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平成 27 年度(2015 年度)事例 Ⅲ 解答解説
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第 1 問(配点 40 点)
設問文
C 社では、現在取引している産業機械部品メーカーから新規に自動車部品の生産依頼があり、新規受注の獲得に向けて検討している。この計画について以下の設問に答えよ。
設問 1
C 社が自動車部品分野に参入する場合、強みとなる点を 2 つあげ、それぞれ 40 字以内で述べよ。
設問 2
自動車部品の受注獲得は、C 社にとってどのようなメリットがあるのか 100 字以内で述べよ。
設問 3
自動車部品の受注獲得には、自動車業界で要求される短納期に対応する必要がある。そのためにはどのような改善策が必要なのか、100 字以内で述べよ。
回答例(77,100,95 字)
【設問1】①鋳造から機械加工・塗装までの一貫生産で、複雑形状・軽量化へ応える技術力。②鋳造技術者の営業担当が顧客の要望を把握し設計へつなぐ技術提案型の新市場開拓力。 【設問2】自動車部品の受注で鋳造能力と加工・塗装の一貫体制を活かし、操業度と売上を高める。公共投資や季節変動への依存を下げ経営を安定させるとともに自動車の要求対応で技術・品質管理を磨き他市場への展開基盤を得る。 【設問3】機械加工の刃物・治具交換を外段取り化・標準化し、配置と運搬を改善して多台持ちの待ちを減らす。全工程の能力と納期から投入量・順序を調整し、日程と進捗を共有して仕掛滞留を抑え、短納期に対応する。
解説
この問題の着眼点
問われるのは、 参入に使える強み、受注のメリット、短納期化の改善策 です。設問1は強みを二つ各40字、設問2・3はそれぞれ100字で答えます。「何を持っているか」「受注で何が良くなるか」「何を変えるか」を分けて読むと、三つの答案が整理できます。
新しい受注を、既存能力と必要な改善につなぐ
与件文のどこを見るか
- 第3段落: 機械加工工程と塗装工程の新設により一貫生産体制を確立 、 鋳造技術に精通した中堅エンジニア 3 名 とあります。工程を社内でつなぐ体制と、技術を理解する人材が新市場開拓の基盤です。
- 第5段落: 自動車部品 2 次下請企業でもある産業機械部品の取引先 とあります。既存の取引関係から、自動車部品という新分野への入り口が生まれています。
- 第7段落: 受注量の季節変動が大きい とあります。主力のマンホール蓋に依存する事業構成を変える意義が見えます。
- 第12段落: 機械加工工程がネック工程となっていた とあります。新しい受注を完成品として届けるには、この制約を解消する必要があります。
参入できる理由と、受注をこなせる条件を分ける
C社は、鋳造だけでなく機械加工・塗装まで担い、技術者が営業として顧客の要望を設計へ伝えています。これは自動車部品にも活用できる資源です。一方、新分野の受注を増やせば、既に遅れている機械加工へさらに仕事が集まります。 強みがあることと、短納期で供給できることは別の確認事項 です。
| 小設問 | 中心に置く内容 | 答案へのつなぎ方 |
|---|---|---|
| 設問1 | 一貫生産と技術営業 | 新分野に使える既存の能力を二つに整理 |
| 設問2 | 売上・操業度の向上と事業分散 | 建設資材への依存を下げる経営上の効果 |
| 設問3 | 機械加工の段取り・運搬・仕掛管理 | 停止と待ちを減らし、短納期を実現 |
第3段落の その際 は、設備だけでなく営業人材も受注獲得を支えたことを示します。第12段落の しかし では、鋳造能力の増強から機械加工の制約へ視点が変わります。過去の成功と現在の課題を、それぞれの問いに対応させましょう。
三つの問いを、それぞれ答案化する
答案の骨格は、次の論点を設問の要求に沿って組み立てることです。
機械加工の段取りと運搬の改善に加え、鋳造からの投入量・順序を後工程能力と納期に合わせる。進捗情報を集める目的は、仕掛品が過剰に積み上がらないよう工程間を調整することにある。
公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある経営ハンドブック「多角化の方法」は、多角化の収益拡大・リスク分散・シナジーとコスト・非効率を比較し、段階的に進める考え方について示しています。本問では、「既存の強みを顧客ニーズへ結び付け、新規顧客・販路と付加価値の拡大を検討すること」を2015年度事例IIIの与件事実と設問要求へ当てはめます。
| 公的資料の判断軸 | 本問への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| 既存の強みを顧客ニーズへ結び付け、新規顧客・販路と付加価値の拡大を検討すること | 事業分散と自動車部品の要求水準を、与件の事実と設問要求に対応させる | 販路開拓という一般論で終わらず、誰に何の能力をどの提供方法で訴求するかを書く |
類題は、2023年度事例III第4問です。
- 共通点:どちらも、与件の生産・技術上の事実を、事業分散の判断へ変換する点が共通します。
- 相違点:本問は「事業分散→自動車部品の要求水準→QCD・成長への効果」を中心に問うのに対し、類題は「既存顧客ニーズと自社能力を結ぶ自社企画製品の開発」を中心に問います。要求と制約が異なるため、類題の施策をそのまま移さず、本問の与件で取捨選択します。
出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21経営ハンドブック「多角化の方法」(多角化の収益拡大・リスク分散・シナジーとコスト・非効率を比較し、段階的に進める考え方)
この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2015年度の与件事実を主根拠にします。
第 2 問(配点 20 点)
設問文
C 社の設備投資は、鋳造工程が優先されてきた。これによって生産工程に生じている問題点と、その改善策を 100 字以内で述べよ。
回答例(98 字)
鋳造能力に機械加工が追いつかず、仕掛滞留と納期遅延が生じる。刃物・治具交換や調整を事前準備・標準化して段取りを短縮する。多台持ちの作業順と配置・移動を見直して機械待ちを減らし、工程間の均衡を図る。
解説
この問題の着眼点
鋳造工程を優先して能力増強した結果、どんな 問題が生じ、どう改善するかを100字 で答えます。図2と第12段落から、 鋳造の能力と工場全体の能力を同一視していたこと を捉え、改善の優先順位を変えます。
工場の能力を、完成品まで流せる量で考える
与件文のどこを見るか
- 第12段落: 工場全体の生産能力を鋳造工程の処理能力で把握 、 機械加工工程がネック工程となっていた 、 機械加工工程の残業が日常的に生じている とあります。工場能力の見方と、実際の制約が食い違っています。
- 第11段落: 鋳造工程後の仕掛品が多く 、 製造リードタイムが長期化し納期遅延が生じる とあります。能力の不均衡が、仕掛滞留と納期の問題に表れています。
- 第13段落: 稼働率は 48%と低く 、 段取り作業を主な要因として生じている 、 作業員の作業遅れによって設備が待っている状態 とあります。機械加工は忙しくても、設備が加工していない時間が多く残っています。
鋳造を速くしても、機械加工の前で滞る
図1の製品は、鋳造から後処理、機械加工、塗装、検査発送を経て完成します。上流で多く作っても、途中の工程が処理しきれなければ、完成品の量は同じようには増えません。
図2では、主力マンホール蓋1ロット当たりの所要時間が機械加工で最も長く、第12段落も他製品に同じ傾向があると説明しています。 しかし を境に、C社が重視した鋳造能力と、実際に流れを制約する機械加工のずれが示されます。 鋳造偏重の増強→工程能力の不均衡→仕掛滞留・納期遅延 とつなぐのが問題の診断です。
残業している工程にも、稼働を改善する余地がある
図3の機械加工は稼働48%で、停止37%と空転15%があります。残業が日常化しているからといって、直ちに機械の台数だけが不足しているとは決められません。段取りを短くし、多台持ちの移動や作業配分を見直せば、既存設備が加工する時間を増やせます。
優先するのは 機械加工の実効的な処理能力を高めること です。その能力に合わせて鋳造からの投入も調整し、工程バランスを整えます。改善後も受注量に対して能力が足りなければ、必要能力と投資効果を確認して追加投資を判断します。先に鋳造の増強を続ける考え方から転換することが、本問の中心です。
問題と改善策を100字で答案化する
答案の骨格は、次の論点を設問の順に整理することです。
鋳造偏重で機械加工が制約となり、仕掛が滞留する問題を先に示します。改善は、刃物・治具交換や調整の事前準備・標準化で停止時間を減らす策と、多台持ちの順序や配置・移動の見直しで機械待ちを減らす策に分けます。機械加工の実効能力を高め、工程間の不均衡を正す因果を答案に残します。
公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある経営ハンドブック「業務プロセスの見直しによる生産性向上」は、作業工程を見える化し、待ち・移動等のムダを除き、人材を流動化してPDCAで改善する方法について示しています。本問では、「投資目的と現場課題を特定し、標準化、投資効果、資金制約を確認して導入を判断すること」を2015年度事例IIIの与件事実と設問要求へ当てはめます。
| 公的資料の判断軸 | 本問への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| 投資目的と現場課題を特定し、標準化、投資効果、資金制約を確認して導入を判断すること | ラインバランシングと設備投資の優先順位を、与件の事実と設問要求に対応させる | 設備導入を先に結論とせず、現場改善、必要能力、投資採算を比較する |
類題は、2023年度事例III第5問です。
- 共通点:どちらも、与件の生産・技術上の事実を、ラインバランシングの判断へ変換する点が共通します。
- 相違点:本問は「ラインバランシング→設備投資の優先順位→QCD・成長への効果」を中心に問うのに対し、類題は「新規受注に必要な工程・設備と投資の実行可能性」を中心に問います。要求と制約が異なるため、類題の施策をそのまま移さず、本問の与件で取捨選択します。
出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21経営ハンドブック「業務プロセスの見直しによる生産性向上」(作業工程を見える化し、待ち・移動等のムダを除き、人材を流動化してPDCAで改善する方法)
この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2015年度の与件事実を主根拠にします。
第 3 問(配点 20 点)
設問文
C 社は、納期遅延の解消を目的に生産管理の IT 化を計画している。それには、どのように納期管理をし、その際、どのような情報を活用していくべきか、120 字以内で述べよ。
回答例(120 字)
受注数量・納期と標準時間・工程能力から、鋳造から検査発送まで全工程の日程と加工順を納期基準で統一する。工程の着手・完了実績、仕掛在庫、材料調達の情報を共有し、計画実績比較で遅れを把握して投入量・加工順を修正し、納期回答精度と遵守率を高める。
解説
この問題の着眼点
IT化によって どのように納期管理を行い、そのためにどの情報を整備するかを120字 で答えます。情報項目を並べる前に、 全工程の日程を決め、実績と比べ、遅れへ対応する という管理の流れを置きます。
工程ごとの判断を、完成納期を守る仕組みへ変える
与件文のどこを見るか
- 第8段落: 鋳造工程の計画のみが立案される 、 段取り回数が最小になるようそれぞれの工程担当者が加工順を決めている 、 受注処理、生産計画、生産統制、在庫管理などを統合した IT 化 とあります。計画と判断が工程ごとに分かれている現状から、ITで何を一元化するかを考えます。
- 第9段落: その仕様書が顧客と合意されると 、 生産計画に織り込んで、資材調達の後製造される とあります。仕様確定から製造までに、準備と調達も必要です。
- 第12段落: 機械加工工程がネック工程となっていた とあります。日程を組むときには、この工程の能力と負荷を確認します。
図から、納期管理の対象と制約を確認する
図1では、鋳造の後に後処理、機械加工、塗装、検査発送が続きます。鋳造の予定だけを決めても、残る工程の着手・完了がそろわなければ納品までの予定は確定できません。受注ごとに全工程をつなぐ日程と、その進捗を管理する必要があります。
図2では、主力マンホール蓋の1ロット当たり加工時間は機械加工が最長です。第12段落のネック工程という記述と合わせ、この工程の負荷・能力を確かめて実行可能な日程を決めます。図の一製品の加工時間を全製品の標準時間として流用せず、製品別の時間・数量・仕掛を整備して判断することが、IT化で必要となる情報につながります。
全工程を対象に、納期から逆算して日程を決める
現在は鋳造の計画だけが立てられ、その先では担当者が段取り回数を減らす加工順を選びます。各工程には合理的な判断でも、急ぐ注文が後回しになれば、会社として納期を守れません。 工程ごとの都合から、受注ごとの完成納期へ管理の基準をそろえる 必要があります。
受注数量・仕様・納期を確認し、材料の調達期間、各工程の標準時間、設備能力と負荷を使って、鋳造から検査発送までの日程と加工順を納期基準で統一します。特に機械加工の空きを確かめ、無理のある日程をそのまま確定しないことが大切です。
情報を、計画・確認・調整のどこに使うか
| 管理の場面 | 整備する情報 | その情報で行う判断 |
|---|---|---|
| 日程を組む | 受注仕様・数量・納期、標準時間、工程能力、材料の調達予定 | 実行可能な工程日程と優先順位を決める |
| 計画と比べる | 着手・完了実績、仕掛量、設備稼働・段取り、材料の入荷状況 | 遅れや負荷の偏りを早く見つける |
| 遅れへ対応する | 未完了の仕事と残り能力、納期までの余裕 | 負荷・加工順を調整し、作業指示や納期回答へ反映する |
各工程で着手・完了を日次入力し、計画担当が全体の進捗を計画と比較します。遅れを見つけたら、投入量や加工順を修正して納期を守る運用まで示します。仕掛や調達も共有すれば、「前工程が終わらない」「材料が届かない」といった遅れの理由を踏まえて調整できます。ITはこの情報の共有と更新を支える手段です。
納期管理と必要情報を120字で答案化する
答案の骨格は、 全工程の基準日程→日次の実績確認→情報に基づく負荷調整・作業指示→納期遵守 です。先に逆算日程と進捗確認を書き、受注・標準時間・能力・仕掛・調達の情報を何に使うかへつなぎます。
第1文では受注数量・納期と標準時間・能力を全工程の日程・加工順へ、第2文では進捗・仕掛・調達の情報を計画実績比較と修正へ結び付けます。「管理方法」と「情報項目」を別々に列挙せず、情報を何の判断に使うかを示します。第2問の設備改善を繰り返すのではなく、計画と実績をつなぎ、遅れを見つけて動ける仕組みとしてまとめます。
公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある経営ハンドブック「製造現場の生産性向上」は、事業領域と強みを踏まえ、設備、IT、生産管理システム、CAD/CAM等で製造現場の生産性を高める方法について示しています。本問では、「工程・受注・在庫の情報を可視化して共有し、標準化した運用と改善へ使うこと」を2015年度事例IIIの与件事実と設問要求へ当てはめます。
| 公的資料の判断軸 | 本問への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| 工程・受注・在庫の情報を可視化して共有し、標準化した運用と改善へ使うこと | 納期管理と生産情報データベースを、与件の事実と設問要求に対応させる | IT導入だけで終わらず、誰が、いつ、どの情報を更新し、何を判断するかを書く |
類題は、2024年度事例III第3問です。
- 共通点:どちらも、与件の生産・技術上の事実を、納期管理の判断へ変換する点が共通します。
- 相違点:本問は「納期管理→生産情報データベース→QCD・成長への効果」を中心に問うのに対し、類題は「短納期に対応する生産計画と工程統制」を中心に問います。要求と制約が異なるため、類題の施策をそのまま移さず、本問の与件で取捨選択します。
出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21経営ハンドブック「製造現場の生産性向上」(事業領域と強みを踏まえ、設備、IT、生産管理システム、CAD/CAM等で製造現場の生産性を高める方法)
この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2015年度の与件事実を主根拠にします。
第 4 問(配点 20 点)
設問文
海外製品との競争が厳しい時代のなかで、今後も C 社は国内生産を維持する考えである。そのために C 社が強化すべき点は何か、その理由とともに 140 字以内で述べよ。
回答例(129 字)
技術営業が軽量化・複雑形状の要望を設計・製造へ伝え、鋳造技術と加工・塗装までの一貫対応力を高め、高品質・短納期で海外製品と差別化する。3K職場の作業環境を改善して若手人材を確保し、技能標準化と教育で若手への技能継承を進め、高付加価値受注で国内生産を維持する。
解説
この問題の着眼点
海外製品との競争がある中で、 国内生産を維持するための強化点と理由を140字 で答えます。軽量化・複雑形状化に応える技術を、一貫生産と短納期で届ける方向を考えます。 顧客がC社を選ぶ理由 と それを続けられる生産・人材の仕組み をつなぎます。
技術を、国内で作り続ける競争力へ変える
与件文のどこを見るか
- 第3段落: 海外製品との競争激化 、 機械加工工程と塗装工程の新設により一貫生産体制を確立 、 鋳造技術に精通した中堅エンジニア 3 名 とあります。競争に直面したC社が既に持つ工程と人材を、今後の強化に使います。
- 第4段落: 顧客からの軽量化、複雑形状化要求が強くなっていて、鋳造技術の向上が求められている とあります。顧客が求める価値に技術強化の方向が示されています。
- 第2段落: 若手人材確保が難しく、高齢化が進んでいる とあります。現在の技術を将来も使うには、人材確保と技能継承が必要です。
- 第11段落: 製造リードタイムが長期化し納期遅延が生じる とあります。高い技術を持っていても、納期面で選ばれるには改善が必要です。
顧客要求から、強化する技術と提供方法を決める
農業機械・産業機械の顧客は、軽量化や複雑な形状を求めています。ここから、単に大量に安く作るだけでなく、難しい要求に応える鋳造技術を高める方向が導けます。加工・塗装まで社内で担える体制と技術営業を合わせれば、顧客の要望を仕様へ落とし、製品として届ける提案ができます。
強化するのは 高度な鋳造技術+一貫対応+短納期 です。生産コストの改善も必要ですが、価格だけの競争にせず、品質・納期・提案で選ばれる価値を作ります。これが、高付加価値の受注を確保して国内生産を維持する理由になります。
技能継承と工程管理で、約束した品質・納期を支える
技術は人材に支えられています。第2段落では、3Kといわれる作業環境が若手の確保を難しくし、高齢化が進んでいます。作業環境を改善して若手人材を確保し、熟練技能の標準化と教育で継承する流れを示します。採用・教育・標準化の全施策を列挙する必要はありませんが、人が入りにくい原因と技術を引き継ぐ仕組みを結び付けることが大切です。
また、一貫生産であっても納期遅延は起きています。第1問設問3と第2問の段取り・機械加工改善、第3問の全工程の日程・進捗管理を組み合わせ、 提案した製品を品質と納期を守って届ける 体制へ高めます。新しい技術だけを追うのではなく、それを確実に供給できる仕組みまで含めた強化です。
強化点と理由を140字で答案化する
答案の骨格は、次の論点を設問の要求に沿って組み立てることです。
第1文では技術営業が顧客要望を社内へ伝え、鋳造技術と一貫対応力を高めて高品質・短納期で差別化する流れを示します。第2文では作業環境の改善による若手確保と技能継承を、高付加価値受注と国内生産の維持へ結び付けます。提案力だけで終わらず、顧客要求に応える製造技術そのものの向上を明確にします。
公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある経営ハンドブック「商品開発・市場開拓のための基本方針」は、強みを棚卸しし、限られた経営資源を顧客・商品・商圏・販路へ選択集中する考え方について示しています。本問では、「自社資源と外部環境を両方分析し、差別化と実行可能な経営計画へ結び付けること」を2015年度事例IIIの与件事実と設問要求へ当てはめます。また、「マニュアルで表せない技術の伝承方法を教えてください。」は、技能を収集・保存・分析・標準化・展開・改善し、若手へ形式知として伝える方法を補う資料として併記します。
| 公的資料の判断軸 | 本問への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| 自社資源と外部環境を両方分析し、差別化と実行可能な経営計画へ結び付けること | 差別化集中戦略と一貫生産体制を、与件の事実と設問要求に対応させる | 戦略名だけを書かず、対象市場、自社能力、実行条件、期待効果を因果で示す |
類題は、2024年度事例III第5問です。
- 共通点:どちらも、与件の生産・技術上の事実を、差別化集中戦略の判断へ変換する点が共通します。
- 相違点:本問は「差別化集中戦略→一貫生産体制→QCD・成長への効果」を中心に問うのに対し、類題は「保有技術を生かす新事業と、その実行体制」を中心に問います。要求と制約が異なるため、類題の施策をそのまま移さず、本問の与件で取捨選択します。
出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21経営ハンドブック「商品開発・市場開拓のための基本方針」(強みを棚卸しし、限られた経営資源を顧客・商品・商圏・販路へ選択集中する考え方) / 中小企業基盤整備機構 J-Net21「マニュアルで表せない技術の伝承方法を教えてください。」(技能を収集・保存・分析・標準化・展開・改善し、若手へ形式知として伝える方法)
この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2015年度の与件事実を主根拠にします。

