Skip to content

平成 26 年度(2014 年度)事例 Ⅲ 解答解説 ​

この解説で学ぶこと ​

2014年度事例Ⅲは、超精密小型部品を加工するC社の生産・技術管理を扱います。一貫生産体制という強みと主要取引先X社への依存、切削工程の加工不良などを、与件の記述から整理します。

以下では設問ごとに回答例、問題文の該当箇所、答案作成の根拠を示します。自分の答案と比較するときは、施策名だけでなく、C社のどの課題に対応する施策なのかまで確認してください。

目次は画面右上の「On this page」をタップしてください。

第 1 問(配点 10 点) ​

設問文 ​

C 社の創業からの事業変遷を理解した上で、精密小型部品加工業界における C 社の強みと弱みを 60 字以内で述べよ。

回答例(59 字) ​

強みは超精密・超小型加工技術と熱処理・メッキを含む一貫生産体制。弱みは主要取引先X社への売上・技術両面の依存が高い点。

解説 ​

この問題の着眼点 ​

創業からの事業変遷を踏まえ、 強みと弱みを合わせて60字 で答える抜粋型の問題です。強みは加工技術と一貫体制、弱みはX社依存へ束ね、二つの観点に答える場所を確保します。

事業を広げた力と、その裏側の依存を読む ​

与件文のどこを見るか ​
  • 第2段落: 超精密加工と超小型加工技術に特化 、 熱処理設備およびメッキ設備を加えて精密部品の一貫生産体制 とあります。加工技術の専門化から工程範囲の拡大へ、強みを積み上げた経緯を読みます。
  • 第1段落: 超精密小型部品の約 90% 、 主要取引先である大手精密機器メーカー X 社の精密部品事業部を経由 とあります。最終納品先は複数でも、C社の取引経路はX社へ偏っています。
  • 第4段落: 売上面ばかりでなく製品設計や工程設計などの生産技術や管理技術についても指導を受ける とあります。依存は販売だけではなく、技術・管理の面にも及びます。
事業変遷から、現在の強みを二つに束ねる ​

創業時は自動旋盤による精密部品加工でした。現社長が超精密・超小型加工へ特化してX社との取引を始め、熱処理・メッキも加えたことで受注を拡大しています。 難しい加工ができる技術 と 後工程までまとめて担える体制 を、現在の強みとして残します。

第2段落の そして は、創業後に現社長が技術を絞り込み、取引と工程を広げた流れを示します。年号を答案に並べるより、事業変遷によって何を獲得したかを整理しましょう。

後続設問を解いて、1軍・2軍を分ける ​

読みながら候補に印を付け、後続設問へ進みます。第3問の調達集約で評価される力、第4問で他社へ提案する資源を見ると、優先して残す強み・弱みが明確になります。

優先度候補後続設問とのつながり
1軍・強み超精密・超小型加工技術と一貫生産第3問の集約先選定、第4問の他社への提案を支える
1軍・弱み売上・技術面でのX社依存第4問で販路を分散する理由となる
2軍生産能力、加工不良、材料在庫の問題第2・3問の改善根拠。60字では事業全体の強弱を優先
取引先の多さと、C社の依存先を区別する ​

製品は国内外の精密機器メーカーへ届きますが、その約90%はX社を経由します。 最終顧客が複数でも、C社の受注基盤はX社に集中している と捉えます。技術指導も成長を支えた一方、自社で設計・管理を進める面では依存の大きさを示します。

強みと弱みを60字で答案化する ​

答案の骨格は、 超精密・超小型加工+一貫生産/売上・技術面のX社依存 です。「強みは〜。弱みは〜。」の形を先に置き、強みに熱処理・メッキ、弱みに売上と技術の二面を肉付けします。

60字では、製品の納品先や不良・在庫の細部まで詰め込まず、事業を発展させた能力と経営の偏りを対で残します。


公的資料から持ち帰る知識と類題 ​

独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある経営ハンドブック「商品開発・市場開拓のための社内外の組織・体制づくり」は、3C・4P・SWOTで自社と市場を整理し、顧客の声や異分野との接点を社内外の体制へ落とす方法について示しています。本問では、「自社資源と外部環境を両方分析し、差別化と実行可能な経営計画へ結び付けること」を2014年度事例IIIの与件事実と設問要求へ当てはめます。

公的資料の判断軸本問への当てはめ答案上の注意
自社資源と外部環境を両方分析し、差別化と実行可能な経営計画へ結び付けることSWOTと内部環境と取引先分散を、与件の事実と設問要求に対応させる戦略名だけを書かず、対象市場、自社能力、実行条件、期待効果を因果で示す

類題は、2024年度事例III第5問です。

  • 共通点:どちらも、与件の生産・技術上の事実を、SWOTと内部環境の判断へ変換する点が共通します。
  • 相違点:本問は「SWOTと内部環境→取引先分散→QCD・成長への効果」を中心に問うのに対し、類題は「保有技術を生かす新事業と、その実行体制」を中心に問います。要求と制約が異なるため、類題の施策をそのまま移さず、本問の与件で取捨選択します。

出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21経営ハンドブック「商品開発・市場開拓のための社内外の組織・体制づくり」(3C・4P・SWOTで自社と市場を整理し、顧客の声や異分野との接点を社内外の体制へ落とす方法)

この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2014年度の与件事実を主根拠にします。

第 2 問(配点 20 点) ​

設問文 ​

C 社の切削工程で問題視されている加工不良率の増加について、その改善を図るために必要な具体的対応策を 100 字以内で述べよ。

回答例(100 字) ​

自動旋盤ごとに機械精度と不良発生を測定記録し、精度低下との関係を分析する。点検周期・判定基準・保全手順を標準化してオペレーターを教育し、故障後対応から定期点検と調整による予防保全へ改めて不良を減らす。

解説 ​

この問題の着眼点 ​

切削工程の 加工不良率を下げる具体策を100字 で答えます。自動旋盤の更新計画がないため、今ある設備の精度を維持する 予防保全と標準化 を中心に考えます。

故障してから直す保全を、不良を防ぐ保全へ変える ​

与件文のどこを見るか ​
  • 第7段落: 加工精度は、自動旋盤の精度に左右される 、 自動旋盤の更新計画はない 、 故障対応に主眼を置いて、それぞれの経験で行っている とあります。設備精度と現在の保全方法を、更新なしで改善する対象として結びます。
  • 第5段落: 24 時間稼働による連続生産 とあります。保全の実施時点を計画へ組み込み、連続稼働の中でも点検・調整の機会を確保する必要があります。
  • 第8段落: 加工不良率の増加による歩留りの低下傾向 とあります。精度改善は、高額な材料を不良として失う負担の軽減にもつながります。
設備が動くことと、必要な精度で加工できることを分ける ​

現在のメンテナンスは、故障への対応が中心で、設備オペレーターの経験に任されています。機械が止まっていなくても、精度が悪くなれば不良品は生じます。必要なのは 故障の有無だけでなく、加工精度を維持できているかを見ること です。

まず、自動旋盤ごとの加工条件、点検・調整、故障履歴、不良の種類や発生時点を記録します。設備の状態と不良を突き合わせ、どの条件で精度が不安定になるかを分析します。摩耗や調整不足などは確認する候補であり、与件だけで原因を一つに決めず、記録から確かめます。

点検基準をそろえ、担当者が実行できる状態にする ​

分析を基に、点検項目、許容範囲、点検周期、異常時の処置を決めます。故障後に直すだけでなく、精度低下の兆候を見つけて事前に整備する予防保全へ移します。

現状対応不良低減につながる理由
故障対応が中心設備と不良を記録し、点検・予防保全を計画精度低下を早く把握し、不良が増える前に対処
担当者それぞれの経験に依存保全・加工条件を標準化し、教育する担当者が変わっても必要な管理を実施

切削は24時間稼働ですが、点検や必要な整備を省いてよいわけではありません。計画的に保全時間を確保し、安全に停止・確認して精度を維持します。標準を作った後も、不良率や点検結果を確認して周期・手順を見直します。

不良低減の対応策を100字で答案化する ​

答案の骨格は、次の論点を設問の要求に沿って組み立てることです。

加工精度が自動旋盤の精度に左右されるため、測定・記録から劣化を把握し、点検と調整で精度を保つ。オペレーター教育は実行体制の具体策として十分であり、教育と保全履歴共有の両方を必須条件にはしない。


公的資料から持ち帰る知識と類題 ​

独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある「不良品を出さないための工程管理方法について教えてください。」は、工程条件と管理値を記録して異常を早期発見し、不良の未然防止と再発防止へつなげる方法について示しています。本問では、「製造業の経営力向上では、需要情報、技能、デジタル技術、経営資源の組合せを具体的な業務改善へ落とすこと」を2014年度事例IIIの与件事実と設問要求へ当てはめます。また、「老朽化した設備の管理方法について教えてください。」は、設備の状態と故障履歴を把握し、点検・予防保全・更新判断へつなげる方法を補う資料として併記します。

公的資料の判断軸本問への当てはめ答案上の注意
製造業の経営力向上では、需要情報、技能、デジタル技術、経営資源の組合せを具体的な業務改善へ落とすこと予防保全と品質管理の標準化を、与件の事実と設問要求に対応させる効率化・標準化という抽象語で終わらず、対象工程、現状の制約、変更する条件とQCD効果を書く

類題は、2024年度事例III第2問です。

  • 共通点:どちらも、与件の生産・技術上の事実を、予防保全の判断へ変換する点が共通します。
  • 相違点:本問は「予防保全→品質管理の標準化→QCD・成長への効果」を中心に問うのに対し、類題は「工程のムダと制約を特定し、生産能力を高める工程改善」を中心に問います。要求と制約が異なるため、類題の施策をそのまま移さず、本問の与件で取捨選択します。

出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21「不良品を出さないための工程管理方法について教えてください。」(工程条件と管理値を記録して異常を早期発見し、不良の未然防止と再発防止へつなげる方法) / 中小企業基盤整備機構 J-Net21「老朽化した設備の管理方法について教えてください。」(設備の状態と故障履歴を把握し、点検・予防保全・更新判断へつなげる方法)

この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2014年度の与件事実を主根拠にします。

第 3 問(配点 40 点) ​

設問文 ​

C 社では、主要取引先 X 社精密部品事業部の国内部品調達および物流の合理化計画に対応するための対策が検討されている。この課題について、以下の設問に答えよ。

設問 1 ​

C 社が X 社の唯一の国内調達先となり、部品在庫管理および受注・発送業務の移管が行われると、C 社にはどのようなメリットがあるのか、100 字以内で述べよ。

設問 2 ​

X 社からの業務の移管に対応するためには、C 社の生産計画や資材調達計画を今後どのように改革していくことが必要となるのか、160 字以内で述べよ。

回答例(98,157 字) ​

【設問1】国内調達先の集約で受注と売上が増え、在庫管理・受注発送の委託費という新収益も得られる。顧客への直接納品で需要情報と接点を獲得し、在庫・物流管理の経験を蓄積して、取引関係の強化や事業展開に生かせる。 【設問2】顧客の内示で能力を準備し、週次確定情報で生産計画を更新する。切削から熱処理・メッキ・検査まで一貫した小ロットの日程を組み、1週間納期に対応する。資材は生産所要量を実在庫や使用量・歩留りと照合して必要量を算定する。調達の2週間を見込み、内示と週次計画に連動した小口頻回発注や分割納入で、欠品を防ぎ過剰在庫を圧縮する。

解説 ​

この問題の着眼点 ​

設問1は 業務移管のメリットを100字 、設問2は 生産計画と資材調達計画の改革を160字 で答えます。受注と業務が増える効果と、それを引き受けるための改革を分けて考えます。

仕事が増える機会を、新しい供給条件と合わせて読む ​

与件文のどこを見るか ​
  • 第11段落: C 社 1 社に集約 、 精密部品の在庫管理および受注・発送業務も C 社に業務移管 、 C 社に支払う業務委託費 とあります。製造受注だけでなく、物流業務とその対価も移る計画です。
  • 第12段落: 納品リードタイムは 1.5 カ月から 1 週間に短縮 、 1 週間分の確定受注数量となり大幅に縮小 とあります。C社に求められる納期とロットが同時に変わります。
  • 第8段落: 納期は材料商社に発注後約 2 週間 とあります。納品1週間より長いため、内示に基づく先行準備が必要です。
製造だけでなく、在庫・受注・発送も担う ​

これまではC社が月内にX社へ納め、X社が顧客向けの在庫を管理していました。移管後は、顧客の情報をオンラインで共有し、C社が直接納品する役割まで担います。第11段落の 同時に は、生産の集約に物流業務の移管が加わること、 また は業務委託費も検討されることを示します。

観点設問1で捉える効果設問2で整えること
国内調達の集約受注・売上の確保、X社との関係強化品種ごとの量と納期に対応する生産計画
在庫・受注・発送の移管委託費という収入源完成までの工程と在庫・発送をつなぐ管理
顧客需要情報の共有需要把握と今後の提案に使える情報内示で準備し、週次確定で計画を調整
月内に納めればよい仕事から、週ごとの納期へ ​

第12段落の このため は、納期短縮と受注ロット縮小を、生産システムの見直しへ結んでいます。月単位でまとめて作るままでは、新しい納期と数量に合いません。生産計画を短い周期へ変え、切削だけでなく検査までつなぐことが必要です。

材料調達は2週間かかるため、1週間納期の確定注文を待って材料を手配するだけでは間に合いません。先の需要を示す内示も使うことが、改革の実行条件になります。

メリットと改革を小設問別に答案化する ​

答案の骨格は、次の論点を設問の要求に沿って組み立てることです。

調達集約による売上機会と業務委託費を分けて整理する。その上で、顧客への直接納品が需要情報や顧客接点をもたらし、在庫・発送業務の経験が将来の事業展開に使えるという意味を補う。


公的資料から持ち帰る知識と類題 ​

独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある「サプライチェーン・マネジメントを導入するには、どのようにすると良いですか?」は、需要情報を生産計画へ反映し、取引先・仕入先を含めて情報とリスクを共有し全体最適化する方法について示しています。本問では、「工程・受注・在庫の情報を可視化して共有し、標準化した運用と改善へ使うこと」を2014年度事例IIIの与件事実と設問要求へ当てはめます。

公的資料の判断軸本問への当てはめ答案上の注意
工程・受注・在庫の情報を可視化して共有し、標準化した運用と改善へ使うことサプライチェーン再編と短サイクル生産計画を、与件の事実と設問要求に対応させるIT導入だけで終わらず、誰が、いつ、どの情報を更新し、何を判断するかを書く

類題は、2024年度事例III第3問です。

  • 共通点:どちらも、与件の生産・技術上の事実を、サプライチェーン再編の判断へ変換する点が共通します。
  • 相違点:本問は「サプライチェーン再編→短サイクル生産計画→QCD・成長への効果」を中心に問うのに対し、類題は「短納期に対応する生産計画と工程統制」を中心に問います。要求と制約が異なるため、類題の施策をそのまま移さず、本問の与件で取捨選択します。

出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21「サプライチェーン・マネジメントを導入するには、どのようにすると良いですか?」(需要情報を生産計画へ反映し、取引先・仕入先を含めて情報とリスクを共有し全体最適化する方法)

この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2014年度の与件事実を主根拠にします。

第 4 問(配点 30 点) ​

設問文 ​

C 社社長は、主要取引先 X 社で進められている国内部品調達先の集約化の動きに対応して、X 社との取引を高める一方で、X 社以外の販路開拓を行う方針である。この方針を実現するためには、中小企業診断士としてどのような提案を行うか、C 社の経営資源に注目して 160 字以内で述べよ。

回答例(159 字) ​

超精密・超小型加工と熱処理・メッキまでの一貫対応を、品質・短納期の価値として展示会や紹介で精密機器メーカーへ提案する。専任営業者を育て製造技術者と顧客ニーズを聞き、試作・製品開発へ反映する。X社に依存する設計・工程管理の技術を社内で育成共有し、全社の負荷と要員を調整してX社の納期・品質を守り新規受注へ能力を配分する。

解説 ​

この問題の着眼点 ​

X社との取引強化と、X社以外の販路開拓を両立する提案を160字 で答えます。C社の技術・設備・人材に注目し、 既存取引を深める使い方 と 他社にも選ばれるための使い方 を考えます。

同じ経営資源を、取引強化と他社開拓の双方へ使う ​

与件文のどこを見るか ​
  • 第2段落: 超精密加工と超小型加工技術に特化 、 熱処理設備およびメッキ設備 とあります。他の精密機器メーカーへ提案できる技術と工程の基盤です。
  • 第3段落: 新規受注などの営業業務については社長と専務の役員 2 名で対応 とあります。販路開拓を誰が担うかを、現有の営業体制から考えます。
  • 第4段落: 経営のかなりの面で依存している とあります。X社との取引拡大だけにとどまらず、他社開拓も進める理由です。
  • 第11段落: 必要な生産能力を有する C 社 、 顧客の 3 カ月、1 カ月発注情報および 1 週間ごとの確定発注情報を C 社とオンライン化 、 C 社から直接顧客に納品 とあります。移管を引き受ける能力と、これから整える情報・物流の仕組みを区別します。
X社には、作る力に管理・物流の力を加える ​

X社はC社の加工技術と生産能力を評価しています。ただ、移管後には1週間納期と小ロット、在庫管理・受注・直送も求められます。必要能力があることと、その条件で業務を回せることは分けて考えます。

3カ月・1カ月内示と週次確定情報を共有し、全工程の計画を継続的に更新します。在庫・受発注・発送をつなぐ管理を整えれば、X社にとって 製造から顧客への供給まで安心して任せられる取引先 へ近づきます。第2・3問の品質改善と計画改革は、この信頼を支える取り組みです。

他社には、超精密・超小型加工と一貫対応を提案する ​

社長・専務が、超精密・超小型加工、熱処理・メッキまでの一貫対応、製品品質を具体的に示し、同様の部品を必要とする精密機器メーカー等へ提案します。業種名だけを広く並べるより、C社の技術がどんな要求に応えられるかを伝えます。

X社向け直送は、X社から任された業務です。その顧客を無条件に自社の直接取引へ切り替えるのではなく、契約や取引関係を守りながら、独自の営業活動でX社以外の受注先を開きます。

両方を進められるよう、設備と人材を配分する ​

X社向けの仕事が増えると、目先の対応だけで設備・人員・役員の時間が埋まるおそれがあります。既存受注の納期を守れる能力を把握し、他社への試作・商談・受注にも資源を振り向けます。

狙いはX社との取引を減らすことではなく、 X社を支えながら、他社の売上も育てる ことです。取引拡大と依存低減を両立させ、収益の安定につなげます。

二つの販路方針を160字で答案化する ​

答案の骨格は、次の論点を設問の順に整理することです。

他社開拓は、固有技術を展示会や紹介等の接点で訴求し、顧客ニーズを聞いて試作・製品開発へつなぐ流れで具体化します。役員だけに頼らず営業担当を育て、製造技術者と継続対応する体制を整えます。またX社に依存してきた設計・工程管理の技術を社内へ蓄積し、全社負荷を調整して既存取引の納期・品質と新規受注を両立させます。


公的資料から持ち帰る知識と類題 ​

独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある経営ハンドブック「商品開発・市場開拓のための基本方針」は、強みを棚卸しし、限られた経営資源を顧客・商品・商圏・販路へ選択集中する考え方について示しています。本問では、「既存の強みを顧客ニーズへ結び付け、新規顧客・販路と付加価値の拡大を検討すること」を2014年度事例IIIの与件事実と設問要求へ当てはめます。また、「サプライチェーン・マネジメントを導入するには、どのようにすると良いですか?」は、需要情報を生産計画へ反映し、取引先・仕入先を含めて情報とリスクを共有し全体最適化する方法を補う資料として併記します。

公的資料の判断軸本問への当てはめ答案上の注意
既存の強みを顧客ニーズへ結び付け、新規顧客・販路と付加価値の拡大を検討すること取引先分散と差別化集中戦略を、与件の事実と設問要求に対応させる販路開拓という一般論で終わらず、誰に何の能力をどの提供方法で訴求するかを書く

類題は、2023年度事例III第4問です。

  • 共通点:どちらも、与件の生産・技術上の事実を、取引先分散の判断へ変換する点が共通します。
  • 相違点:本問は「X社取引深耕+新規顧客開拓→超精密・一貫生産の提案→取引先分散」を中心に問うのに対し、類題は「既存顧客ニーズと自社能力を結ぶ自社企画製品の開発」を中心に問います。要求と制約が異なるため、類題の施策をそのまま移さず、本問の与件で取捨選択します。

出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21経営ハンドブック「商品開発・市場開拓のための基本方針」(強みを棚卸しし、限られた経営資源を顧客・商品・商圏・販路へ選択集中する考え方) / 中小企業基盤整備機構 J-Net21「サプライチェーン・マネジメントを導入するには、どのようにすると良いですか?」(需要情報を生産計画へ反映し、取引先・仕入先を含めて情報とリスクを共有し全体最適化する方法)

この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2014年度の与件事実を主根拠にします。

© 2024 AIで中小企業診断士二次試験 | All Rights Reserved