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令和元年度(2019 年度)事例 Ⅲ 解答解説 ​

目次は画面右上の「On this page」をタップしてください。

第 1 問(配点 20 点) ​

設問文 ​

C 社の事業変遷を理解した上で、C 社の強みを 80 字以内で述べよ。

回答例(75 字) ​

材質・形状別に品質を保つ熱処理と、汎用機による多品種少量加工の熟練技能を持つ。設計・機械加工から熱処理までの一貫体制と、X社との信頼関係も強みである。

解説 ​

この問題の着眼点 ​

事業変遷を踏まえて、C社の強みを80字でまとめる与件抜粋型の問題 です。熱処理専業から設計・機械加工へ広げた過程に沿い、技術、対応範囲、顧客との関係を整理します。

根拠集めは最初、答案の確定は最後 ​

与件を読みながら、蛍光ペンやボールペンで強みの候補をマーキングします。80字への絞り込みは後にして、第2問以降へ進みます。

量産への移行、新工場の作り方、稼働後の戦略を考えると、引き継ぐ熱処理技術と一貫対応力、その展開を支える取引関係が見えてきます。

熱処理を核に、任される仕事が広がった経緯を読む ​

与件文のどこを見るか ​
  • 第2段落: 素材や形状による温度管理などの特殊な技術の蓄積が必要、 熱処理専業企業として とあります。温度等を調整する専門技術が、創業以来の事業の核です。
  • 第3段落: 部品の機械加工も含めた依頼、 設計部門と機械加工部門をもった とあります。顧客の依頼に応じて、熱処理より前の工程まで引き受ける体制へ広げています。
  • 第4段落: 自動車部品専用の熱処理工程を増設、 前加工である機械加工工程を C 社に移管する計画 とあります。X社の増産へ対応した後、さらに機械加工の移管を相談されています。継続取引を通じた信頼が読み取れます。
  • 第6段落: 技能士資格をもつベテラン作業者を中心に作業が行われ品質が保持されている、 作業者の個人技能によって加工品質が保たれている とあります。設備を持つだけでなく、扱う人の技能が品質を支えています。
専門技術は、設備と人の働きを合わせて捉える ​

熱処理は、同じ設備を使っていても素材や形状によって加熱・冷却の調整が必要です。資格を持つベテランがその判断を担うから、顧客が求める品質を保てます。強みは、 熟練者に蓄積された特殊な熱処理技術 とまとめられます。

第2段落の 「このため」 は、設備負担と専門技術が必要なことを、一般の金属加工業が熱処理を外注する傾向へつないでいます。C社は、顧客が自社だけでは担いにくい工程を引き受ける企業だと分かります。

顧客の依頼に応じて、前工程までつなげた ​

第3段落の 「その後」 で、熱処理専業から設計・機械加工へ話が進みます。単に部門が増えたのではなく、顧客の仕様を加工図面へ落とし、機械加工から熱処理まで続けて任せられるようになったことが重要です。

この 顧客ニーズに応じて広げた一貫生産体制 により、顧客は別々の加工先を調整する負担を減らせます。C社側も前後工程を合わせて品質や日程を考えられます。現在の設計部は、顧客の仕様を社内加工用に図面化する役割であり、独自製品を企画する能力まで広げて解釈しません。

追加の仕事を任されることから、信頼を読む ​

X社とは熱処理から取引を始め、増産に合わせて専用工程を増設しています。さらに機械加工の移管計画が持ち上がっているため、 継続取引を通じたX社からの信頼 が強みと考えられます。

ただし、本格的な量産機械加工はこれから取り組む仕事です。新工場稼働後に得る能力を現在の強みに入れず、現時点では熱処理の実績と、任される範囲が広がっている関係を押さえます。

第2問以降を解いて、1軍・2軍を分ける ​

後続設問でも活かす能力を1軍にし、資格名や設備の例は、その能力を説明する根拠として束ねます。

第1問で拾った候補後続設問とのつながり答案に残す方向
温度調整の技術・技能士・ベテラン第4問で新工場の量産加工と組み合わせる特殊な熱処理技術
設計・機械加工への展開第3問設問2で前後工程をつなぎ、第4問で一括受託を訴求する顧客ニーズに応じた一貫生産
X社の増産対応と移管の相談第2問以降の量産への移行を支える継続的な信頼関係

売上比率や商談会の開催時期は関係形成の補足です。80字では経緯を細かく並べるより、何を核に、どこへ広げ、誰に任されてきたか を残します。

事業変遷と強みを80字で答案化する ​

答案の骨格は、次の論点を設問の順に整理することです。

骨格は「材質・形状に応じて品質を保つ熱処理技能+多品種少量の機械加工技能→設計・機械加工から熱処理までの一貫体制+X社の信頼」です。熟練者という属性だけでなく、何を調整し、どの生産形態へ対応できるかを短く残します。量産機械加工は今後の計画なので、現時点の強みである多品種少量対応と区別します。


公的資料から持ち帰る知識と類題 ​

J-Net21の製造現場の生産性向上は、強みや事業領域を明確にした上で投資する考え方の参考です。本問では投資策を先に選ばず、その前提となる熱処理技能、一貫体制、顧客との関係を与件から整理します。

類題は、2025年度事例III第1問、2024年度事例III第1問、2023年度事例III第1問です。共通点は具体的な技術や実績を強みへ束ねる点。相違点は、本問が事業変遷を明示的に求め、熱処理から前工程へ対応を広げた経緯も80字へ残す点です。

出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21経営ハンドブック「製造現場の生産性向上」(事業領域と強みを踏まえ、設備、IT、生産管理システム、CAD/CAM等で製造現場の生産性を高める方法)

公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。

第 2 問(配点 20 点) ​

設問文 ​

自動車部品メーカー X 社からの機械加工の受託生産に応じる場合、C 社における生産面での効果とリスクを 100 字以内で述べよ。

回答例(99 字) ​

効果は、本格的な量産経験を通じた生産管理のノウハウ獲得や作業標準化による品質の安定。リスクは、多品種少量生産とかんばん方式が混在し生産管理が複雑化することや、短納期対応ができず納期遅延を招く可能性。

解説 ​

この問題の着眼点 ​

量産受託による生産面の効果とリスクを100字で述べる問題 です。約50字ずつを確保し、量産で育つ能力と、従来の管理との違いから生じる負担を対にします。

量が増えるだけでなく、作り方と管理が変わる ​

与件文のどこを見るか ​
  • 第3段落: 多品種少量の受注生産 とあります。現在は品種の異なる仕事を少量ずつ受けています。
  • 第8段落: 納期を優先して月ごとに日程計画を作成、 材料在庫は受注分のみ とあります。受注を基に日程と材料を決める管理です。
  • 第10段落: C 社では初めての本格的量産機械加工、 生産量は現在の約 2 倍 とあります。量産の経験を得る機会である一方、現在を上回る加工能力が必要です。
  • 第11段落: 納品 3 日前に X 社から C 社に届く外注かんばんによって納品が確定する とあります。確定した納品への対応時間が短く、従来とは異なる準備が要ります。
  • 第12段落: その他の加工品については従来同様の生産計画立案と差立方法で運用する計画 とあります。X社向けを変えても、従来方式が社内に残ります。
  • 第13段落: 作業標準化を進める、 一人当たり生産性を極限まで高める とあります。量産に合わせ、個人技能に頼る作り方を見直す方針です。
効果は、量産を繰り返すための能力が育つこと ​

同種の部品を繰り返し作る量産では、作業順序や加工条件をそろえ、実績を比べて改善する機会が増えます。社長方針に沿って標準化・教育を進めれば、作業者ごとの差を抑え、 品質の安定と生産性向上 が期待できます。

また、必要な量に合わせて設備・人員を準備し、かんばんの確定情報で生産を動かす経験は、 本格的な量産の生産管理ノウハウ として蓄積できます。受託するだけで改善するのではなく、その要求に応える仕組みを整えることが能力獲得につながります。

リスクは、異なる二つの管理が併存すること ​

従来品は注文ごとに日程を組み、X社向けは内示と外注かんばんを使います。納期や材料の判断基準を一律にすると、どちらかの仕事に合わなくなります。

多品種少量の受注ロット生産と、量産の後工程引取方式が併存する管理の複雑さ がリスクです。設備を分けても、情報管理や人員の調整は会社として必要です。X社の方式を全加工品へ広げるのではなく、対象別のルールと部門間調整を整えなければなりません。

能力と準備が追いつかなければ、納期へ影響する ​

機械加工部門全体の生産量は約2倍になる見込みです。現在の人数や設備でそのまま対応できるとは限りません。さらに納品3日前の確定を待って準備を始めると、材料手配や加工が間に合わないおそれがあります。

この 能力・準備の不足による短納期への対応難と納期遅延 をリスクとして書きます。与件にあるのは受託計画なので、既に量産品で納期遅延が発生していると断定せず、受託後に起こり得る問題として表します。

変化効果として見る面リスクとして見る面
本格量産へ移る標準化と量産管理の経験を得る能力増強・教育が追いつかない
かんばん方式を導入する引取に応じた管理を身に付ける従来品と管理が併存し、調整が複雑になる
納品3日前に確定する短納期に応える運用を磨く事前準備が不足すると納期に遅れる

生産面の効果とリスクを100字で答案化する ​

答案の骨格は、 量産経験・標準化→管理ノウハウ・品質安定/二方式の併存・短納期→管理複雑化・遅延リスク です。効果には何の能力を獲得するか、リスクにはどんな変化へ対応しきれないかを肉付けします。

「効果は〜。リスクは〜。」と二つの答えを先に置きます。売上増だけでなく、生産の仕組みがどう良くなり、どこで難しくなるか を残すことで、設問の「生産面」に応えられます。


公的資料から持ち帰る知識と類題 ​

J-Net21の多品種少量生産の解説は、受注頻度やロットに応じて作り方と在庫を考える参考になります。C社では量産品と従来品で条件が異なるため、方式の併存による管理の難しさを評価します。標準化による効果と、切替えに伴う負担を分けて捉えます。

類題は、2025年度事例III第2問、2024年度事例III第2問、2018年度事例III第2問です。共通点は、作業や工程の条件を品質・生産性へ結びつける点。相違点は、類題が現場の改善策を問うのに対し、本問は量産を受託した場合の効果とリスクを評価する点です。

出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21「多品種少量生産における効率的な生産方法を教えてください。」(受注頻度とロットサイズを分析し、段取り効率と在庫保有を組み合わせて生産方式を決める方法)

公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。

第 3 問(配点 40 点) ​

設問文 ​

X 社から求められている新規受託生産の実現に向けた C 社の対応について、以下の設問に答えよ。

(設問 1) ​

C 社社長の新工場計画についての方針に基づいて、生産性を高める量産加工のための新工場の在り方について 120 字以内で述べよ。

回答例(113 字) ​

将来の他社量産品にも対応できるNC設備を品種群別の工程順に配置し、運搬と待ちを減らす。加工条件・作業手順・検査を標準化してマニュアルを整え、稼働前に少数要員へ実技教育を行い多能工化し、品質を維持して省人化と早期稼働を実現する。

解説 ​

この問題の着眼点 ​

第3問設問1は、社長方針に合う、量産加工の新工場の在り方を120字で述べる問題 です。将来の他品種にも対応する柔軟性と、少人数で安定して作る生産性を両立させます。

設備・配置・人を、四つの社長方針から決める ​

与件文のどこを見るか ​
  • 第5段落: 汎用の旋盤、フライス盤、研削盤がそれぞれ複数台機能別にレイアウト とあります。現在は同じ機能の設備をまとめ、多品種少量へ対応しています。
  • 第10段落: 寸法や形状が異なる 10 種類の部品、 それぞれ 5 工程ほどの機械加工 とあります。品種ごとの加工経路を確認し、共通する工程をまとめる検討が必要です。
  • 第13段落: 将来的には X 社向け自動車部品以外の量産の機械加工ができる新工場にする、 作業標準化を進める とあります。X社専用の固定した作り方ではなく、他の量産品にも使える仕組みが求められます。
  • 第13段落: 一人当たり生産性を極限まで高める、 新工場要員の採用は最小限にとどめ、 作業方法の教育を実施 とあります。設備能力だけでなく、一人が担える仕事と教え方を設計します。
同じ機械を集める配置から、品種群の加工の流れへ変える ​

現在の機能別配置は、異なる工程を通る少量品へ柔軟に対応できます。一方、量産で部品が各機械の間を繰り返し移動すれば、運搬や工程間の滞留が増えやすくなります。

まず10種類の部品について工程順・加工時間を調べ、似た経路の 品種群ごとに必要な設備を工程順へ配置する 方向を考えます。まとまりの中で複数工程を進めるセル生産方式なら、流れを短くしつつ品種の切替えにも対応しやすくなります。工程の共通性は調査する条件であり、10種類すべてが同じ経路とは決めつけません。

NC工作機械等も、必要な加工精度や段取り、作業者の動きに合わせて選びます。設備を買ってから人と仕事を当てはめるのではなく、作る流れから設備を選ぶ 順序です。

X社専用化を避けながら、量産の効率を出す ​

社長は、X社の部品だけに固定する専用機・専用ラインを求めていません。将来の部品へ加工条件や治具を切り替えられることが、新工場をほかの仕事へ活かす条件です。

配置の候補C社での利点本問で検討する点
従来の機能別配置異なる加工経路に対応しやすい量産時の運搬・滞留を抑えにくい
X社の部品専用の固定ライン同じ製品を効率よく作りやすい他品種へ広げる方針と合わない
品種群別のセル流れをまとめ、切替えにも対応する工程の共通性、負荷のバランス、多能工が必要

セルという名前だけで柔軟性と生産性が保証されるわけではありません。各工程の処理時間を合わせ、人や加工物が待つ箇所を減らす作業設計が必要です。

熟練者の知識を、少人数で再現できる標準へ変える ​

新工場でも、加工条件をベテランに毎回確認しなければ進まない状態では、少人数で量を増やせません。工具・条件・作業順序・品質確認の要点をそろえ、 作業標準化とマニュアル化 によって教えられる形にします。

さらに、一人が複数工程を安全に担当できるよう教育し、 多能工化による省人化 へつなげます。例えば、機械の自動加工中に次工程の準備や別の作業を行えるよう、人の作業時間と機械時間を合わせて検討します。

熟練技能を不要とするのではなく、その知識を標準と指導へ使う転換です。標準に沿って試作・品質確認・実技教育を行うことで、採用人数を抑えながら早期の安定稼働を目指せます。

新工場の配置・標準化・人材を120字で答案化する ​

答案の骨格は、次の論点を設問の順に整理することです。

答案は、将来品種にも使える設備の工程順配置、標準化、教育の順に組み立てます。教育は単に多能工を増やす施策ではなく、標準作業を稼働前に少数要員へ習得させ、新工場を早期に安定稼働させる手段です。設備配置による運搬・待ちの削減と、標準化・教育による品質維持と省人化をつなげます。


公的資料から持ち帰る知識と類題 ​

J-Net21の製造現場の生産性向上は、強みと事業の方向を明らかにして設備・ITを活かす考え方の参考です。本問では社長方針を先に固定し、その実現手段として配置、設備、標準、教育を選びます。セルの採用は、資料の一般論ではなく他品種対応と省人化という条件から検討します。

類題は、2023年度事例III第5問、2015年度事例III第2問、2007年度事例III第4問です。共通点は設備を工程能力や生産体制と合わせて考える点。相違点は、2023年度の専用設備構想、2015年度の工程間の不均衡、2007年度の投資可否に対し、本問は専用化を避ける社長方針の下で新工場を設計する点です。

出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21経営ハンドブック「製造現場の生産性向上」(事業領域と強みを踏まえ、設備、IT、生産管理システム、CAD/CAM等で製造現場の生産性を高める方法)

公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。

(設問 2) ​

X 社と C 社間で外注かんばんを使った後工程引取方式の構築と運用を進めるために、これまで受注ロット生産体制であった C 社では生産管理上どのような検討が必要なのか、140 字以内で述べよ。

回答例(133 字) ​

3カ月前の内示を月次更新し能力・資材を準備する。納品3日前のかんばんで品種・数量を確定し、完成品在庫基準と引取分の補充指示を整える。機械加工・専用熱処理を同期し、段取短縮と小ロット化で3日納期へ対応する。対象をX社品に限定し、従来品の計画・指示と区分して干渉を防ぐ。

解説 ​

この問題の着眼点 ​

第3問設問2は、外注かんばんによる後工程引取方式に合わせ、生産管理をどう変えるかを140字で述べる問題 です。先の見通しで準備し、確定情報で動かし、在庫と全工程の所要時間を管理する流れを押さえます。

内示と確定情報の間に、準備する時間がある ​

与件文のどこを見るか ​
  • 第8段落: 熱処理加工との工程順や日程などを考慮して調整される、 月ごとに日程計画を作成、 材料在庫は受注分のみ とあります。部門間の調整は既にありますが、受注を起点とした月次計画・材料手配が基本です。
  • 第11段落: 3 カ月前に部品ごとの納品予定内示があり、 1 カ月ごとに見直しが行われ、 納品 3 日前に X 社から C 社に届く外注かんばんによって納品が確定する とあります。長めの見通しと直前の確定情報を、別の判断に使う必要があります。
  • 第12段落: X 社の全面支援、 C 社内で生産管理の見直しが必要 とあります。電子データを送受信できるようにする支援と、社内の運用づくりは分かれています。
  • 第12段落: X 社自動車部品の機械加工工程および自動車部品専用の熱処理工程に限定した運用範囲 とあります。後工程引取へ変える対象は限定されています。
  • 第5段落: バッチ処理されている とあります。機械加工だけでなく、まとめて処理する熱処理側の待ち時間も含めて考えます。
3カ月前の内示で、能力と材料を準備する ​

3カ月前の内示は、品種別にどのくらい仕事が来るかを見通す情報です。機械加工・熱処理で必要な時間を見積もり、設備負荷、人員、材料の手配を前もって検討します。月ごとの見直しに合わせ、見込みが増減したときの準備も修正します。

一方、外注かんばんで納品が確定したら、在庫と進捗を確かめて日々の指示へ反映します。 内示は能力・調達の準備、かんばんは確定した納品と補充の指示 と役割を分けます。内示量をそのまま確定注文として大量に作ることと、確定まで何も準備しないことの両方を避けられます。

情報の時点確かさC社で決めること
3カ月前の内示納品の見込み能力・負荷・材料等の準備
1カ月ごとの見直し見込みの更新準備量や能力配分の修正
納品3日前の外注かんばん納品の確定引当て・納品と、引取に連動する補充
完成品の置場と基準を決め、引き取られた分を補充する ​

確定から納品まで3日なので、その時点から材料調達と全加工を始める方法では間に合わない可能性があります。必要な品種を供給できるよう、 完成品ストアの在庫基準と補充ルール を検討します。

ストアは、何が何個あるかを把握し、引き取られた分を補充するための置場です。品種別の需要変動、補充に必要な時間、処理ロットから基準量を決め、入出庫と仕掛状況を記録します。例えば引取量を在庫へ反映し、未完了の補充指示と合わせて確認すれば、二重に作ることや欠品を防ぎやすくなります。

必要量を管理する方式なので、在庫を無条件にゼロへ近づけるのではなく、納期を守るための基準を持ちます。その上で補充時間を短くすれば、保有すべき在庫も減らせます。

機械加工から熱処理まで、待ち時間を短くする ​

機械加工が早く終わっても、熱処理のバッチを待っていれば納品できません。段取りの準備や運搬を改善し、機械加工と熱処理の日程・処理単位を合わせ、 機械加工と熱処理を通した生産リードタイムの短縮 を進めます。

熱処理の品質条件は守りながら、どの品種をいつまとめるかを考えます。従来も部門間で日程調整をしているため、「連携がない」と診断するのではなく、引取に応じた短周期の補充へ管理を発展させる説明にします。

データが届いた後、誰が何を変えるかまで決める ​

第12段落の 「予定となっているが」 は、X社のシステム支援だけでは社内運用が完成しないことを示します。受信したかんばんを誰が確認し、在庫・日程・作業指示へどう反映するかを決め、関係者へ教育します。

適用するのはX社向け機械加工と専用熱処理です。ほかの加工品は従来方式を残すため、対象品を識別し、指示や在庫を混同しない運用にします。

計画・在庫・期間短縮を140字で答案化する ​

答案の骨格は、次の論点を設問の順に整理することです。

内示は月次に見直して能力・資材を準備するための情報、外注かんばんは納品3日前に品種・数量を確定する情報として分けます。完成品ストアの在庫基準と引取分の補充を定め、機械加工と専用熱処理を同期して納期を守ります。この運用の対象はX社品とし、従来品の計画・指示を区分して、異なる生産方式の干渉を防ぐ点も答案に残します。


公的資料から持ち帰る知識と類題 ​

J-Net21の在庫管理の解説は、置場と入出庫記録を整え、需要やリードタイムから適正在庫を考える参考です。C社では完成品ストアと補充ルールへ具体化し、工程の期間短縮によって在庫負担も抑えます。かんばんの通信機能だけでなく、その後の現場運用に結びつけます。

類題は、2008年度事例III第3問、2007年度事例III第3問、2022年度事例III第4問です。共通点は部門・企業をまたぐ情報を納期管理に使う点。相違点は、本問が内示と外注かんばんの時点を指定し、完成品在庫と補充を含む後工程引取の運用変更を求める点です。

出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21「現場での在庫管理の方法と、適正な在庫量の考え方について教えてください。」(入出庫記録、受注実績、納期、リードタイムから適正在庫を定め、在庫を圧縮する方法)

公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。

第 4 問(配点 20 点) ​

設問文 ​

新工場が稼働した後の C 社の戦略について、120 字以内で述べよ。

回答例(117 字) ​

新工場の量産加工と熱処理を一貫受託し、品質と短納期を訴求してX社以外の輸送・産業・建設機械分野へ販路を広げる。既存工場は多品種少量、新工場は量産に役割を分け、受注と全社能力を調整する。X社依存を下げ設備を有効活用し、収益を安定させる。

解説 ​

この問題の着眼点 ​

第4問は、新工場が稼働した後、獲得した能力をどこへ展開するかを120字で述べる問題 です。量産加工と熱処理を組み合わせ、X社以外へも受注を広げる道筋を考えます。

新工場を、X社だけに使う設備で終わらせない ​

与件文のどこを見るか ​
  • 第1段落: 輸送用機械、産業機械、建設機械などに用いられる金属部品の製造業を顧客 とあります。自動車部品以外にも、既に接点のある分野があります。
  • 第4段落: C 社売上高に占める X 社の割合は約 20%、 前加工である機械加工工程を C 社に移管する計画 とあります。現在のX社との関係を起点に、さらに仕事が増える可能性があります。
  • 第7段落: 材料調達 → 機械加工 → 熱処理加工 → 出荷検査 とあります。機械加工だけでなく、熱処理・検査まで続けて引き受けられる工程があります。
  • 第10段落: C 社では初めての本格的量産機械加工 とあります。新工場で量産に対応する力を得ることが、稼働後の戦略の前提になります。
  • 第13段落: 将来的には X 社向け自動車部品以外の量産の機械加工ができる新工場にする とあります。社長は当初から、X社以外へ使える能力を求めています。
新しい量産能力を、既存の熱処理技術と組み合わせる ​

第3問で検討した配置・標準化・教育・かんばん運用が定着すれば、C社は量産品を安定して作る力を得られます。そこへ従来の特殊な熱処理技術を合わせると、 量産の機械加工から熱処理・検査までの一貫生産 を提案できます。

顧客にとっては、機械加工先と熱処理先を別々に探し、品質や納期を調整する負担が小さくなります。C社は工程をまたぐ品質・日程を管理できるため、単工程の加工価格だけでなく、まとめて任せられる価値を伝えられます。

ここでは「新工場稼働後」が時点です。現在の強みを答える第1問と違い、量産への対応力を新たに活用する資源として置けます。

接点のある分野から、量産品の受注先を増やす ​

まず、X社以外の自動車部品企業に、量産と熱処理を一括して受けられることを示します。加えて、既存の輸送・産業・建設機械分野で、繰り返し加工する部品や一貫受託の需要を探る方法が考えられます。

X社以外の顧客・既存の取引分野へ量産品を提案する 方向です。例えば加工実績と対応可能な材質・寸法・数量を整理し、顧客の仕様や納期を確認して、試作・評価から継続受注へ進めます。

第3問設問1で専用化を避けたことは、この展開に意味があります。他品種へ切り替えられる設備と標準、多能工があれば、X社の部品以外にも能力を使いやすくなります。

顧客を広げることを、操業の安定へつなぐ ​

X社からの仕事だけが増えれば、同社の計画変更が工場全体へ及ぼす影響も大きくなります。現在の売上比率約20%を、移管後も変わらない数字として扱わず、受託拡大に伴う偏りに備える必要があります。

顧客・分野を分散し、X社依存を下げる ことで、一社の受注変動をほかの仕事で補いやすくなり、売上と操業の安定が期待できます。X社との取引を減らすことを目的にせず、他の受注も育てて全体の偏りを和らげます。

戦略の要素C社で具体化する内容
何を活かすか量産加工と熱処理・検査の一貫対応
誰へ広げるかX社以外の自動車部品企業、輸送・産業・建設機械分野
何を実現するか顧客分散による依存低減、売上・操業の安定

稼働後に使える能力を別の顧客へ展開する点では市場開拓です。無関係な製品へ多角化するより、今ある技術と新工場で得た能力が役立つ仕事を選ぶことが、実行可能な戦略になります。

能力・開拓先・安定化を120字で答案化する ​

答案の骨格は、次の論点を設問の順に整理することです。

量産加工と熱処理の一貫対応をX社以外へ広げるだけでなく、その受注を実行できる体制を示します。既存工場は多品種少量、新工場は量産という役割を定め、全社の受注量と工程能力を調整することで、既存事業を維持しながら新工場を活用できます。顧客分散による依存低減と、工場間の役割分担による安定供給を組み合わせて収益の安定へつなげます。


公的資料から持ち帰る知識と類題 ​

J-Net21のアンゾフの成長マトリックスは、提供するものと市場を分けて成長方向を考える参考です。本問では新工場稼働後の一貫能力を何に使うかを基準に、他顧客への市場開拓を具体化します。枠組みの名称より、対象顧客と依存低減へのつながりを明確にします。

類題は、2023年度事例III第5問、2015年度事例III第2問、2007年度事例III第4問です。共通点は設備を単独で見ず、需要と工程能力を合わせて考える点。相違点は、類題が設備・体制の妥当性や改善を検討するのに対し、本問は新工場稼働後を前提に、確立した能力の使い先を考える点です。

出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21経営ハンドブック「アンゾフの成長マトリックス」(既存/新規の製品と市場を分け、市場浸透・市場開発・製品開発・多角化から成長方向を選ぶ枠組み)

公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。

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