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平成 29 年度(2017 年度)事例 Ⅲ 解答解説 ​

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第 1 問(配点 30 点) ​

設問文 ​

CNC 木工加工機の生産販売を進めるために検討すべき生産管理上の課題とその対応策を 140 字以内で述べよ。

回答例(140 字) ​

課題は班別・機械専任の管理で完成機の品質・原価・納期を統制できない点。生産管理担当を置き、加工・調達・組立・検査の全体日程と進捗を一元管理する。作業・時間を標準化し多能工を育て、検査基準で完成品質を保証する。購入部品費と加工・組立工数から原価を把握し、両班の負荷と要員を調整する。

解説 ​

この問題の着眼点 ​

CNC木工加工機の生産販売に向けた、生産管理上の課題と対応策を140字で述べる問題 です。これまでの部品加工と異なり、二つの班の加工品と外部調達品をそろえ、一台の機械として完成させる仕組みが必要になります。

各自の部品加工を、一台の製品を完成させる仕事へつなぐ ​

与件文のどこを見るか ​
  • 第6段落: 機械の専任担当制、 標準化やマニュアル化は進められていない とあります。機械ごとに技能が分かれ、共通の手順で他の作業を担う基盤が弱い状態です。
  • 第8段落: 作業者に直接生産指示、 作業者が顧客と直接行っている とあります。受注品ごとの指示と調整を、個々の担当者が引き受けてきました。
  • 第14段落: 内部部品加工を機械加工班、 鋼板加工と本体塗装を製缶板金班、 外部調達した CNC 制御装置、 作業者間の連携が少なかった、 最終検査は設計担当者が行う とあります。新製品では複数の仕事を組立へそろえ、検査までつなぐ必要があります。
部品ができても、必要な物がそろわなければ出荷できない ​

既存の賃加工では、顧客から材料や部品の支給を受け、担当する加工を終えることが中心でした。繰返し受注が多く、個々の作業者が顧客と打ち合わせる方法でも仕事を進めてきたと読めます。

一方、CNC木工加工機は、機械加工班の内部部品、製缶板金班のケースや本体、外部から調達する制御装置を組み合わせて完成させます。どれか一つが遅れれば、他の部品ができていても組立を進められません。

課題は、 班ごとの作業を、組立・検査・出荷までの全体日程へ結ぶこと です。個別担当への指示だけでは見えにくい部品のそろい具合や遅れを、製品単位で管理する必要があります。

共通の手順と時間を、計画と応援の土台にする ​

まず、製品を完成させる工程を整理し、それぞれの作業方法と標準時間を定めます。 製品工程・標準作業・標準時間の整備 によって、何を、どの順で、どれだけの時間をかけて行うかを共有できるようになります。

手順は専任者が持つ加工条件や注意点を集めて作り、実際の教育へ使います。そのうえで複数の機械や工程を担当できる人を育てれば、ある担当者だけに仕事が集中した時にも応援しやすくなります。

標準化は技能を低い水準へそろえることではなく、求められる加工精度を再現できる方法を共有すること です。作業を割り振る前に、教育と技能確認によって任せられる範囲を広げます。

外部調達も含め、受注から出荷までの日程をそろえる ​

次に、納期から組立・検査に必要な時間を見込み、各班の部品がいつまでに必要かを決めます。外部調達するCNC制御装置も、調達期間と必要日を確認して手配します。

二つの班の加工と外部調達を、組立の日程へ同期させる 考え方です。既存業務も同じ人・設備を使うため、新製品だけの日程を作るのでなく、全体の負荷を見て実行可能な計画へ落とします。

最終検査は既に設計担当者が行います。その担当がいないと診断するのではなく、検査に必要な時間を日程へ確保し、加工・組立から必要な情報を渡せるようにします。

進捗を共有して、遅れが出る前に調整する ​

計画を立てた後は、 班横断会議と進捗表による負荷・遅れの共有 を行います。部品加工や調達の遅れが組立へ及ぼす影響を見て、作業の優先順位や要員配置を調整します。

会議を増やすこと自体が目的ではありません。どの部品がいつそろい、どこへ応援が必要かを同じ情報で判断することが重要です。第2問では既存業務から余力を作る方法を掘り下げ、本問ではその余力も使いながら製品全体を完成させる管理へつなぎます。

班横断の生産管理を140字で答案化する ​

答案の骨格は、次の論点を設問の順に整理することです。

部品加工から完成機製造へ移るため、管理対象を加工・外部調達・組立・検査まで広げます。生産管理担当が全体日程と進捗を統合し、両班の負荷・要員を調整する責任を明確にします。作業標準・多能工化に加え、完成機の検査基準と、購入部品費・加工組立工数による原価把握を示すことで、品質・原価・納期を一体で管理する答案にします。


公的資料から持ち帰る知識と類題 ​

J-Net21の作業標準書に関するQ&Aは、安全・品質・効率を保つ手順を現場で作り、改善する考え方の参考です。技能伝承のQ&Aは、文章にしにくい動きも映像等で共有する方法を補います。本問では、専任者の技術を班横断の作業と日程管理へ使える形にすることが適用の中心です。

類題は、2025年度事例III第2問、2024年度事例III第2問、2018年度事例III第2問です。共通点は作業の標準化や技能の共有を改善へ使う点。相違点は、本問では現場作業の改善に加え、両班の部品と外部調達品を組立・検査までつなぐ全体管理を問う点です。

出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21「作業標準書の必要性とその内容について教えてください。」(品質・コスト・安全を安定させる作業条件と手順を標準書へ落とし、教育・改訂する方法) / 中小企業基盤整備機構 J-Net21「マニュアルで表せない技術の伝承方法を教えてください。」(技能を収集・保存・分析・標準化・展開・改善し、若手へ形式知として伝える方法)

公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。

第 2 問(配点 20 点) ​

設問文 ​

C 社社長は、現在の生産業務を整備して生産能力を向上させ、それによって生じる余力を CNC 木工加工機の生産に充てたいと考えている。それを実現するための課題とその対応策について 120 字以内で述べよ。

回答例(114 字) ​

課題は機械専任制で技能が属人化し、他機の操作や工程間応援が難しい点である。操作・加工方法を標準化し、技能マップに基づくOJTと交代訓練で多能工を育て、負荷に応じた配置と段取り短縮で既存業務の生産性を高めて余力を新製品へ配分する。

解説 ​

この問題の着眼点 ​

既存業務の生産能力を高め、新製品に回す余力を作る課題と対応策を120字で述べる問題 です。今ある人・設備をより有効に使うため、専任制と属人的な技能が生む制約を解消します。

精度を守ってきた専任制を、応援できる仕組みへ発展させる ​

与件文のどこを見るか ​
  • 第6段落: 顧客の要求する加工精度を保つため、 担当している機械の他は操作ができない作業者が多い、 技術情報は各専任作業者それぞれが保有、 標準化やマニュアル化は進められていない とあります。専任制の目的を保ちながら、技能の共有と応援ができる状態へ変える必要があります。
  • 第7段落: 比較的小物でロットサイズが大きい機械加工、 大型で多品種少量の鋼材や鋼板の加工 とあります。二つの班では仕事の性質が異なり、一律に同じ作業方法を当てはめるのではありません。
  • 第8段落: 作業者に直接生産指示 とあります。個々の担当者へ仕事が届くため、全体で負荷を把握して調整する視点が重要です。
忙しい担当者の横に余力があっても、すぐには移せない ​

第6段落の 「そのため」 は、機械の専任担当制と、他の機械を操作できない作業者が多いことをつなぎます。さらに 「また」 で、操作方法や加工方法の情報も個人が持ち、標準化されていないことが加わります。

つまり、問題は個人の働き方だけでなく、 人と機械が固定され、工程間の応援をしにくいこと です。仕事が特定の担当へ集中した時、別の作業者に時間があっても同じ加工を任せにくくなります。与件から読めるのはこの調整のしにくさであり、現在の待ち時間や稼働率の数値を作る必要はありません。

専任制は加工精度を守るために採用されています。単純に担当を入れ替えるのでなく、精度を保てる方法を共有してから、担当できる仕事を広げることが必要です。

技能を見える化し、教える順序を決める ​

まず 技能マップで不足技能を把握する ことから始めます。誰がどの機械・加工をどの水準で担当できるかを整理し、応援の必要性が高い仕事を教育対象にします。標準手順を用いたOJT・交代訓練によって他機の操作を習得させ、多能工を育てます。

その教材として、専任者が持つ操作手順や加工条件、品質上の注意点を集め、 標準作業・マニュアル・標準時間 を整えます。経験者の指導で作業を行い、精度や安全を確認したうえで担当範囲を広げます。

技能マップは作って掲示するだけの表ではありません。繁忙時に誰を応援へ回せるか、次にどの技能を育てるかを決めるための情報です。全員に全機械を同時に覚えさせるのでなく、仕事の負荷と必要性に合わせて段階的に育てます。

作業のムダを減らし、負荷をならす ​

標準化の過程で、準備や段取りの重複、探す・運ぶといった作業を点検し、改善します。段取り短縮は、現状の長時間化が数値で示されているからではなく、既存の仕事に要する時間を減らすために検討する具体策 です。

機械加工班の大きなロットと、製缶板金班の多品種少量加工では、負荷のかかり方が違います。各仕事の標準時間と納期を見て順序を調整し、多能工を使って負荷の高い工程へ応援します。

段取り短縮と負荷平準化によって、人・設備の余力を生む 方向です。設備が増えなくても、同じ期間に処理できる既存業務の量を高めれば、CNC木工加工機に回せる時間を確保できます。

生まれた余力を、新製品へ割り当てる ​

改善の効果は、既存業務が楽になったところで終わりません。どの人・設備にどれだけの時間が生まれたかを把握し、新製品の加工・組立日程へ配分します。

第1問で作る全体日程へ、 既存業務で創出した余力をCNC木工加工機へ配分する ことまで結びます。既存顧客の納期を犠牲にして新製品へ人を移すのでなく、業務を改善して両立できる能力を作る考え方です。

能力を作り、配分する流れを120字で答案化する ​

答案の骨格は、 専任制・属人化で応援困難→標準化・多能工化+段取り短縮・負荷平準化→余力を新製品へ配分 です。技能マップは教育対象の選定に使い、実際の習得方法として標準手順を用いたOJTと交代訓練を残します。育った人材を負荷に応じて配置し、段取り短縮と合わせて生んだ余力を新製品へ配分します。

第1問のように組立・調達の日程を詳しく書くより、ここでは既存業務のどこを変えれば新製品を作る時間が生まれるか を説明します。人材育成を一般論で終えず、応援と生産能力の向上へつなげましょう。


公的資料から持ち帰る知識と類題 ​

J-Net21「業務プロセスの見直しによる生産性向上」は、作業の見える化と待ち・移動の削減、人材の柔軟な活用を考える参考です。本問では技能が個人へ閉じている状態を変え、改善した時間を新製品へ回すところまで考えます。

類題は、2023年度事例III第5問、2019年度事例III第3問(設問1)、2015年度事例III第2問です。共通点は、人と設備の能力を事業に必要な生産量へ結びつける点。相違点は、2023・2019年度が新しい生産体制、2015年度が設備投資の偏りを扱うのに対し、本問は既存業務の改善から余力を生む点です。

出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21経営ハンドブック「業務プロセスの見直しによる生産性向上」(作業工程を見える化し、待ち・移動等のムダを除き、人材を流動化してPDCAで改善する方法)

公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。

第 3 問(配点 20 点) ​

設問文 ​

C 社では、ホームページを活用した CNC 木工加工機の受注拡大を考えている。展示会での成功を参考に、潜在顧客を獲得するためのホームページの活用方法、潜在顧客を受注に結び付けるための社内対応策を 160 字以内で述べよ。

回答例(157 字) ​

ホームページに、複雑形状加工の実演動画、精度、操作性、保守性、対応材質、導入事例を掲載し、問合せ・試作依頼の導線を設ける。問合せを顧客・用途別に管理し、窓口と回答期限を定める。営業・設計・製造の横断チームが技術回答、試作、仕様確認、見積を迅速に行い、進捗共有とフォローで顧客課題に合う提案へ具体化し受注につなげる。

解説 ​

この問題の着眼点 ​

HPによる潜在顧客の獲得方法と、受注につなげる社内対応策を160字で述べる問題 です。展示会の成功を「実演で関心を集め、質問に答えて導入への不安を解消した」と読み、Web上の情報と社内の対応へ置き換えます。

二つの問いに約80字ずつを確保し、HPに何を載せるかだけで字数を使い切らないようにします。

展示会で起きた、関心から注文までの流れを再現する ​

与件文のどこを見るか ​
  • 第11段落: 木工加工関連企業とのつながりも情報もない、 販売やマーケティングに関するノウハウもなく とあります。知っている顧客から注文を待つ方法では、新事業の見込み客へ届きにくい状況です。
  • 第12段落: CNC 木工加工機の実演、 プログラムの作成方法、 駆動部や刃物のメンテナンス方法、 加工可能な材質、 加工精度や操作性、メンテナンスの容易性、 来展者 2 社から注文 とあります。加工の様子を見せ、導入後に使えるかという質問へ答えたことが評価と注文につながっています。
  • 第13段落: 会社案内程度の掲載内容 とあります。現在のHPは、顧客が製品の使い道を判断する情報や、相談を始める働きが不足しています。
実演動画で、顧客が自分の仕事へ置き換えられるようにする ​

第11段落の 「しかし」 で、開発に成功しても販路がないという課題へ話が移ります。第12段落の 「そこで」 は、展示会への出展がその課題への対応であることを示します。

展示会では、複雑な形状を容易に加工する実演が注目を集めました。HPでも 複雑形状加工の実演動画と、精度・操作性・保守性の説明 を載せれば、写真や会社概要だけでは伝わりにくい動きと使い勝手を示せます。

家具や工芸品の加工例、対応する材質、掲載許可を得た導入事例などを添えれば、閲覧者は自社で作りたい物へ応用できるかを考えやすくなります。高精度という評価語だけでなく、誰のどんな加工に役立つか を見せることが重要です。

展示会の質問を、導入前に知りたい情報として整理する ​

来展者は、プログラムの作り方や提供の可能性、刃物などの保守、加工できる材質を尋ねています。NC機械に慣れていない人にとっては、性能が高くても、自分が操作・維持できるかが気になるわけです。

そのため、よくある質問への回答や支援内容も掲載します。 加工性能への関心と、導入後に使えるかという不安の両方へ答える 構成です。展示会の質問をFAQにすれば、基本的な説明を多くの閲覧者へ届けられます。

さらに 問合せ・試作依頼への導線 を設け、用途・材質・加工形状などを相談できるようにします。閲覧数を増やすだけでなく、具体的な加工課題を持つ相手と接点を作ることが、潜在顧客獲得の意味です。

届いた相談を、技術的に答えられる人へつなぐ ​

問い合わせが来ても、誰が回答するか不明であれば商談は止まります。窓口と回答期限を定め、顧客・用途別に内容と対応状況を記録します。

社長・常務が担う営業だけで解決しようとせず、 営業・設計・製造の横断チームによる技術回答・試作・仕様確認・見積 へつなげます。設計は必要な仕様、製造は加工の実現性を確認し、顧客の求める形状や材質へ具体的に答える流れです。

試作の結果や見積条件を共有し、次の確認事項や回答日を決めてフォローすれば、顧客は導入の判断を進めやすくなります。既存の賃加工では担当作業者が顧客と直接調整していましたが、新製品では担当をまたぐ情報をまとめて答える必要があります。

HPと社内対応を、別々の施策にしない ​

HPで製品の価値を理解してもらい、個別の相談は社内で受け止め、試作・見積を通じて注文へ近づけます。 情報発信→相談受付→部門連携→具体的な提案→受注 が一続きになる構成です。

第4問ではプログラム提供や保守そのものを商品・サービスとして考えます。本問では、それらに関する質問へ答えられる体制を作り、商談を前へ進めることに焦点を当てます。

顧客獲得と受注対応を160字で答案化する ​

答案の骨格は、 実演・性能・用途の情報発信+相談導線→問合せ管理と営業・設計・製造の連携→試作・仕様確認・見積で受注化 です。前半には動画、対応材質、導入事例、後半には窓口・回答期限・進捗共有を肉付けします。

何を見せて相談を集め、社内でどう答えて注文へ結ぶか を対応させます。「HPを充実させる」「営業力を強化する」だけにまとめず、展示会で実際に評価された点と、受注までの行動を残しましょう。


公的資料から持ち帰る知識と類題 ​

J-Net21のHPからの引き合いに関するQ&Aは、問い合わせの内容を分析し、情報発信と対象顧客のずれを見直す参考です。本問では、展示会で評価された性能と操作・保守への質問を使い、技術的な相談へつながる情報を掲載します。

類題は、2025年度事例III第4問、2024年度事例III第5問、2023年度事例III第5問です。共通点は新しい事業を顧客対応と社内体制の両面から考える点。相違点は、類題が品質保証・事業推進・生産体制を主に扱うのに対し、本問はHPで得た相談を具体的な商談へつなぐ点です。

出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21「ホームページからの引き合いで、受注率を上げる方法を教えてください。」(問い合わせの質と標的のずれを分析し、強み・用途・解説内容から商談化率を高める方法)

公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。

第 4 問(配点 30 点) ​

設問文 ​

C 社社長は、今後大きな設備投資や人員増をせずに、高付加価値な CNC 木工加工機事業を進めたいと思っている。これを実現するためには、製品やサービスについてどのような方策が考えられるか、140 字以内で述べよ。

回答例(136 字) ​

標準機・共通部品を基に用途・材質別に治具や刃物、加工プログラムを組み合わせ、少ない設計変更で改良機を展開する。試作や操作教育、保守を有償化し、教材の共通化とオンライン指導で限られた人員でも提供する。顧客の質問や使用状況を改良・追加提案へ反映し、付加価値と継続収入を高める。

解説 ​

この問題の着眼点 ​

大きな設備投資や人員増をせずに、高付加価値化を進める製品・サービスの方策を140字で述べる問題 です。製品の種類を増やす時の負担を抑えつつ、顧客が加工機を使いこなすための支援にも価値を持たせます。

製品とサービスの二つに約70字ずつを確保し、共通化による負担軽減と、支援による収益機会を組み合わせます。

機械の種類を増やすだけでなく、使える価値を広げる ​

与件文のどこを見るか ​
  • 第9段落: 多額の投資を必要、 汎用性があり操作性が良い加工機が欲しい とあります。顧客は、大きな投資を抑えながら扱いやすい機械を求めています。
  • 第10段落: 外部の CNC 制御装置製作企業も加えて とあります。全てを社内で作るのでなく、外部の専門能力を使って開発した実績があります。
  • 第12段落: NC 機械を使用した経験のない、 プログラムの提供の可能性、 駆動部や刃物のメンテナンス方法、 今後改良や新機種の開発 とあります。製品の改良余地と、導入・使用を支えるサービスへの要望が読み取れます。
  • 第15段落: 付加価値の高い最終製品 とあります。加工賃だけを得る事業から、顧客に完成品とその利用価値を提供する事業へ広げる狙いです。
標準機を土台に、用途ごとの違いを組み合わせる ​

新機種を増やすたびに構造を一から設計し、専用部品をそろえる方法では、設計・製造の負担が膨らみます。限られた人・設備で展開するには、製品の共通部分と、顧客の用途に合わせて変える部分を分けることが重要です。

標準機・共通部品を土台に、治具・刃物・加工プログラムを組み合わせる 方向が考えられます。例えば、基本の機構を共通に保ちながら、加工する材質や形状に応じた周辺部品とプログラムを選べるようにします。

これは既に共通化できているという事実ではなく、改良・新機種開発を進める際の提案です。適用できる材質・精度・安全条件を確認し、少ない設計変更で顧客の用途へ対応する ことを目指します。

質問の多かった部分を、導入支援と保守へ変える ​

NC機械を使ったことのない顧客は、プログラムを作れるか、刃物を管理できるかといった不安を持っています。機械を納品しても、顧客が使いこなせなければ、その性能の価値を十分に感じてもらえません。

そこで プログラム提供・試作・操作教育・保守サービス を整えます。導入前の試作で加工の実現性を確かめ、導入時は操作教育、使用中は刃物交換を含む保守へつなぐ考え方です。

顧客にとっては、試行錯誤や停止への不安を減らし、機械を使って仕事を進めやすくなる価値があります。C社も、機械本体の販売だけでなく、導入後の支援を通じて継続的な関係を作れます。

支援内容を定型化し、限られた人員で提供する ​

サービスを増やしても、全てを個別に無料対応していては、かえって人手が不足します。標準のプログラムや操作教材、よくある質問を整え、基本的な対応を繰り返し使えるようにします。制御装置の専門的な対応は、既存の外部協力先との役割分担も検討できます。

そのうえで、 提供範囲と料金を決めたサービスの標準化・有償化 を進めます。標準の保証や説明の範囲を明確にし、それを超える個別プログラム作成、追加教育、保守等の支援内容と価格を示す方法です。

有償化は与件に実施済みと書かれているのではなく、高付加価値事業へ育てるための助言です。顧客が感じる便益と提供コストを確かめ、顧客の使いやすさとC社の採算が両立する支援 にします。

使用状況を、次の改良と追加提案へ戻す ​

納品後の相談や保守では、顧客がどんな加工で困り、何を追加したいかを知ることができます。その情報を設計へ戻せば、需要のある改良やプログラムの開発を選びやすくなります。

質問・使用状況を改良と追加提案へ反映する ことで、機械の販売後も価値を高め、継続収入へつなげます。第3問が注文までの情報と対応、本問が製品の展開方法と導入後も含む支援という関係です。

大投資を避ける制約は、何も開発しないという意味ではありません。既存の機構・技能・外部協力を繰り返し使い、追加する仕事を絞ることで、限られた資源でも提供価値を広げます。

製品とサービスの価値を140字で答案化する ​

答案の骨格は、次の論点を設問の順に整理することです。

製品は共通部品や加工プログラムを活かし、顧客用途に合わせた改良で価値を高めます。サービスは試作・操作教育・保守を有償化するだけでなく、教材を共通化しオンラインで指導するなど、限られた要員で提供できる方法も示します。これは実施済みの事実ではなく助言であり、大きな設備投資や人員増を避ける条件に対応する具体例です。


公的資料から持ち帰る知識と類題 ​

J-Net21のアンゾフの成長マトリックスは、製品と市場を分けて成長方向を考える参考です。本問ではCNC木工加工機事業の中で、改良・派生製品とサービスを広げる方法へ具体化します。分類名より、大投資や増員を抑えながら顧客価値を増やす仕組みを説明します。

類題は、2023年度事例III第5問、2019年度事例III第3問(設問1)、2015年度事例III第2問です。共通点は、事業に必要な能力と設備・人の使い方を合わせて考える点。相違点は、類題が生産体制や設備の在り方を扱うのに対し、本問は大投資・増員なしという制約の下で、製品とサービスの提供方法を工夫する点です。

出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21経営ハンドブック「アンゾフの成長マトリックス」(既存/新規の製品と市場を分け、市場浸透・市場開発・製品開発・多角化から成長方向を選ぶ枠組み)

公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。

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