への対応に関わる | 品質管理の不備 |
| 不足を確認してからの原料手配 | 第3問の納期対応を支える前提となる | 原料在庫管理の不備 |
| 安定調達・製品の顧客評価・循環利用の実績 | 既存事業と第4問の新事業を考える際の出発点となる | 調達・製品・環境対応の異なる強み |
例えば立上りロスや再納品は、1軍の弱みを裏付ける具体例として2軍に置き、上の表現へ束ねられます。後続設問だけで候補を選び切らず、強みは 調達・顧客評価・環境対応 の広がりも確保します。
強みと弱みを各60字で答案化する
答案の骨格は、 強み=安定調達+顧客評価+循環利用/弱み=属人化+品質管理不備+原料管理不備 です。強みにはX社、抜き取りやすさ、再生紙という具体語を入れ、弱みには経験と勘への依存、記録・再発防止の不足を肉付けします。
一つのトラブルを詳しく書くより、似た事実をまとめて異なる観点を残します。改善策は第2問以降に譲り、ここではC社の現状を端的に示します。
公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある経営ハンドブック「商品開発・市場開拓のための社内外の組織・体制づくり」は、3C・4P・SWOTで自社と市場を整理し、顧客の声や異分野との接点を社内外の体制へ落とす方法について示しています。本問では、「QCDの達成を支える資源・能力」と「QCDを不安定にする管理上の不備」を2025年度事例IIIの与件事実と設問要求へ当てはめます。また、「不良品を出さないための工程管理方法について教えてください。」は、工程条件と管理値を記録して異常を早期発見し、不良の未然防止と再発防止へつなげる方法を補う資料として併記します。
| 公的資料の判断軸 | 2025年度への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| QCDの達成を支える資源・能力 | 安定調達、抜き取りやすさの評価、再生紙 | 「技術力がある」で終わらず与件の評価対象を書く |
| QCDを不安定にする管理上の不備 | 属人化、品質ばらつき、後追いの原料紙手配 | クレームなどの結果だけでなく真因を書く |
類題は、生産面の強みを問う 2023年度事例III第1問、強みを今後の事業へどう使うかまで意識したい 2024年度事例III第1問 です。
類題との共通点は、生産面の資源・能力を与件から特定する点です。相違点は、本問では強みと弱みを対にして各60字へ圧縮する点です。
出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21経営ハンドブック「商品開発・市場開拓のための社内外の組織・体制づくり」(3C・4P・SWOTで自社と市場を整理し、顧客の声や異分野との接点を社内外の体制へ落とす方法) / 中小企業基盤整備機構 J-Net21「不良品を出さないための工程管理方法について教えてください。」(工程条件と管理値を記録して異常を早期発見し、不良の未然防止と再発防止へつなげる方法)
この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2025年度の与件事実を主根拠にします。
第 2 問(配点 30 点)
設問文
C 社経営者は、収益性強化のため製造に関してのコストダウンに取り組む方針である。そのために特に重要と思われる課題を 2 つあげ、各課題に対しての改善策とともにそれぞれ 60 字以内で述べよ。
課題と改善策 1
回答例(60,60 字)
【課題と改善策1】経験と勘による原料紙セットの立上りロスが課題。IEで作業を分析・標準化し、OJTとセット条件の記録共有でロスを削減する。 【課題と改善策2】品質ばらつき・再納品増に対し、QC活動で特性要因図から真因を究明し、接着剤の塗布・巻取条件を記録・標準化して再発を防ぐ。
解説
この問題の着眼点
製造のコストダウンに向け、 課題と改善策を二組、各60字で述べます。 原料紙セット時のロスと、不良による作り直しを分け、それぞれの発生原因へ対策を結びつけます。
材料と時間が余分にかかる場所を読む
与件文のどこを見るか
- 第6段落: 製品の高付加価値化、コストダウンによる収益性強化 とあります。本問は、このうち製造段階のコストダウンを具体化します。
- 第12段落: 作業方法はベテラン作業者の経験と勘によるものが多く、 技術やスキルの承継が必ずしもうまくいっておらず、 原料紙の機械セットに際して立ち上がりロスによるムダ とあります。作業の属人化と承継の遅れが、立上り時のムダにつながっています。
- 第13段落: 接着剤の塗布方法や成型機の巻き取り方法の相違、 厚さや強度などの品質のばらつき、 作り直して再納品、 クレームや不適合品発生の記録、その原因追及、再発防止までは手が回っていない とあります。加工条件がそろわず、不良発生後も原因を取り除くところまで進めていません。
立上りロスは、熟練者の方法を誰でも使える標準へ変える
機械を立ち上げるたびに条件を探り直すと、良品を作れる状態になるまで材料と時間を使います。ベテランが退職する中、その調整のこつが個人の中に残ったままでは、後任者が同じ水準の作業を再現しにくくなります。
そこで、原料紙をセットする順序、調整のしかた、良好な条件を調べ、 作業方法とセット条件を標準化する ことを考えます。IEによる作業分析は、どこで時間や動作のムダが生じるかを確かめる手段です。分析した内容を手順書や記録へ落とし、OJTで実際に再現できるようにして、 立上り時の材料・時間のロスを削減する ところまでつなげます。
教育だけを先に挙げるより、何を教える標準にするか を明らかにすると、経験と勘への依存に対応した改善策になります。
品質ばらつきは、再納品で終わらせず原因を工程へ戻す
第13段落の 「さらに」 は、立上りロスに加えて品質の問題を示します。 「再納品しているが」 の後には、記録・原因追及・再発防止の不足が続きます。作り直して納めるたびに、材料、加工時間、配送などの負担が増えます。
必要なのは、 不良の記録から原因を調べ、塗布・巻取条件をそろえること です。例えば特性要因図で材料・機械・方法などの原因候補を整理し、不良記録と実際の加工条件を照合して確かめます。改善した条件を標準へ反映し、同じ不良が再び起きていないかまで確認します。QC活動を、 作り直し・再納品の削減 に結びつける流れです。
二つの課題を、発生場面と改善目的で分ける
| 発生場面と課題 | 改善の中心 | 減らすコスト |
|---|---|---|
| 機械セット時の立上りロス | 作業分析→標準化・条件共有→OJT | 良品を作り始めるまでの材料・時間 |
| 品質ばらつきと再納品 | 不良記録→原因究明→工程条件の標準化・再発防止 | 不良品と作り直しにかかる材料・労務等 |
IEとQCは、手法名を当てるだけで終わらせず、対象に合わせて使います。どちらにも標準化は必要ですが、前者は立上り作業の再現性、後者は不良原因の除去が中心です。原料待ちも改善候補ですが、ここでは与件が続けて示す二つの損失を、原因と対策が明確な組として優先します。
課題と改善策を二組、各60字で答案化する
答案の骨格は、 立上りロス→作業分析・標準化・OJT/品質ばらつき→記録・原因究明・再発防止 です。それぞれ「課題は〜。〜により削減する。」という形で、課題と改善策を一つの回答欄に収めます。
原料紙セット、接着剤塗布、巻取りという対象を肉付けすると、C社の改善策になります。字数が足りないときも、何のロスを、どの方法で減らすか の対応を残しましょう。
公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある「作業標準書の必要性とその内容について教えてください。」は、品質・コスト・安全を安定させる作業条件と手順を標準書へ落とし、教育・改訂する方法について示しています。本問では、「作業条件を取決めとして統一する」と「不適合の原因を取り除き、取決めへ反映する」を2025年度事例IIIの与件事実と設問要求へ当てはめます。また、「不良品を出さないための工程管理方法について教えてください。」は、工程条件と管理値を記録して異常を早期発見し、不良の未然防止と再発防止へつなげる方法を補う資料として併記します。
| 公的資料の判断軸 | 2025年度への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| 作業条件を取決めとして統一する | ベテランの機械セット方法を分析し、標準作業へ落とす | 「OJTをする」だけでなく、何を標準にするかを書く |
| 不適合の原因を取り除き、取決めへ反映する | 品質記録から原因を究明し、再発防止と標準改訂へつなぐ | 検査強化や再納品だけの対症療法にしない |
類題は、作業方法の問題点と改善を問う 2018年度事例III第2問、工程改善で生産能力を高める 2024年度事例III第2問 です。
類題との共通点は、現場のロスを真因まで掘り下げ、標準化と改善へ結ぶ点です。相違点は、本問では立上がりロスへIE、品質ばらつきへQCを対応させ、2課題を分ける点です。
出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21「作業標準書の必要性とその内容について教えてください。」(品質・コスト・安全を安定させる作業条件と手順を標準書へ落とし、教育・改訂する方法) / 中小企業基盤整備機構 J-Net21「不良品を出さないための工程管理方法について教えてください。」(工程条件と管理値を記録して異常を早期発見し、不良の未然防止と再発防止へつなげる方法)
この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2025年度の与件事実を主根拠にします。
第 3 問(配点 20 点)
設問文
C 社では、繰り返し受注頻度の多い一部製品の在庫を保有して見込み生産を行うか検討してきたが、経営者は経営上のリスクに鑑み、製品在庫をもたず納期に対応できる工程管理の改善を進めることとした。それを実現するために必要な対応策について、100 字以内で助言せよ。
回答例(98 字)
受注予定と確定情報、2日の製造期間、ライン負荷から納期に合わせた日次計画を作る。進捗を把握し、特急受注時は優先順位と計画を更新して全員へ統一指示する。計画と原料在庫・調達日数に基づき事前発注する。
解説
この問題の着眼点
製品在庫を持たずに納期へ対応するため、受注情報から日々の計画を作り、変更を現場へ反映し、必要な原料を間に合わせる工程管理を100字で助言します。計画だけを作っても、指示が食い違ったり原料を待ったりすれば、納期に間に合いません。
受注から出荷まで、どこで時間を失っているかを読む
与件文のどこを見るか
- 第9段落: 顧客から依頼された仕様に基づいた受注生産、 製品在庫はもたない とあります。注文に応じて作る現在の生産形態が、本問の前提です。
- 第10段落: 出荷に間に合わせるための製造時間短縮が課題、 徹夜・早朝残業が増えている とあります。出荷時刻に合わせるための負担が現場に生じています。
- 第11段落: 毎週末に次週の週次製造計画を作成、 仕様変更や特急受注が全受注件数の 1 割程度、 突発的な製造計画の変更は紙のメモで作業担当者に指示、 そのたびに工程の混乱の要因 とあります。計画は既にありますが、途中の変更を円滑に受け止められていません。
- 第14段落:作業者が不足を確認してから発注するため、原料紙待ちで作業が停滞しています。着手予定に原料を間に合わせる手配も必要です。
納期とライン負荷から、日々の着手順序を決める
月次の発注予定で仕事量を見通し、週次の確定情報で実行する仕事を具体化します。2日の製造期間とライン負荷を踏まえ、納期から逆算して、どの日にどの工程へ着手するかを決めます。受注情報を並べるだけでなく、能力と納期に対応させて日次計画へ落とすことが改善になります。
特急受注用の余力枠を設ける方法も、負荷調整の補足策として考えられます。その大きさは変更頻度や必要工数から判断し、受注件数の1割という記述だけで全工程の能力を一律1割空けるとは決めません。
進捗を確認し、変更後の計画で現場をそろえる
特急受注や仕様変更があれば、納期・必要工数・工程の進捗を確認して優先順位を決めます。工場長が全体への影響を見て計画を更新し、関係するラインへ同じ指示を伝えます。特急という名前だけで全てを最優先にせず、既に約束した納期も守れる順序を考えます。
週次計画のホワイトボードと個別メモが食い違う状態を解消し、変更後の計画・作業指示・進捗を一元的に共有する運用へ改めます。更新する担当と時点を決めれば、ホワイトボードの運用改善でも対応できます。ITは共有を支える手段として選びます。
製造計画と在庫から原料を事前に手配する
第14段落の不足後発注では、必要になってから調達するため、その間は作業が止まります。製造計画から原料の使用量と使用日を求め、現在庫と調達日数を照合して事前に発注します。製品在庫を持たないことと、生産に必要な原料を事前に確保することは両立します。
第2問では作業ロスや不良を製造コストへ結びました。本問では、計画・指示・資材のつながりを整え、完成品在庫に頼らず予定どおりに作れる状態を目指します。
製品在庫を持たない納期対応を100字で答案化する
答案の骨格は、 受注情報と能力に基づく日次計画+進捗に基づく変更指示+原料の事前手配 です。計画には2日の製造期間とライン負荷、変更には優先順位と統一指示、原料には計画・在庫・調達日数を対応させます。
100字では、計画の作り方、変更を現場へ反映する方法、原料待ちを防ぐ方法を短く残します。余力確保だけに字数を使わず、計画と資材の両面から納期対応を支えましょう。
公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある「私の工場内の『ムダ取り』をしたいのですが、どのようにすればよいのですか?」は、工程分析した生産計画と実績を比較し、遅れやムダのある工程を見える化する方法について示しています。本問では、「生産形態に合う計画を作る」と「計画変更を現場の統制へ反映する」を2025年度事例IIIの与件事実と設問要求へ当てはめます。
| 公的資料の判断軸 | 2025年度への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| 生産形態に合う計画を作る | 受注情報・製造期間・ライン負荷を日次計画へ反映する | 見込生産や製品在庫保有へ変えない |
| 計画変更を現場の統制へ反映する | 優先順位・差替え基準と最新指示・進捗を一元共有する | システム導入だけでなく、先にルールと情報を整える |
第14段落の原料待ちにも対応し、製造計画・原料在庫・調達日数に基づく事前手配を組み合わせます。
類題は、生産計画と在庫推移を分析する 2018年度事例III第3問、工程管理の混乱を改善する 2024年度事例III第3問 です。
類題との共通点は、生産計画と実績・進捗の差を捉え、統制方法を改善する点です。相違点は、本問では製品在庫を持たず、受注情報と能力から日次計画を作り、変更統制と原料の事前手配を組み合わせる点です。
出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21「私の工場内の『ムダ取り』をしたいのですが、どのようにすればよいのですか?」(工程分析した生産計画と実績を比較し、遅れやムダのある工程を見える化する方法)
この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2025年度の与件事実を主根拠にします。
第 4 問(配点 30 点)
設問文
C 社では、新事業展開として食品用や医療用の紙パイプ製品への参入を検討している。それを実現するために必要な社内の取り組みについて、120 字以内で助言せよ。
回答例(116 字)
営業と製造で食品・医療用の仕様と品質要求を共有し、加工条件・検査基準へ反映する。品質記録から原因を究明し再発を防ぐ。新仕様の作業を標準化して教育し、技能を承継する。既存工程で試作・評価し、必要な設備・技術を補って安定生産体制を築く。
解説
この問題の着眼点
食品用・医療用の紙パイプへ参入するための 社内の取り組みを120字で助言する問題 です。新しい顧客要求の工程への反映、品質の確認と是正、標準化と教育、試作による工程検証を組み合わせます。
同じ紙パイプでも、要求される仕様と保証の水準が変わる
与件文のどこを見るか
- 第15段落: 比較的製品単価が高い食品用や医療用の紙パイプ製品、 サイズや強度などの仕様は異なり、 新たな顧客が求める厳格な品質基準に対応する必要 とあります。高付加価値の市場へ進むには、従来と異なる要求を満たす能力が必要です。
- 第12段落: 作業方法はベテラン作業者の経験と勘によるものが多く、 技術やスキルの承継が必ずしもうまくいっておらず とあります。新しい仕様を安定して再現するうえでも、個人依存の作業が課題になります。
- 第13段落: 厚さや強度などの品質のばらつき、 担当ライン長が対応、 クレームや不適合品発生の記録、その原因追及、再発防止までは手が回っていない とあります。ラインごとの事後対応から、会社として品質を保証する仕組みへ進む必要があります。
顧客が求める品質を、営業と製造で具体化する
第15段落の 「互換性はあるが」 は、既存工程を使える面と、新たな対応が必要な面を分けています。従来の紙パイプをそのまま別市場へ売るだけではなく、顧客が必要とするサイズ・強度や品質条件を確認しなければなりません。
最初に、 営業が顧客の技術的要求を正確に把握する ことを置きます。営業だけで判断を完結させず、製造と早期に摺り合わせ、要求を満たせる工程と条件を検討します。顧客の言葉を、作る側が使える仕様・作業条件へ置き換える役割です。
そのうえで、 新仕様に対応した工程設計と標準化 を進めます。例えば、求める強度から塗布・巻取りの条件と確認方法を検討し、試作で確かめた内容を標準へ反映します。要求把握から工程づくりまでをつなげると、「営業と製造が連携する」の中身が明確になります。
品質は、担当ラインの経験ではなく会社の仕組みで保証する
現在は、クレームに担当ライン長が対応し、作り直して再納品しています。しかし、原因が記録されず他のラインにも伝わらなければ、同じ問題を防ぎにくいままです。厳格な基準に応えるには、製造ラインを横断して品質を管理する役割と運用を明確にします。 品質保証を専任で担う責任者・体制 の設置も一つの方法ですが、部署名より確認・記録・是正が機能することが重要です。
具体的には、検査する項目と基準を決め、加工条件・検査結果・不適合の内容を記録します。不適合があれば原因を調べ、対策を作業標準へ反映し、現場に周知して効果を確認します。 検査・記録・原因究明・再発防止を一つの運用として回す ことで、特定の熟練者に頼らず品質を維持する方向へ進めます。
第2問では不良削減をコストダウンへ結びました。本問では、それを新しい顧客の要求へ継続して適合する能力として整え直します。品質保証部門を置くという名称だけでなく、何を確認し、異常をどう改善へ戻すか まで示すことが重要です。
作業を標準化し、教育で再現できるようにする
第12段落の技能承継不足に対して、新仕様の加工条件を作業手順へ落とし込みます。例えば、塗布や巻取りの条件を整理し、担当者に教えて作業結果を確認する方法が考えられます。手順を決めることと、担当者がその手順で作れることをつなぎ、熟練者の経験と勘への依存を減らします。
試作で既存工程の活用可否と不足能力を確かめる
第15段落の「互換性はあるが」は、既存工程を活かせる範囲と追加対応が必要な範囲を確かめる手掛かりです。試作・評価でサイズや強度、品質基準への適合を検証し、確認できた不足に応じて設備・技術を補います。全面的な設備更新を前提にせず、既存資源を活かしながら新仕様を安定して作る条件を確立する取り組みです。
新事業に必要な社内の取り組みを120字で答案化する
答案の骨格は、 要求の工程への反映+品質の確認と是正+標準化と教育+試作による検証と能力補完 です。営業が把握した要求を製造へ伝え、加工条件・検査基準へ落とし込みます。品質記録は原因究明と再発防止へ、作業標準は教育と技能承継へつなげます。
120字では部署名や体制名の説明を圧縮し、反映する・記録する・教える・確かめて補うという行動へ字数を使います。品質保証と部門連携だけで使い切らず、新仕様を作れる人と工程を整える取り組みも残しましょう。
公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある「不良品を出さないための工程管理方法について教えてください。」は、工程条件と管理値を記録して異常を早期発見し、不良の未然防止と再発防止へつなげる方法について示しています。本問では、「顧客要求を取決めとして工程へ展開する」と「標準と記録で継続的な適合を確かめる」を2025年度事例IIIの与件事実と設問要求へ当てはめます。また、経営ハンドブック「商品開発・市場開拓のための社内外の組織・体制づくり」と「医薬品・再生医療向け細胞培養用新規原料『ウシ加工処理血清』の安定製造技術開発」は、3C・4P・SWOTで自社と市場を整理し、顧客の声や異分野との接点を社内外の体制へ落とす方法とSOP整備・工程標準化と品質管理項目・品質保証体制を構築した公的事例を補う資料として併記します。
| 公的資料の判断軸 | 2025年度への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| 顧客要求を取決めとして工程へ展開する | サイズ・強度・厳格な基準を工程条件・検査基準へ展開する | PRやニーズ調査だけの外向き施策にしない |
| 標準と記録で継続的な適合を確かめる | 検査、記録、不適合の原因究明、再発防止を回す | 互換性があることを「現状のまま生産できる」と読まない |
類題は、新規受注と量産に必要な生産能力を問う 2022年度事例III第2問、工程と設備を新事業にどう適合させるかを問う 2023年度事例III第5問、自社企画製品で事業を拡大する 2024年度事例III第5問 です。
類題との共通点は、新規事業の顧客要求を必要な生産能力へ変換する点です。相違点は、本問では食品・医療用の仕様差と厳格な品質基準に対し、製販連携・品質管理・技能承継・工程検証を組み合わせる点です。
出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21「不良品を出さないための工程管理方法について教えてください。」(工程条件と管理値を記録して異常を早期発見し、不良の未然防止と再発防止へつなげる方法) / 中小企業基盤整備機構 J-Net21経営ハンドブック「商品開発・市場開拓のための社内外の組織・体制づくり」(3C・4P・SWOTで自社と市場を整理し、顧客の声や異分野との接点を社内外の体制へ落とす方法) / 中小企業庁「医薬品・再生医療向け細胞培養用新規原料『ウシ加工処理血清』の安定製造技術開発」(SOP整備・工程標準化と品質管理項目・品質保証体制を構築した公的事例)
この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2025年度の与件事実を主根拠にします。

