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2026年度 事例3(速報版)模範解答・解説
独自作成の模範解答・評価基準。公式解答・公式採点基準ではなく、本試験の得点を予測・保証しない。
第1問(配点10点)
C社における生産面での強みについて、40字以内で記述せよ。
模範解答
回答例(40字/40字以内)
強みは、熟練作業者の技能により、美しい文字や色と正確性の高い印刷を実現できる点。
解説
設問は「生産面」の強みを40字で問う。段落6・7・12の熟練者の経験と、文字・色の美しさや情報の正確性という成果を結び付ける。地元官公庁の高シェアや顧客基盤だけでは生産能力の説明にならない。段落3の納期への信頼を高品質・正確性に代わる成果の一つとして捉える答案も、技能や調整能力との関係が明確なら認める。段落8には残業・外注による納期対応があるので、「余裕のある短納期体制」「低コスト生産」を既存の強みと断定しない。デジタル印刷機の保有は事実だが、有効活用は第3問の改善課題である。
解答要素と与件根拠
| 評価要素 | 根拠段落 | 充足の考え方 |
|---|---|---|
| 経験に裏付けられた技能 | 6,7,12 | 熟練作業者の技能・経験に基づく印刷調整や品質管理の能力を示す。 |
| 高品質・正確性等の生産成果 | 3,6,12,13 | 技能等により高品質・正確性・美しい仕上がり等を実現することを示す。生産能力と結び付いた納期遵守も認める。全成果の列挙は不要。 |
第2問(配点15点)
C社の収益性確保に向けた受注価格設定における課題と解決策について、80字以内で記述せよ。
模範解答
回答例(79字/80字以内)
課題は、案件ごとの工数・費用を価格に反映することであり、解決策は、材料費や作業時間から案件別原価を把握し、必要利益を加えた見積基準で価格を設定することである。
解説
段落4では過去の類似案件や他社動向を参考に価格を決め、段落11では材料費・エネルギー費・人件費が上昇している。したがって、現在の案件に必要な作業と費用を見積りに反映し、利益を確保することが課題となる。「原価管理を全くしていない」「全件赤字受注」とは与件に書かれていない。過去資料の利用自体を否定せず、案件別の材料費・作業時間・機械使用・校正や後加工等を把握し、必要利益を含める見積基準へ更新する助言である。受注後の実績と見積りを比較して基準を改める方法も妥当。原価に一定利益を加えるだけで価格が受け入れられるとは限らないため、品質・正確性や一括対応の価値を説明して交渉する別解も認める。
解答要素と与件根拠
| 評価要素 | 根拠段落 | 充足の考え方 |
|---|---|---|
| 収益を確保する価格設定の課題 | 4,9,11 | 過去価格や競合依存を見直し、案件の費用・工数や提供価値を価格へ反映して利益を確保する課題を示す。 |
| 案件別の費用・工数の把握 | 4,5,8,11,14 | 案件ごとの材料費・作業時間等の原価を把握する方法を示す。費目をすべて列挙する必要はない。 |
| 採算を確保する見積り・交渉 | 4,11,13,14 | 把握した費用に必要利益を見込む見積基準、または費用と顧客価値を踏まえた価格交渉等を具体化する。 |
第3問(配点25点)
C社では、長時間残業や外注活用などを削減するために、デジタル印刷機の有効活用が課題となっている。その解決策について、120字以内で記述せよ。
模範解答
回答例(117字/120字以内)
解決策は、少部数・簡易な案件をデジタル印刷へ振り分ける基準を設けることである。操作教育と標準化を進め、受注時から校了予定・納期・工程負荷を共有して先行計画を組む。刷版不要と後加工の自動化を生かし、負荷を平準化して残業・外注を削減する。
解説
第3問の主眼は導入済みデジタル印刷機の有効活用であり、一般的な残業削減策だけでは足りない。段落7の少部数・簡易品への適性に基づく振分けをルール化し、ベテランが慣れたオフセットを選ぶ運用を見直す。段落6の刷版不要・簡単な後加工の機内完結を利用すれば、工程や段取りを減らせる。操作教育と標準化は、教育が現在全くないという断定ではなく、利用定着の提案である。段落5の校了遅延と段落8の当日中心の負荷調整にも対応し、校了予定・納期・負荷を早期共有する計画と組み合わせる。高品質・大量品まで一律にデジタル化せず、適性に応じて両方式を使い分ける。デジタル機は簡単な折り・綴じ・裁断が可能なのであり、あらゆる製本を自動化できるわけではない。
解答要素と与件根拠
| 評価要素 | 根拠段落 | 充足の考え方 |
|---|---|---|
| 印刷方式の適切な振分け | 6,7 | 少部数・簡易な案件等をデジタルへ振り分け、方式の適性を踏まえた選択基準を示す。 |
| 利用を定着させる運用 | 7 | 操作教育・標準手順・試作比較・担当配置等で経験依存の選択を改め、デジタル利用を定着させる。すべての施策は不要。 |
| 先行する工程・負荷調整 | 4,5,8 | 受注・校了予定・納期や工程負荷を早期に把握・共有し、先を見た計画や負荷平準化につなぐ。 |
| 工程短縮と残業・外注の削減 | 6,8 | 刷版不要・簡単な後加工の機内完結等を利用し、工数や工程負荷の低減につなぐ。 |
第4問(配点25点)
C社は、ベテラン従業員の高齢化が進む中、今後も技術力を維持・強化していくことが重要となっている。そのための課題と解決策について、120字以内で記述せよ。
模範解答
回答例(120字/120字以内)
課題は、ベテランに依存する印刷技能や調整経験を組織に継承することである。解決策は、用紙・温湿度別の調整条件や校正の要点を記録・標準化し、OJTと部門横断の実践で後継担当者を育て、品質・不良情報の共有と振り返りにより技能を改善することである。
解説
課題と解決策の両方が必要である。段落6・12の印刷調整等の経験知と、段落13の企画・校正・部門間調整の経験が、ベテランの高齢化により失われないようにする。条件別の調整記録、作業標準、校正の確認事項で判断の根拠を共有し、OJTや共同作業で後継担当者に実践させる。与件には若手の在籍人数等は示されていないため、模範解答では後継担当者への育成とした。採用拡大を前提とせず既存人員内の育成を基本とする。若手へのOJTという別解も、将来の育成案として認める。記録化だけでは技能の強化に届きにくいため、試作・品質結果の振り返り等を通じて標準と技能を改善する。部門横断の育成は有効だが、全技能を全員に習得させることや「多能工」という語自体は必須にしない。
解答要素と与件根拠
| 評価要素 | 根拠段落 | 充足の考え方 |
|---|---|---|
| 高齢化に伴う経験知の継承課題 | 6,12,13 | ベテランに依存する技能・判断や調整経験を組織に継承する課題を具体化する。 |
| 判断・作業の記録と標準化 | 5,6,12,13 | 調整条件・作業の勘所・校正等の経験知を記録し、共有できる標準や教材へ変える。 |
| 後継担当者への実践的育成 | 2,6,12,13 | OJT・共同作業・ローテーション等で後継担当者が技能を習得し、担当可能範囲を広げる。多能工化という語は必須でない。 |
| 技術を強化する振り返り・改善 | 6,12,13 | 品質結果・不良事例・試作等を振り返り、技能や標準の改善へ結び付ける。 |
第5問(配点25点)
C社は、今後の戦略として、顧客から評価されている印刷物関連の一括請負業務でさらなる収益拡大を図っていきたいと考えている。このことに対して、どのようにアドバイスをするか、その内容を120字以内で記述せよ。
模範解答
回答例(119字/120字以内)
助言は、顧客の業務効率化を支える一括請負を標準化し、適正価格で拡大することである。制作・製版課を核に横断チームと責任者を定め、企画・印刷・仕分け・発送の手順を共有する。案件別工数と採算、各課の余力を確認し、既存顧客へ提案して収益を高める。
解説
段落13の一括対応は、顧客の準備効率・情報の正確性・業務の手離れを高める点に価値がある。段落14では案件ごとに実行体制や方法を模索しており、この再現性を高めることが拡大の前提となる。制作・製版課を核とする横断チームと責任者で役割を明確にし、企画・印刷・仕分け・発送の手順を共有する。顧客ニーズによって必要な範囲を組み合わせる提案であり、すべての案件に全工程を必須とする意味ではない。高い受注価格でも対応工数が大きければ利益は残らないため、案件別採算と各課の余力を確認して価格・受注量を調整する。第2問が見積価格の基準なら、第5問は提供価値、実行体制、受注・能力管理を含む事業の拡大策である。既存顧客への横展開は一案であり、同じ価値を必要とする新規顧客への提案も認める。大型設備投資や大量採用を前提にしない。
解答要素と与件根拠
| 評価要素 | 根拠段落 | 充足の考え方 |
|---|---|---|
| 顧客価値に基づく一括請負の拡大 | 13,14 | 顧客の業務効率化・正確性・手離れ等の価値を、一括対応の提案・拡大に結び付ける。 |
| 部門横断の実行体制 | 2,13,14 | 制作・製版課等を核に責任者・役割分担や部門間連携を整え、案件ごとの体制模索を減らす。特定の組織名は必須でない。 |
| 再現できる業務手順 | 13,14 | 企画・印刷・仕分け・発送等の一括請負の手順や確認項目を標準化・共有する。全工程の列挙は不要。 |
| 採算と既存能力を踏まえる受注 | 8,14,15 | 案件別工数・採算と既存の要員・設備の負荷を確認し、価格・受注量・実行計画等へ反映する。 |
根拠段落の対応
段落1
C社は資本金5,000万円、役員を含めた従業者30名の創業50年を超える印刷業である。10年前の年商は3.5億円程度であったが、近年は3億円を下回る水準に低迷し業績が悪化している。
段落2
組織は、受注獲得や顧客への提案を行う営業課、印刷物のデザイン・校正を経て印刷データや刷版を作成する制作・製版課、印刷や製本担当の印刷・製本課、人事・経理の総務課で構成される。
段落3
C社は、X県の県庁所在地にあり、地元官公庁の印刷物で高いシェアを持ち、地場の有力企業の顧客も多い。品質や納期では顧客からの信頼が厚く、地元の美術館や博物館の印刷物受注の実績も少なくない。
段落4
C社の主な業務プロセスは次ページの図のとおりである。営業担当者が顧客から印刷物の相談を受け、印刷提案書と見積書を作成する。印刷提案書は、過去の印刷物を参考に営業担当者が作成するが、類似の印刷物がない場合には制作・製版課や印刷・製本課とも相談して作成することもある。印刷提案書や過去の類似の印刷物の見積書と受注伝票を参考に、他社の動向も踏まえ、営業担当者は営業課長と相談して受注価格と納期を見積書にまとめ、印刷提案書とともに専務の承認を受ける。
段落5
印刷提案書と見積書を顧客に提示し受注が決まると、顧客から原稿を入手して、営業担当者は仕様や印刷部数、納期を記載する受注伝票を作成する。次に、制作・製版課が原稿の表記ゆれや誤りなどの修正を加えてレイアウトし、印刷データを作成する。そして、校正用印刷物を出力して顧客に校正を依頼する。顧客との校正確認に日数を要したり、大きな変更が生じたりすることも少なくない。数度の校正確認を経て印刷データが完成する。
段落6
その後の工程は、オフセット印刷かダイレクト印刷のいずれかが選択される。オフセット印刷は、多色刷りの場合には色分解を行い、印刷や折り・綴じ・裁断・製本に適したページ配置を行う面付けをし、使用する印刷機に合わせて印刷用の刷版を作成する。印刷機担当者は、用紙やインクの特質、その日の気温や湿度を踏まえて、試し刷りと調整を重ねて印刷する。そして、印刷物の仕様に合わせて、折りや綴じ、裁断や製本を専用の機械を用いて施す。一方、ダイレクト印刷は、最近導入したデジタル印刷機で、刷版を作成せずに直接用紙に印刷を行うものである。このデジタル印刷機は印刷だけでなく、簡単な折りや綴じ、裁断も自動で行う機能も持っており、印刷物作成が印刷機内で完結する。
段落7
比較的少部数で簡易な印刷物はデジタル印刷機の方が適している。一方で、オフセット印刷機は高品質、大量の印刷物に適している。社内のベテラン作業者は過去の作業経験が多く、慣れ親しんだ技術を発揮でき、印刷品質に自信が持てるオフセット印刷を選ぶ傾向が強い。
段落8
C社では、毎日午後の業務開始時に行う生産会議において、各課の課長と営業担当者、専務が参加し、当日と翌日の午前までの各課の作業を相談して決めている。この場で各課の作業負荷状況や印刷物の進捗状況が判明し、また、老朽化した設備の不具合、印刷データ確定の遅れ、顧客からの納期督促などの状況が共有され、当日の長時間残業や外注活用などによって納期に間に合わせている。
段落9
印刷業界は厳しい経営環境にある。プリンターの普及やデジタル環境の進展により、印刷物の発注が少なくなる中で、ネット受注の印刷会社の台頭や印刷業界内の安値受注が生じている。また、デザイン会社やイベント会社が企画と一括で印刷物も受注し、印刷会社が下請けに回る例も多いが、その際の受注価格は直接受注の場合と比べかなり低くなる。
段落10
官公庁は、競争入札化、発注先の多様化、印刷部数の削減を進めている。民間企業も、地域経済の影響を受けた業績停滞に加え、支店の集約や印刷物の本社一括発注を行っており、県内需要は総じて低迷している。
段落11
C社では、原材料費・エネルギー費・人件費を中心とした費用も増大し、赤字決算になることもあり、デジタル印刷機以外の新規設備投資の見送り、外注費・諸経費の削減に取り組んできた。
段落12
C社に対する顧客からの信頼は厚く、官公庁や民間企業からも、高い印刷品質や正確性が求められる印刷物については指名で発注がある。C社内でも文字や色の美しさで自社印刷物の質の高さを感じるとの声も多く、高齢化した作業者の業務経験の長さが質の高さの要因と捉える者が多数である。
段落13
近年顧客から高い評価を受けた受注としては、全国の官公庁担当者が集まる大規模な会議運営の受注があり、必要な印刷物を、何部、どのような形態で用意するかの企画も含めて一括で請け負った。官公庁側の人員が少なくなる中で、この受注では、会議準備の効率性と納品する印刷物の情報の正確さが求められていた。C社の経験豊富な制作・製版課の従業員が中心となり、各課のベテラン従業員がお互いに調整をしながら役割分担をして、的確な企画の立案や印刷物の正確性を担保した点が、顧客側からの評価につながった。また、官公庁だけでなく民間企業からも引き合いが増えている業務としては、印刷物作成に加え、印刷物の仕分けや配布先への発送業務までをC社で一括して請け負う業務があり、顧客からは正確性や業務の手離れのよさの評価を得ている。
段落14
これらの印刷物関連の一括請負業務は、C社内の対応工数を要するものの、顧客側の業務効率化につながることから受注価格が高くなる。そのため、C社でも積極的に受注しようとしているが、受注の都度、実行体制や取り組み方法を模索しながら対応している。
段落15
このような状況において、C社の社長と専務は、経営改革に取り組む必要性を強く認識している。追加のコスト削減は難しく資金余力も限られる現状では、既存の設備と人員の中での収益拡大を目指すしかないと考えているが、その実現方法について中小企業診断士に助言を求めることにした。
C社の主な業務プロセス
mermaid
flowchart TB
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end
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note["過去類似の印刷物がない場合は、制作・製版課や印刷・製本課と<br/>相談して印刷提案書作成"]
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