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令和元年度(2019 年度)事例 Ⅱ 解答解説
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第 1 問(配点 20 点)
設問文
小型ショッピングモール開業を控えた 2019 年 10 月末時点の B 社の状況について、SWOT 分析をせよ。各要素について、①〜④ の解答欄にそれぞれ 40 字以内で説明すること。
回答例(40,36,38,37 字)
【強み】社長と従業員が美大出身で、季節感や行事に合わせた高いデザイン力と提案力を有する。 【弱み】顧客の半数が近さ重視の低単価層で、提案力とデザイン力を活かせていない点。 【機会】高級住宅地に隣接し、季節イベントが多くデザイン需要が見込める。SNSの普及。 【脅威】自宅サロン増加や近隣SCへの低価格ネイルサロン出店による、価格競争の激化。
解説
この問題の着眼点
ショッピングモール開業前の 2019年10月末のB社をSWOTに分け、各40字でまとめる与件抜粋型の問題 です。自社の能力・顧客構成と、地域の需要・競争環境を分けて整理します。
根拠集めは最初、答案の確定は最後
与件を読みながら候補をマーキングします。蛍光ペンやボールペンの色、S・W・O・Tの印で区別し、この段階で40字へ絞り込まず、第2問以降へ進みましょう。
後続設問で使う強み・補う弱みを1軍、その他を2軍として整理し、最後に答案を確定します。個別提案、協業、新規客のリピート化に何が必要かを考えると、優先する根拠が見えてきます。
デザインを評価する顧客に、強みを活かせているかを読む
与件文のどこを見るか
- 第2段落: 季節感の表現に定評、 参加イベントの雰囲気に合わせて衣装の提案を行う接客が高く評価 とあります。美大で学んだ感性に、前職で磨いたデザイン・提案の経験が加わっています。
- 第6段落: 社長やYさんが前の勤務先で培った提案力が生かされた、 デザイン重視の顧客と住宅地からの近さ重視の顧客は半数ずつ、 オプションを追加する顧客は少なく とあります。提案力は固定客獲得に役立つ一方、近さで選ぶ半数の顧客には十分な追加利用へ結びついていません。
- 第1段落: 商店街周辺は高級住宅地、 商店街主催のイベントが毎月あり とあります。衣装や季節に合わせたネイルを提案する機会があります。
- 第6段落: その画像がネット上で話題になり拡散され とあります。写真を通じて、周辺の人に技術の魅力を知ってもらえる接点があります。
- 第5段落: 自宅サロン、 商店街周辺には多数存在する とあります。既存の競争相手も確認します。
- 第7段落: 当該モール内への大手チェーンによる低価格ネイルサロンの出店、 自宅から近いことを理由に来店していた顧客が大幅に流出することを予想 とあります。翌月の出店が脅威です。相談時点では流出は予想であり、既に失った顧客として扱いません。
図の人口構成を、地域の利用機会へつなぐ
図1では、X市は40代や10代などで全国より人口構成比が高くなっています。第1段落の15年前のファミリー向け宅地開発、毎月の地域行事と合わせると、家族の行事や季節の装いに合わせたネイルを提案する機会が考えられます。
これは地域の年齢構成を需要の候補へ結ぶ読み方です。図だけで個々の親子関係や所得、ネイルへの支出意欲は確定できません。高級住宅地という本文の情報と、B社の提案力が活きる利用場面を合わせて、機会として整理します。
経歴を能力へ、顧客構成を経営上の弱みへまとめる
「美大出身」は能力の背景です。そこから、 季節や行事に合うデザイン力と、要望を形にする提案力 までまとめると、顧客に選ばれる理由になります。社長の季節感の表現と、Yさんの衣装提案を、ネイルというサービスへ活かせる点が重要です。
第6段落の 「なお」 以降では、顧客の選び方が二つに分かれています。近さ重視客が半数を占め、オプション利用が少ないため、 強みを高付加価値の利用へ結びつけきれていない顧客構成 が弱みと読めます。これはB社の内部の問題であり、低価格店の新規出店という外部の脅威と分けます。
第2問以降を解いて、1軍・2軍を分ける
| 自社の候補 | 後続設問とのつながり | 答案に残す方向 |
|---|---|---|
| 季節感の表現と高いネイル技術 | 第2問のオリジナル画像、第3問の衣装・日常に合うネイル | 季節・行事に合わせたデザイン力 を1軍にする |
| 要望を聞いて衣装を提案した経験 | 第2問の個別発信、第3問設問2の初回接客 | 顧客に合わせた提案力 を1軍にする |
| 近さ重視客が半数でオプション利用が少ない | 第2問で単価を高め、第3問で強みを評価する層を獲得する | 強みを活かせない顧客構成 を弱みの1軍にする |
| Yさんの貸衣装店との関係 | 第3問設問1で協業を始める足場 | 協業に使う根拠として保持し、強み欄では能力二つを先に確保する |
| 落ち着く内装、低い賃貸料 | 営業を支える補足的な利点 | 2軍として持ち、デザイン・提案の観点を圧迫しない |
機会には 高級住宅地・地域イベント・SNSを通じた接点 、脅威には 自宅サロンとの競争と低価格店の新規出店 を残します。地域住民全員が高額なネイルを望むと決めつけず、需要が見込める環境として拾います。
SWOTを各40字で答案化する
答案の骨格は、 強み=デザイン力と提案力/弱み=近さ重視の顧客構成/機会=地域需要とSNS/脅威=低価格店との競争 です。経歴は強みの裏付けとして短く添え、季節・行事との適合まで残します。
弱みは「単価が低い」だけにせず、顧客の半数が近さで選び、提案の力を活かしにくい状態へまとめます。 内部の弱みと外部の脅威を別々に書く と、その後の客単価向上と顧客獲得の助言にもつながります。
公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある経営ハンドブック「商品開発・市場開拓のための社内外の組織・体制づくり」は、3C・4P・SWOTで自社と市場を整理し、顧客の声や異分野との接点を社内外の体制へ落とす方法について示しています。本問では、「顧客・競合・自社、または内部・外部を分けて根拠を整理する」を2019年度事例IIの与件事実と設問要求へ当てはめます。
| 公的資料の判断軸 | この設問への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| 顧客・競合・自社、または内部・外部を分けて根拠を整理する | 分析の各箱へ与件事実を置き、比較から強みと課題を特定する | 現状分析では後続問の施策を先取りしない |
類題は、2024年度事例II第1問 と 2025年度事例II第1問 です。共通点 は、顧客・競合・自社の事実から競争上の論点を整理することです。相違点 は、本問が季節デザイン力と提案力を低価格競争・近さ重視の弱点と対比する点です。
出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21経営ハンドブック「商品開発・市場開拓のための社内外の組織・体制づくり」(3C・4P・SWOTで自社と市場を整理し、顧客の声や異分野との接点を社内外の体制へ落とす方法)
この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2019年度の与件事実を主根拠にします。
第 2 問(配点 30 点)
設問文
B 社社長は初回来店時に、予約受け付けや確認のために、インスタント・メッセンジャー(インターネットによるメッセージ交換サービス)のアカウント(ユーザー ID)を顧客に尋ねている。インスタント・メッセンジャーでは個別にメッセージを配信できる。
このアカウントを用いて、デザインを重視する既存顧客の客単価を高めるためには、個別にどのような情報発信を行うべきか。100 字以内で助言せよ。
回答例(99 字)
顧客の過去の施術履歴や会話内容から、参加予定の地域のイベントや服装に合わせたオリジナルデザイン案を作成する。そのデザイン画像を事前に送信し、特別感を演出し、高価格帯のアート・オプションの利用を促す。
解説
この問題の着眼点
デザインを重視する既存顧客の客単価を高める、IMでの個別情報発信 を100字で助言します。その人の好みや予定に合うデザインを見せ、追加のオプションを選びたくなる理由をつくります。
顧客情報を、その人だけのデザイン提案へ変える
与件文のどこを見るか
- 第1段落: 商店街主催のイベントが毎月あり とあります。顧客がネイルを楽しむ具体的な利用場面を考えられます。
- 第2段落: 季節感の表現に定評、 顧客の要望を聞きながら、参加イベントの雰囲気に合わせて衣装の提案 とあります。季節・衣装・本人の希望を結びつける提案の裏付けです。
- 第4段落: 言葉で伝えるのが難しいという顧客、 好きな絵柄やSNS上のネイル写真を持参する場合も多く とあります。画像を使うと、具体的な仕上がりや好みを共有しやすくなります。
- 第6段落: 自分の子供の卒業式で着用した和服に合わせてデザインしたジェルネイルの写真、 デザイン重視の顧客と住宅地からの近さ重視の顧客は半数ずつ とあります。衣装との組み合わせを画像で伝えた実績があり、今回はデザイン重視の半数を対象にします。
アカウントを持つことと、個別提案をすることをつなぐ
設問文では、予約のために既にIMのアカウントを聞いています。この接点を、 施術履歴や会話で把握した好み・参加予定に合わせた提案 へ使うと考えます。例えば、前回選んだ色や、次に出席する行事、着る予定の服装を手掛かりにデザイン案を作る方法です。
一人ずつ宛先を変えても、全員へ同じ新作を送るだけでは内容は変わりません。 その顧客のどの情報を、どのデザインへ反映したか が個別化の中身です。まだ分からない予定は対話で確かめ、その人の利用場面に合わせます。
言葉にしにくい希望を、画像で具体化する
第4段落の 「ただし」 は、要望を聞いても、言葉だけでは伝わりにくい場合があるという転換です。そこで、 衣装やイベントに合うオリジナルデザインの画像を事前に送る と、どんな仕上がりになるかを想像しやすくなります。
季節感や服装の色を取り入れた理由も添えれば、「自分のために考えてくれた」という特別感が生まれます。画像を見ながら好みを確かめて修正するやり取りまでできれば、B社の提案力が本人の納得につながります。
来店回数ではなく、一回の利用額が増える道筋を示す
価格体系の表では、基本料金にデザイン・ストーン・アートの各オプションを加える形になっています。基本料金は10本当たり7,000円、各オプションは1本当たりの料金です。追加する装飾と本数を顧客の希望・予算に合わせて提案すると、一回の利用額が増える仕組みを具体的に理解できます。
図2は、色やストーン等の装飾によって仕上がりが変わることを理解する参考画像です。顧客に似合うデザインを画像で見せる意味を確認できますが、B社の施術実績そのものとは扱いません。特に凝った絵を描くアート・オプションは、B社のデザイン力を活かせるサービスです。
そのため、単に予約を促すのではなく、 その人に合う高付加価値デザインを見せ、アート・オプションの利用へつなげる と考えます。追加料金に見合う仕上がりを画像で具体化し、必要性や魅力を納得して選んでもらうことで客単価が上がります。値段を一律に上げる話でも、顧客全員に高額な施術を勧める話でもありません。
客単価を高める個別情報発信を100字で答案化する
答案の骨格は、 顧客の履歴・予定→衣装や行事に合う個別デザイン画像→特別感とオプション利用 です。使う情報に施術履歴や会話内容、送る内容にオリジナルデザイン、効果にアート・オプションの追加を肉付けします。
「定期的に情報発信する」で終えず、 誰の何に合わせた情報で、どう一回の利用額を高めるか を残しましょう。新規客の集客や来店頻度の話へ広げず、設問が指定した既存客と客単価へ字数を使います。
公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある「CRMの導入についてその進め方と注意点などを教えてください。」は、顧客情報を目的別に整備・分析し、個別対応、関係深化、次の改善へ循環させる方法について示しています。本問では、「データから顧客を分け、品揃え・提案・販促へ反映する」を2019年度事例IIの与件事実と設問要求へ当てはめます。また、「客単価を向上させるにはどのような工夫をすればよいか教えてください。」は、客単価を買上点数と商品単価に分け、品揃え・関連提案・接客で高める方法を補う資料として併記します。
| 公的資料の判断軸 | この設問への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| データから顧客を分け、品揃え・提案・販促へ反映する | 顧客属性・履歴を具体的な対象選定と個別提案へ変える | システム導入自体を目的にしない |
類題は、2017年度事例II第2問 と 2025年度事例II第3問 です。共通点 は、履歴や会話から顧客別提案を作ることです。相違点 は、本問がイベントと服装に合うデザイン画像を事前送付し、高価格オプションへつなぐ点です。
出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21「CRMの導入についてその進め方と注意点などを教えてください。」(顧客情報を目的別に整備・分析し、個別対応、関係深化、次の改善へ循環させる方法) / 中小企業基盤整備機構 J-Net21「客単価を向上させるにはどのような工夫をすればよいか教えてください。」(客単価を買上点数と商品単価に分け、品揃え・関連提案・接客で高める方法)
この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2019年度の与件事実を主根拠にします。
第 3 問(配点 50 点)
設問文
B 社社長は 2019 年 11 月以降に顧客数が大幅に減少することを予想し、その分を補うために商店街の他業種との協業を模索している。
(設問 1)
B 社社長は減少するであろう顧客分を補うため、協業を通じた新規顧客のトライアルが必要であると考えている。どのような協業相手と組んで、どのような顧客層を獲得すべきか。理由と併せて 100 字以内で助言せよ。
回答例(100 字)
協業相手はYさんの人的ネットワークを活かせる商店街の貸衣装店。七五三や卒業式等の特別な衣装に合わせるネイルというB社の強みを活かし、デザインを重視する母親層を獲得する。これにより競合との差別化を図る。
解説
この問題の着眼点
新規顧客のトライアルをつくるため、 協業相手・獲得する顧客層・その理由 を100字で助言します。商店街で誰と組めるかだけでなく、その店の顧客がB社のデザインを必要とする場面まで考えます。
衣装を選ぶ場面に、ネイルの提案を結びつける
与件文のどこを見るか
- 第2段落: 七五三、卒業式、結婚式に列席する30〜50代の女性顧客、 参加イベントの雰囲気に合わせて衣装の提案を行う接客が高く評価 とあります。Yさんは行事に参加する女性の要望を捉え、衣装へ具体化してきました。
- 第3段落: Yさんが商店街の貸衣装チェーン店で勤務していた経緯、 商店街の他店ともスムーズに良好な関係 とあります。貸衣装店との接点と、地域で連携を始める足場があります。
- 第6段落: 自分の子供の卒業式で着用した和服に合わせてデザインしたジェルネイルの写真、 技術の高さを評価した周辺住民が来店 とあります。衣装に合うデザインを見せることが、初回来店につながった実績です。
- 第7段落: 自宅から近いことを理由に来店していた顧客が大幅に流出することを予想 とあります。流出が予想される層を数だけ補うのではなく、強みを評価する層の獲得を考えます。
図の年齢構成と、行事に参加する顧客を重ねる
図1では、X市に40代や10代などの人口構成比の山があります。本文のファミリー向け宅地開発や、貸衣装店を利用する30〜50代女性、卒業式の和服に合わせたネイルの実績を重ねると、家族の行事に出席する母親層へ接点を広げる理由を補強できます。
図だけで親子関係や行事への参加を断定するのではなく、本文にある利用場面を地域の年齢構成から裏付ける使い方です。人口の多さだけで対象を決めず、衣装に合わせた提案というB社の強みと、貸衣装店との協業で届く顧客を選びます。
近さで選ぶ顧客から、デザインを必要とする顧客へ広げる
低価格店も近所にできれば、近さだけではB社を選ぶ理由が弱くなります。そこで、 七五三や卒業式などで衣装に合うネイルを求める母親層 に着目します。行事にふさわしい装いを整えたい場面なら、B社の季節感の表現や衣装に合わせる提案が価値になります。
「女性客を広く」ではなく、 どの行事に、どんな装いで出席し、何を整えたい顧客か を具体化するSTPの考え方です。貸衣装店を利用する30〜50代女性のうち、このようなデザイン需要を持つ人へ接点を広げます。
貸衣装店の接点と、B社の技術・提案を補完させる
協業先として Yさんの人的関係を活かせる商店街の貸衣装店 が考えられます。第2段落の 「なお」 以降には、退職後も予約会の時期に働いていたことと、接客が高く評価されていたことが補足されています。単に同業種の知人がいるのではなく、相手の仕事や顧客を理解している関係です。
貸衣装店は衣装を選ぶ顧客との接点を、B社は衣装に合うネイルを持ち寄れます。例えば、衣装選びの際に対応するデザイン例を紹介してもらえば、顧客は「この服にこのネイルを合わせたい」と利用場面を想像できます。これは今後の提案であり、既に行っている協業とは区別します。
協業の理由を、初めて試す理由までつなげる
顧客にとっての価値は、 衣装から指先まで調和した、自分らしい装い です。貸衣装店には装いの提案を充実させる利点があり、B社にはデザインを重視する見込み客へ届く利点があります。
「紹介してもらうから集客できる」と説明を止めず、衣装を選ぶ場面とネイルを試す必要性をつなげます。安さを主な理由にする競合とは異なり、 行事と衣装に合うデザインを相談できる店 として選ばれる方向です。
協業相手・顧客層・理由を100字で答案化する
答案の骨格は、 貸衣装店との協業+行事に出席するデザイン重視の母親層→衣装とネイルの一体提案で差別化 です。相手を選ぶ理由にYさんの関係、顧客の需要に七五三・卒業式、提供価値に衣装へ合わせるデザインを肉付けします。
協業相手の名前だけで字数を使わず、 その顧客の需要とB社の強みが合う理由 を残します。「誰と組むか」「誰を獲得するか」「なぜか」が一続きになるようにまとめましょう。
公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある「中小企業にも有効な企業連携の考え方について教えてください。」は、共通目的、相互補完する経営資源、役割分担、双方の利益を明確にする連携原則について示しています。本問では、「各者の得意資源と役割を分け、共同価値と双方の効果を作る」を2019年度事例IIの与件事実と設問要求へ当てはめます。
| 公的資料の判断軸 | この設問への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| 各者の得意資源と役割を分け、共同価値と双方の効果を作る | 協業相手、自社の提供資源、相手の資源、顧客便益を対応させる | 相手先名だけ、または一方だけが得する提案にしない |
類題は、2018年度事例II第4問 と 2022年度事例II第4問 です。共通点 は、相手の顧客接点と自社の提案力を組み合わせることです。相違点 は、本問が貸衣装店と組み、特別行事の母親層を獲得する点です。
出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21「中小企業にも有効な企業連携の考え方について教えてください。」(共通目的、相互補完する経営資源、役割分担、双方の利益を明確にする連携原則)
この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2019年度の与件事実を主根拠にします。
(設問 2)
協業を通じて獲得した顧客層をリピートにつなげるために、初回来店時に店内での接客を通じてどのような提案をすべきか。価格プロモーション以外の提案について、理由と併せて 100 字以内で助言せよ。
回答例(97 字)
施術中の会話から趣味やライフスタイルを把握する。毎月の地域イベントや普段の服装に合わせた日常使いのネイルデザインを具体的に提案する。特別な日以外でもネイルを楽しむ価値を伝え、継続的な来店を促す。
解説
この問題の着眼点
協業で獲得した顧客をリピートへつなげる、 初回来店時の店内接客による提案と理由 を100字で助言します。価格プロモーション以外という条件に合わせ、特別な日の利用から日常にも楽しめる価値へ広げます。
一度の行事で終わらず、次にも利用する理由をつくる
与件文のどこを見るか
- 第1段落: 商店街主催のイベントが毎月あり とあります。一度きりの大きな行事以外にも、装いを楽しむ場面があります。
- 第2段落: 季節感の表現に定評、 顧客の要望を聞きながら、参加イベントの雰囲気に合わせて衣装の提案 とあります。季節・服装・好みに合わせてデザインを考えられる能力です。
- 第4段落: 言葉で伝えるのが難しいという顧客、 好きな絵柄やSNS上のネイル写真を持参する場合も多く とあります。会話だけでなく写真も使って希望を確かめられます。
- 第6段落: 初来店の際に、顧客の要望に合ったデザイン、もしくは顧客の期待以上のデザインを提案、 その評価が高ければ固定化につながる例も多い、 施術後から3週間〜1カ月の間隔での来店が必要 とあります。初回の提案への評価と、継続利用の機会がつながっています。
施術中の会話から、普段の使い方を見つける
協業で来た顧客は、七五三や卒業式などの衣装に合わせる目的で利用していると考えられます。そのままでは行事が終われば利用理由も終わりやすいため、施術中に 趣味・ライフスタイル・普段の服装 を聞き、日常のどんな場面で楽しめるかを探ります。
例えば、普段はどんな色の服を着るか、次にどの地域行事へ参加するかが分かれば、本人に合うデザインを提案できます。情報を聞くだけで終えず、 会話で得た一人ひとりの生活場面を、次の利用の提案へ変える ことが大切です。
日常にも似合うデザインを、その場で具体的に示す
第4段落の 「ただし」 は、本人の希望を言葉だけでは捉えにくい場合があるという対比です。写真やデザイン例を見ながら、 普段の服装や毎月の地域イベントに合う日常使いのネイル を提案すると、生活の中で使う姿を想像しやすくなります。
特別な衣装向けと同じ華やかさを繰り返すのではなく、好みや日々の過ごし方に合わせて色・絵柄・装飾を調整する考え方です。「自分の普段着にも似合う」と納得してもらえれば、次の大きな行事まで待たずに楽しむ理由が生まれます。
強みを評価してもらい、継続する価値へつなげる
初回の接客で 要望に合う、あるいは期待を上回る提案 ができれば、「ここなら自分に合うものを相談できる」という信頼につながります。さらに日常の利用場面まで示すことで、今回の施術への満足を次回の楽しみへ変えられます。
3週間〜1カ月の来店間隔は、継続利用の機会を示す根拠です。ただし、爪が伸びるから自動的にB社へ戻るのではなく、 日常でも楽しめる価値と、自分を理解してくれる提案 が再び選ぶ理由になります。割引でつなぎ留めるより、B社のデザイン力と顧客理解を関係づくりへ使います。
第2問は既存客へ事前に画像を送り客単価を高める問題でした。本問は 初回来店中に次の利用場面を提案し、継続来店へつなぐ問題 です。IM配信の施策へ戻らず、店内での会話と具体的な提案を答えます。
初回接客からリピートにつなぐ提案を100字で答案化する
答案の骨格は、 会話で生活・好みを把握→日常や地域行事に合うデザインを提案→普段も楽しむ価値で継続来店 です。把握する情報に趣味や服装、提案する場面に毎月のイベントや日常生活を肉付けします。
「丁寧に接客する」「満足度を高める」という抽象語だけに縮めず、 何を聞き、その情報で何を提案するか を残します。理由は、特別な日以外にもネイルを楽しめるから、と利用場面の広がりに結びつけましょう。
公的資料から持ち帰る知識と類題
独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21にある「CRMの導入についてその進め方と注意点などを教えてください。」は、顧客情報を目的別に整備・分析し、個別対応、関係深化、次の改善へ循環させる方法について示しています。本問では、「顧客情報を次の個別対応と関係深化へ活用する」を2019年度事例IIの与件事実と設問要求へ当てはめます。
| 公的資料の判断軸 | この設問への当てはめ | 答案上の注意 |
|---|---|---|
| 顧客情報を次の個別対応と関係深化へ活用する | 必要情報、個別対応、満足・再購買の順で因果を作る | 情報収集や一斉配信だけで終えない |
類題は、2017年度事例II第2問 と 2016年度事例II第4問(設問2) です。共通点 は、顧客理解を個別提案と再来店へ変えることです。相違点 は、本問が初回来店者へ日常の服装・地域行事に合う提案を店内で行うOne-to-One施策である点です。
出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21「CRMの導入についてその進め方と注意点などを教えてください。」(顧客情報を目的別に整備・分析し、個別対応、関係深化、次の改善へ循環させる方法)
この公的資料と類題は理解を補助するものであり、当該年度の公式解答や採点基準ではありません。答案では2019年度の与件事実を主根拠にします。

